企画物、ライブ盤、オムニバス参加等

　1992年の2月と3月に、PANTAのソロアルバムが一気にCD化されました。特に初期のソロ2枚とPANTA&HALの3枚はレコードがプレミアが付いていましたので、初CD化は嬉しい限りでした。しかしながら、早めの時期にレコード屋に行ったら、すでに品切れに。結局入荷待ちをすることになりました。待っていた人は多かったようですね。今の時代のようにネットショップで予約なんてなかった時代の話です。

　その時に一緒に発売されたのが、18話でも少し触れた12インチシングルの『プラハからの手紙』を軸としたコンスピレーション盤の『プラハからの手紙プラス』です。これはPANTAが発売したシングルを集めたもので、（シングルバージョンで収録）更に追加で映像作品にのみ収録されているライブ音源も加えたものになります。

　まずは、名曲『屋根の上の猫』。これはシングルカットすべき曲でしたね。ヒットはしませんでしたけど。それにしても、セカンドアルバムからのシングルが『あやつり人形』っていうのもなんだかなぁって思います。まだ一般的とは言えないレゲェのリズムなので、売るには難しいと思いますが、当時はどう判断されたんでしょうね。まだ『ガラスの都会』の方が受けがいいとは思うのですが。

　そして更にわからないのが、名盤『マラッカ』からはシングルカットされていない事。実はプロモーションオンリーのシングルがあり、『マラッカ』と『裸にされた街』の2大名曲が収録されています。この貴重なバージョンもここに収録されていますが、何故に発売しなかったのかですね。『1980X』からは先行シングルとして『ルイーズ』と『ステファンの６つ子』のカップリングで発売されています。『ステファンの６つ子』は、ライブバージョンが『TKO NIGHT LIGHT』に収録されていますが、スタジオバージョンは当時はこのシングルでしか聴けなかったので、昔はプレミア価格で売られた事も。不慮の事故で半身不随となった少年に捧げられた名曲です。

　https://www.youtube.com/watch?v=t0Y99CBD0X4

『見知らぬ男の肖像』は、スウィート路線の頃の曲ですが、この曲もシングルB面のみのアルバム未収録曲。確かにアルバムに入れると浮いてしまう曲ですが、じっくりと聴かせてくれる隠れた名曲ですね。

　https://www.youtube.com/watch?v=bchctgXqZng

『プラハからの手紙』は18話で紹介したので、ここでは『スカンジナビア』を。80年代の初めに作られたといいますね。すでに1983年にライブで演奏されている記録があります。こういった心に染みるメロディもPANTAが得意としているものです。

　https://www.youtube.com/watch?v=FzocC_BUvSs

　残りは、『1987.11.8 KRISTAL NACHT』というビデオで発売された作品のライブ音源が3曲収録されています。ビデオは未DVD化で、PANTAの作品がまともに再発されない状況なので、今後もDVD化は無いと思われます。『終宴』のライブバージョンはPANTAのベスト盤に収録された事はありますが、『R☆E☆D』と『BLOCK25　AUSCHWITS』のライブバージョンは初収録となります。

　https://www.youtube.com/watch?v=poOVpRxVk70

　余談ですが、CD化記念のライブが1992年1月15日と2月15日に、日清パワーステーションで行われました。1月は『PANTAX’S　WORLD』から『KISS』まで、2月は『浚渫』から『PISS』までの曲を演奏する企画物でした。当時、自分はコンサートやライブの類は行った事なかったのですが、バイト仲間が読んでいた『ぴあ』で1月のライブの記事を見つけ、（自分も見てみたい）という思いが強くなり、2月のライブを見に行きました。チケットを何処で買うのかもわからないので、バイト仲間に色々教えてもらいましたが。これが自分でお金を払って見に行った最初のライブとなります。初のライブ体験で『R☆E☆D』や『クリスタルナハト』の曲をしっかり聴けたのはラッキーな事だと後に思うのでした。何度もアンコールがあった3時間近いライブの経験は強烈な印象を残し、ライブの魅力に取りつかれる事になるのでした。