頭脳警察(90年代)

第20話 頭脳警察『頭脳警察7』

『R☆E☆D』や『クリスタルナハト』の発表以降、それらの曲をライブで演奏すると、続けて演奏する曲がソロ時代の曲ではしっくりこなくなったと感じるようになったとの事です。続けるのはやはり頭脳警察の曲の方がしっくりくると。時代が変わるる中で、秘密裏に頭脳警察の復活がなされました。


新聞の片隅にひっそりと掲載された新宿某所(日清パワーステーション)で行われるライブ告知。発売後、2時間ほどでソールドアウトとなったといいます。そして行われた復活ライブ。PANTAはしかめっ面をしていたといいますが、実は1曲目で爪を割ってしまい、その痛みからの表情だったのだと。そしてライブの終わりには、トシがコンガやシンバルを客席に投げ込んだりしたので、険悪な雰囲気に。これで頭脳警察は終わったと思われても仕方のない状態だったらしいのですが……。


レコーディングに関しては、これもまた秘密裏に行われていました。リハーサルは1989年11月から始まり、1990年8月までかけてじっくりとレコーディングをしています。そして完成したのが、全て新曲の『頭脳警察7』でした。メンバーは、PANTA、トシに加えて、若手の実力者を集めました。下山アキラさん(B)、藤井一彦さん(G)後藤升宏さん(Dr)。このメンバーで90年代の頭脳警察は行動します。

それに加えて、キーボードに中山努さんも参加するなど、アルバムでは多彩なメンバーが参加していますね。


発表された『頭脳警察7』は、自分にとって衝撃的な1枚でした。アルバムを聴いたのは、すでに活動が終わっている時でした。最初はレンタル屋で偶然見つけて借りて聴いたのですが、ヤバいと思ったものです。オープニングの『腐った卵』は、PANTAとトシの真剣勝負のようなやりとり。それは空気が張り詰めるような感覚。


https://www.youtube.com/watch?v=BDu38nUQua0


そして続く『Blood Blood Blood』は、如何にも頭脳警察といった感じのスピード感あるナンバー。体育系を思わせます。更にスピードナンバーが続きます。


https://www.youtube.com/watch?v=Rp2g5gyBuJk


勿論、それ以外でも『PEOPLE』や『月蝕と日蝕の谷間で』といったメローなナンバーもいい出来だと思います。


https://www.youtube.com/watch?v=Kb_0LK4HGc0


そして何といっても、アルバムのラストを飾る『万物流転』。ヘラクレイトスの「万物は流転する」(PANTAーRHEI)を独自に解釈したものを根底に、文学的な詩の名作です。ファンによるリクエストベスト10でも1位になるくらい、ファンにも愛されている曲ですね。


https://www.youtube.com/watch?v=_EMCzR5Z7yw


頭脳警察は、90年代の再結成は1年のみに限定されていますが、与えたインパクトは、かなり大きいものでした。


余談ですが、『万物流転』にはライブで何回か演奏されたのみのロングバージョンがあります。歌詞に問題があったのかどうかはわかりませんが。


https://www.youtube.com/watch?v=MDvjIN6FLY8


またアルバム発売時のミュージックマガジン誌のレビューですが、なかなか付かない満点の10点が付けられていました。年間ランキングでも日本のロックのベスト10に入っていました。売れ専とは無縁のアルバムと思っていましたが、しっかり評価してくれる人がいるのは嬉しい事です。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る