第15話 PANTA『16人格』

 1冊の本がここまで影響を与えるとは、誰も思っていなかったでしょうね。

 橋本治さんの人脈で勧められたという、フロータ・リータ・シュライバー著の『失われた私』。シビルという少女の中の人格が増え続けて苦悩する中で治療をしていくというドキュメントです。(後日、検証されて捏造の可能性が高いとの結果も出ています)

 二重人格はよく聞きます。四重人格クアドロフェニアは、嘗てTHE WHOが作品にしています。しかしながら4の二乗の16人格は他には例がないですね。興味を持ったPANTAは、これにインスパイアされた作品を作ろうと試みます。


 兎に角、16に拘るような作品にしたかったようです。PANTAの出したアルバムはこれで15作品目なんですが、『TKO NIGHT LIGHT』が2枚組だからこれで16枚目という無理やりな解釈をしたり。アルバムに収録される曲も16曲で。当初は2枚組を想定していたのですが、結局、1枚となりました。


 16曲という事で、1分程度の小品も含まれますが、『16人格』や『カムフラージュ』等、後にライブでも度々演奏される曲もあります。


 https://www.youtube.com/watch?v=GomQE4_1jDo


 分裂した16の人格の性格が様々なように、収録されている曲もロックからバラードまでバラエティに富んでいます。しかしながら、PANTAの他の作品と比べて、闇の部分を感じる所があったりします。恐らく、製作途中にPANTAが神経症になった事の影響が大きいでしょう。


 PANTAがアルバムを作るために、多重人格に関することについて没頭していたら、突然に体調異変が出てきたそうで。気分が悪くなったり、動悸がしたりと。検査をしても異常がないという事で、最終的には神経科でカウンセリングを受けることになったりしたそうです。最初に受診する前に状況や生活習慣などをレポート用紙にぎっしり書いて持っていくような人だから、病名は教えてもらえなかったとの事です。聞けば徹底的に調べようとするからだそうです。暫くはライブの前に『求心』を飲むようなロッカーとしてはイマイチカッコよくない状況が続いていたみたいです。

 暫くの間は、冒頭の曲ではないですが、『奇妙な同居人』と一緒にいる日々が続きます。


 https://www.youtube.com/watch?v=XIFOdF7xwTM


 余談ですが、かなり昔、なんとこのアルバムの曲がカラオケに収録されているのを見て驚いた記憶があります。当然ヒットもしていないしシングルも発売されていない。PANTAの作品は多々あるのに、何故このアルバムからなのか?わかりませんね。

 高音の部分もあり、なかなか難しいので、歌ったのは1回のみですが。もうずっとカラオケは行ってませんが、PANTA関係の曲って、今どれくらいあるんだろう?


 https://www.youtube.com/watch?v=PM1D71GufJY




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