第14話 PANTA『浚渫(SALVAGE)』

 少々寄り道をしましたが、PANTAがロックの世界へと戻ってきました。やはりPANTAは、がなり声で歌うのが似合います。甘い歌ばかりでは胸やけが起こってしまいます。


 特に名称はないけれど、PANTA BANDに集結したのは、HALの後期メンバーの中谷宏道さんに中山努さん、西山嘉治さん、鈴木匠さん。以後、長くPANTAをサポートしてくれるメンバーです。彼らが導き出すのは、ストレートなロックです。


 1曲目の『429ストリート』からエンジン全開です。「ヘイ、ぶっ飛ばそうかBABY♪」なんて、『スウィート路線』では聴けませんでしたからね。ファンも納得の1曲でしょう。


 https://www.youtube.com/watch?v=W-P_UIV4wNY


 今回のアルバムは特にコンセプトはないようで、ストレートなロックとヘヴィなロック、そしてビターな感じのバラードが集まっています。PANTAのつくる歌詞は、難解な言葉が使われる事が多いですが、このアルバムはそれ程難しい語句もなく、比較的聴きやすいかなと思います。『夜霧に消えた青春』とか、聴きやすさはありますが、同時にカッコよさも感じさせます。


 https://www.youtube.com/watch?v=2nZK2L_f83I


 重さを感じさせるのは、タイトル曲の『浚渫(SALVAGE)』。意外とライブでも演奏されたりします。スピードだけがロックではないですね。


 https://www.youtube.com/watch?v=I7QHe4PO69Q


 そして最後に収録されているのが、派手さはないですが自分でも好きなバラードの『Good Morning Blues』。この曲に関しては、PANTAが亡くなった時の『ライブ葬』に関する文を書いた時にふと頭に浮かんで来ました。一応、この文も載せておきます。読む人は殆どいないでしょうけれど。


 https://kakuyomu.jp/works/16817330669736410995


 そして次の作品は、PANTAが病気となるきっかけとなる、ある意味問題作となります。波乱万丈なのは、如何にもPANTAらしいですね。



 余談ですが、『浚渫』が発売されたのが1983年。ロック色が強いこのアルバムを発売する前は、アイドルと呼ばれるような人にも作品を提供していました。勿論、ポップスな曲ばかりですが。

 有名なのは、岩崎良美さんに提供した『Vacance』。これは曲のみの提供で作詞は別の人ですが、メロディは親しみやすく、メロディメーカーの才能を感じさせます。


 https://www.youtube.com/watch?v=ILcrTP3mGYY



 そして堀ちえみさんに提供した『幼な馴染み』。これは本当にPANTAが作ったのかっていう如何にもアイドルな曲。PANTAのライブの歓声で「『幼な馴染み』をやれ」っていうのがあったらしく、PANTAはアカペラで冒頭の部分を歌って答えるような、お茶目な事をしたこともあったようです。


 https://www.youtube.com/watch?v=vznMIlCGHDY


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