第4話 頭脳警察『仮面劇のヒーローを告訴しろ』
『仮面劇のヒーローを告訴しろ』は、まだトシが復帰していない、そんな時期に作られたアルバムです。発売は1973年。発売中止となった『1』を含めると、2年弱で5枚のアルバムが作られたことになります。それだけ曲のストックがあるという事ですね。
このアルバムは、当時、一時的に脱退していたトシに代わってスタジオミュージシャンが参加しています。(女性コーラスやオーケストラまで導入されています)そのため、反体制的なメッセージやむき出しのサウンドの部分は影を潜めて、どちらかというと、ポップで洗練されたアレンジが特徴的です。しかし、それでもパンタの個性は十分に発揮されており、社会風刺や皮肉などが随所に見られます。
例えば、『イエス・マン』ではサラリーマンを揶揄し、『仮面劇のヒーローを告訴しろ』では偽善者や権力者を批判し、『間違いだらけの歌』では自分自身の立場や信念を問い直しています。なお、『間違いだらけの歌』は、当時のPANTAにとっては、「これこそが求めている頭脳警察の姿」だと思っていたそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=NQR0nv_q5Pg
そしてタイトル曲の『仮面劇のヒーローを告訴しろ』でのギターは印象的です。
(この曲はベルギーの画家のジェームス・アンソールの描く世界がモチーフになっているとの事です。頭脳警察としては異質な作品ですね)
https://www.youtube.com/watch?v=nZAiJgRc9Tw
(ビクターから発売されたCDでは、『気〇い』という言葉が修正されていますが、PANTAからの指示でピー音はやめて爆発音で隠されています。『まるでランボー』ではピストルの音で修正。如何にもPANTAらしいです。なお後にインディーズから発売されたものは修正は無しですね)
https://www.youtube.com/watch?v=S0Z6onvzurw
因みに参加したスタジオミュージシャンは、ギターに水谷公生さん、ベースに武部秀明さん、ドラムに田中清司さんです。この3人が当時の売れっ子スタジオミュージシャンです。
余談ですが、この3人は、後にキャンディーズを育てることになります。この3人が演奏すると、こんな感じの曲となります。特にギターに注目して聴いてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=uW9OCDh3gFA
それ以外にも、この3人が演奏している歌謡曲だとこんな感じです。バックの演奏に注目してみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=AtUsg9lECHM
やっぱり、当時売れっ子だけの事はありますね。ただ、頭脳警察のイメージには、しっくりこない部分があるかと。頭脳警察の生々しい部分には合わない感じと言いますか。とはいえ、その中でも水谷公生さんのギターはいい仕事をしていると思いますね。(この辺りに関しては、もう少し掘り下げて記事を作りたいです)
頭脳警察は過激だけではないと訴えようとしていたかもしれませんが、実際に求められるのは過激な曲ばかり。そういったイライラが積み重なって、数年後の解散に向かう事になります。
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