EX 私のこと好きすぎ
クリスマスの夜、イルミネーションを見るために人混みの多い街路を通る。しかし、周りのカップルの雰囲気に気まずくなり、近くの公園へと避難する。
夜の公園と小さく見えるイルミネーションに、二人とも少しの安らぎを感じる。
ベンチに二人が座る。肩と肩が触れるほど近くに。
「いやぁ~、やっぱりクリスマスの夜は人が多いね」
「……なんていうか、周りのカップルに圧倒されちゃった」
「腕をがっちり組んで、ゼロ距離でいちゃいちゃするのって、……周りに人がいっぱいいても恥ずかしくないのかな?」
「彼氏くんも、そういうの平気なタイプ?」
「――恥ずかしい? あと、彼氏くんって呼ばれるのも体がまだ対応しきれてない?」
「それは、……たぶん慣れるから大丈夫だよ。
せっかくこういう関係になったんだから、私たちも早期一転ということでクリスマスにデートしようってことになったでしょ?」
「私たちの関係上さ、バカップルにはなれないと思うけど、ちょっとずつ恋人っぽくなろ?」
「……な、なに?// そんなに見つめられると照れるんだけど」
「あれか、改めて私のこと好きだな~って思ったんでしょ?」
「――私のこと大好きだなって?
も、もうっ! 前みたいにはぐらかしてくれないと……恥ずかしいじゃん!」
「あんまり面と向かって好きとか言われたら、私もちょっと……照れるっていうか」
「……」
「あ、あったかいコーヒーとか買ってくる! ちょっと待ってて!」
近くの自動販売機で飲み物がガタンと落ちる音が二つ聞こえる。
「ねぇ……コーヒーのブラック買った後に、実はコンポタがあるのに気づいちゃったんだよね……?」
「――え? コーヒーのほう、飲んでくれるの?
やった! ありがと!」
「それじゃあ、乾杯だね!」
カツンとスチール缶がぶつかる音。
「――でもさ、彼氏君って思った以上に大人だよね?」
「小学生からその節はあったよ。
きっと一緒にいればどんなことがあっても私を守ってくれそうだなーって昔から思ってた」
「――ブラックコーヒーを飲んだだけで、持ち上げすぎ?
いやいや、ほんとだって」
「だから私は彼氏君のことずっとクラスのみんなに紹介したいって言ってるのに、彼氏君が嫌って言うから我慢してるんだよ?」
彼氏君の耳元に近づいて囁く。
「あーあ、自慢したいなぁ~。
私の彼氏はこ~んなにかっこよくて、大人っぽくて、魅力的なんだよ~って」
「――こういうことは外だと恥ずかしいんじゃなかったのか?
んー、……そう思ってたんだけど、彼氏君の反応見てたらやりたくなっちゃって」
「やっぱ、可愛いなぁ。その反応」
頭を撫でながら、何度も何度も伝える。
「可愛いなぁ、可愛いなぁ……」
主人公は彼女の撫でている手を取り、下へと回す。
「はっ! あ、あれだよ。……ちょっとやりすぎた?」
困惑した表情の彼女になんの前触れもなく軽くキスをする。
「えっ、いきなり……そういうのはカップル上級者がやるもので……」
もう一度キスをする。
「……や、やめようよ。謝るか――」
逃げられないようにつかんだ手を離さずに、キスをする。
頬を真っ赤に染めた彼女が、空いている手をぶんぶんと顔の前で振る。
「……恥ずかしいから、そんなに見つめないで」
「――私の彼氏君が、私のこと好きすぎてほんと困る……」
「つ、続きは、彼氏君のお家で……ね?」
俺のことが絶対好きなのに、なぜか俺に好きと言わせたがる幼馴染の話 智代固令糖 @midori3101
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