第70話 猫とドライブ


「たぁ~くま。」


「ふふっ。」


急に、さくらに、抱きつかれて、

思わず、笑っちゃう。


そんな、夏休みの、朝。


今日は、彼女と、朝から、お勉強して、

お昼ご飯を、食べに行く予定。


何で、彼女が、僕に抱きついたのかは、

僕が、さくらに、メールで、

「逢いたくて、死にそう。」


何て、メールで送ったから。


急いで、さくらの家に、走って行くと、

笑顔のさくらに、抱きつかれたって訳。


「ねぇ、琢磨。

逢いたくて死にそうって、さ。

どうしたの?」


「うん。起きたら、さくらに、

逢いたくて、たまらなくなって。」


「ふふっ。何か、気持ちは、

わかるけど。。。琢磨って、

そんな、甘えん坊さんだっけ?」


「うん。そうだよ。さくら限定で。」


「ふふっ。あははっ。そうなんだ。

よしよし。じゃあ、この、

さくらさんに、甘えなさい。」


朝から、さくらに、頭を撫でられて、

僕は、とっても、

幸せな気持ちになった。


「ふふっ。ありがと。」


「うん。でも、あたしも、

琢磨限定の、甘えん坊だって事を、

忘れないで。」


そう言うと、さくらも、

僕に、撫でろって、目で訴える。


朝から、お互いの、頭を撫で合い、

今日の、1日が始まった。


さくらと、勉強をするのは、

とても、楽しくて。


もともと、勉強が、好きなのもあって、

二人での、勉強って言うのも、

一年以上続いている。


「ねぇ、さくら、お昼、何食べる?」


「うん。たまには、ファミレス、

行こうよ。」


「ファミレス?」


「なんかね、ハンバーグに、

夏限定のが、あるらしいよ。」


「そうなの?」


「うん。琢磨、

ハンバーグ好きじゃん。」


「確かに。」


「ほら、もう、顔が、嬉しそう。」


「ふふっ。それは、隠せないね。」


勉強が、終わると、直ぐ様、

僕の家に、車を取りに行くと、

二人で、夏限定の、ハンバーグを、

食べに、車を、走らせた。


「琢磨、そこの信号を、左。」


「はーい。」


ウインカーを出して、赤信号を止まる。


免許を取得してから、毎日、

さくらと、車の運転をしている。


最初の時の、雰囲気とは、違って、

変な、気構えをする事が、だいぶ、

無くなった。


車の、駐車のコツも、覚えて、

すんなりと、車を停めると、

僕達は、ファミレスの中へ。


「涼しいねぇ。」


真夏の、昼間。外は、灼熱地獄。


さくらは、手をパタパタさせて、

ファミレスの店内の、涼しさに、

一息着いている。


店内は、二組ほど、待っている人が、

待合室に、座っていた。


「ねぇ、琢磨。夏休みだから、

混んでるのかな?」


「うーん。どうだろう?

僕達、お昼って、ファミレスに、

滅多に、

来ないから、わからないよね。」


「そうだね。確かに。」


さくらと、二人で、待つこと、

20分。店員さんに、案内されて、

テーブルに着くと、

メニューを開いて、早速僕達は、

限定のハンバーグと、

ドリンクバーを注文した。


「ねぇ、琢磨。

ハンバーグに、パイナップルって、

合うのかな?」


「んー。何か、

合うような気はするけど、

一緒に、食べた事ないね。」


限定ハンバーグは、特製のソースと、

パイナップルが、目を引く、

そんな感じの、メニューだった。


暫くすると、いい匂いをさせながら、

僕達の所に、ハンバーグが届いて、

「ジュー」と、まだ、焼けてる音が、

食欲を誘う。


「ねぇ、美味しそうだね。」


「うん。美味しそう。」


僕も、さくらも、まず、一口。


「あ、美味しい。」


さくらが、そう呟く。


「うん。美味しい。」


僕も、笑顔。


待つ時間は、長いけど、食べる時は、

あっという間に。


「ふぅ。」

と一息。


僕は、食べ終わって、

アイスコーヒーを、ストローで、

啜る。。。


さくらが、食べてる所、可愛いから、

見てたいけど、見てると、

怒られるから、なるべく、

見ない様にして、待つ。。。


「ごちそうさまでした。」


さくらが、そう言った所で、

二人で、ドリンクバーへ。


僕は、アイスコーヒーのおかわり。

さくらは、アイスティ。


席に戻ると、二人でまったりと過ごす。


「ねぇ、琢磨が、好きなら、

今度、作ってあげるけど。」


「うん。さくらが、作ったの、

食べたい。」


「じゃあ、作るね。」


「でも、さくらの作った方が、

美味しそうだね。」


「ふふっ。当たり前じゃん。」


僕を見る、さくらの顔は、

とても、優しくて、可愛い。。。


「ねぇ、さくら、この後、

どこか、行こうよ。」


「ん。どこかって、

何処に行きたいの?」


「夏の旅行の為に、服とか、

見に行ったりとか。」


「なるほど。じゃあ、どこにする?

駅ビル?」


「たまには、場所変えて、

ショッピングモール行こうか?」


「あ、車だもんね。」


「うん。初、ショッピングモール。」


「確かに、駅ビルしか、

行ってないよね。ショッピングモール、

良いかも。」


僕達は、ファミレスを後にして、

ショッピングモールに、

車を走らせた。。。


ナビ役のさくらの指示で、

大通りを、進むと、この辺で、

一番大きな、ショッピングモールに、

到着した。


有るのは、知ってたけど、殆んど、

駅ビルで、揃うから、僕は、

初めて来た場所。


「ねぇ、さくらは、来た事、あるの?」


「無いよ。琢磨は?」


「僕も、初めて来た。」


「ふふっ。そうなんだ。」


「うん。」


お互い、初めて来る場所に、

凄く、楽しい気分になって、

店内を、手を繋いで、ゆっくりと、

見て回る。


チラリと、見ると、さくらが、

とても、楽しそうにしていて、

僕も、とても、楽しくなる。。。


洋服売り場も、なん店舗もあって、

色々と、見て歩いていると、

知らないうちに、夕方になっていた。


「ねぇ、さくら。僕に、一枚、

シャツを、選んでくれない?」


「じゃ、あたしも、琢磨に、

一枚、選んでもらおうかなぁ。」


お互いに、一枚選んで、

シャツを買った。


「ねぇ、さくら、中身、見ていい?」


「ふふっ。車に戻ってから、

お互いに、交換しようよ。

その方が、何か、楽しいじゃん。」


「うん。じゃあ、そうしよう。」



車に戻り、お互いに、シャツの交換。


ちょっと、僕の時間が止まる。。。


「ねぇ、さくら。僕のシャツ。

魔王って、書いてあるけど、

これって、このまま、来て歩くの?」


「うん。面白いじゃん。」


「まぁ。。。そうだね。こう言うの、

着たことないけど、さくらが、

選んでくれたから、明日、着てみる。」


「うん。あたしも、

琢磨の選んでくれた、この、ピンクの、

シャツで、明日は、出歩くね。」


「うん。そうして。」


こうして、初ショッピングモールの、

この日は、終わった。。。



さくらが、まさか、黒い生地に、

白い文字で、魔王とか、

書いてあるシャツを、

選ぶとは、思わなかったけど、

これは、これで、面白いと、

思って、家で広げて、この日は、

暫く、眺めていた。。。


「さくらって、こう言うの、

好きなのかなぁ。。。」


と、呟きながら。

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