第69話 猫と夏休み

夏休み。


路上講習を、終えて。


今日は、試験会場に来ている。


初めての、路上は、僕も、さくらも、

緊張の連続で、大変だった。


それでも、僕も、さくらも、

路上試験を終えて、今日のこの日、

試験会場まで、辿り着いた。


「ねぇ、琢磨。今日は、頑張ろうね。」


「うん。二人で、免許、

持って帰ろう。」


流石に、大勢の人達がいて、

僕も、少しだけ、緊張している。


「ねぇ、さくら、ちょっと、

珈琲でも、飲まない?」


「うん。そうだね。」


二人で、缶珈琲を買って、

ゆっくりと、

気持ちを落ち着けるように、飲む。


「ふぅ。」と一息。


「ふふっ。琢磨でも、緊張するんだ。」


「え?」


「だって、あたし、琢磨が、緊張って、

初めて見るかも。」


「そうなの?」


「うん。」


「でも、そうかも。あんまり、

緊張しない方なんだけど、

今日、免許とらないと、

さくらと、旅行の計画が、

遅れちゃうと思うと、少しね。」


「ふふっ。なるほど。。。

そう言う事かぁ。」


「ずっと、さくらと、ドライブして、

旅行って、行きたかったからさ。」


「うん。あたしも。」


さくらの優しい笑顔で、僕は、

緊張と言うか、やらなきゃって言う、

そんな、気持ちになって。。。


「なんか、緊張が、無くなった。

ありがとう。さくら。」


「ふふっ。そうなの?でも、

本当。なんか、琢磨の表情、

いつもに、戻った。」


「うん。僕らしくなかったよね。」


さくらと、話してると、自然に、

笑顔になれる。。。


試験が、始まって、静かな時間の中、

本当、何で緊張してたのか、

わからないくらい、普通に、

試験を受けられて、時間より、

早く、テストを終えられた。。。


教室を出る時、さくらは、笑顔だった。


「ふふっ。あたし、合格だと思う。」


「うん。僕も。」


手を繋いで、ベンチに座ると、

さくらの、暖かい温もりが、

僕を、優しく包んでくれる。


「ねぇ、琢磨。免許取れたら、

お買い物行って見ない?」


「うん。そうだね。乗らないと、

上手くならないって、言うからね。」


「取り敢えず、

駅まで、行って見ようよ。」


「うん。そうだね。そうしよ。

免許取れたら、何時でも、車は、

使って、良いって、言われてるし。」


そんな、会話をしてると、

合格の発表が、表示されて、

二人で、合格を喜んだ。。。


僕も、さくらも、無事、自動車の、

運転免許を、取得出来た。


「ねぇ、琢磨。これで、お買い物に、

行けるね。」


「うん。早速、帰ったら、

行って見ようよ。」


免許センターから、戻った僕らは、

そのまま、自宅に。


僕が乗るからと、先週、お父さんが、

整備に出してくれた車。


多少、ぶつけてもいいけど、

人には、ぶつけないでくれよ。


そう、お父さんに言われて。。。


二人で、車に乗ると、ドアを閉める。


「琢磨の、お父さんの車って、

何か、高そうだね。あたし、

緊張しちゃう。」


「そうだね。僕も、ハンドル握るのは、

今日が、初めて。。。」


教習所の車より、少し大きくて、

椅子も、座り心地がいい。


保険も、僕と、さくらが、乗るので、

切り替えたって、お父さんが、

言っていた。


夏の、車内は、とても暑く、

エンジンを、

ボタンを押して掛かけると、

エアコンの、送風口から、

温風が、吹いた。


「ふふっ。暑いね。」


取り敢えず、窓を全開にして。


「うん。でも、何か、琢磨と、

二人で、車って、何か、ドキドキ。」


「ふふっ。僕も。」


自然に、二人で笑顔になって。


シートベルトを締めて。


エアコンが、効くと、

窓を閉めてから、

車のギアを入れて、ゆっくりと、

車を、少し前に。


「こっちは、大丈夫だよ。」

助手席のさくらと、

二人で、左右を確認すると、

車を、路上に走らせた。


少し、手に汗を握る、変な感覚。。。。


いつもの道なのに、車で走ると、

とても、狭く感じて。


僕も、さくらも、とっても緊張してる。

笑っちゃうくらい。。。


二人で緊張してるから、

何だかとっても、妙な雰囲気。


制限速度よりも、少し、ゆっくり。

それでも、歩いて、行ける距離の、

駅ビルは、車だと、すぐなんだけど。


だけど、その十数分が、とても、

長く思えた。。。 


運転中は、僕も、さくらも、

緊張しすぎて、ほぼ、会話もなく。。。


何度も、切り返して、駐車場の、

端の方に、車を停めた。


車から、降りた僕は。


「めちゃくちゃ、疲れた。」


と、ポツリ。


「お疲れさま。」


と、さくらも、苦笑い。


「めちゃくちゃ、気を使うね。」


「うん。何か、あたしも、琢磨に、

今、話掛けちゃ駄目な気がして、

声を掛けられなかった。」


「ふふっ。ごめん。」


「ううん。あたしも、多分、

運転中は、無理かも知れない。」


「ちょっと、慣れるまでは、

仕方ないかなぁ。」


「そうだね。でも、多分、

すぐ慣れるよ、琢磨は。

あたしから見て、普通に車、

乗れてたし。」


「そう?」


「うん。大丈夫だったよ。」


手汗を、ズボンで、拭くと、

僕達は、取り敢えず、

いつもの、フードコートに向かった。


取り敢えず、珈琲を頼んで、席に着く。

少し、一息着いた所で。


「ねぇ、琢磨。帰り、あたし、

運転していい?」


さくらが、僕にそう言った。


「もちろん、いいよ。」


そう答えたけど、僕は、内心、

今日、少し運転しただけで、

僕が、疲れた事を、さくらに、

させていいのかと、少しだけ、

微妙な、気持ちになった。


夕方から、バイトの入ってる、

今日は、そろそろ帰らないと、

行けない時間。。。


さくらに、車の鍵を渡すと、

駐車場に向かう。。。


二人で、車に乗り込むと、

シートベルトを締めて、

エンジンを掛ける。。。


「ねぇ、琢磨。左側お願い。」


緊張した顔で、さくらに頼まれると、

僕は、

「わかった。

さくらは、運転に集中して。」


僕は、そう言って、

覚悟を決めた様な心境に、なった。


それと、同時に、来るときは、

さくらも、同じ気持ちだったのかと、

思ったら、そうか。そうだよね。

と、心のなかで、そう思って、

不思議と、少し楽しくなった。


車が、ゆっくりと前に進むと、


「左は、OK!」


と、さくらに合図して、車は、

駐車場から、車道へ。


自分で、運転するより、更に、緊張。

右、左と、目を光らせる。


さくらの言った通り、会話所じゃない。

神経を、集中させて、前を見る。


あの小道から、人が出てきたらとか、

色々、考えたり。


そんな事を、思いながら、

前を見ていると、

無事に、僕の家に、到着した。。。


車を、バックで、車庫入れ。


さくらは、僕より、車庫入れが、

上手で、数回は、切り返したけど、

綺麗に、車を停めた。


ギアを、Pに入れると、ふたりで、

深く、息を吸う。


「ふふっ。めちゃくちゃ、緊張した。」


「ふふっ。僕も。」


「ねぇ、琢磨。これからは、

なるべく、毎日、少しだけでも、

ドライブ行こうよ。」


「うん。僕も、さくらに、

同じ事を、言おうと、思ってた。」


「ふふっ。」


「慣れるまで、頑張ろう。」


「うん。」


僕も、さくらも、初めての、

ドライブデートは、何だか、

ドキドキの連続で、

気持ちが、凄く疲れたけど、

とっても、いい経験になった。


バイト終わりの、帰り道。。。


「ねぇ、さくら、ちょっとだけ、

練習しない?」


「ふふっ。いいね。」


「なんかさ、運転したい気分なんだ。」


「うん。あたしも、練習したい。」


バイトが終わると、

この日は、二人で、少しだけ、

車の練習をした。

僕には、それが、とても、楽しくて。

夏休みの間は、二人で、いっぱい、

練習しようねって、約束をして、

この日は、終わった。。。










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