第66話 猫と帰り道


誕生日の次の日の朝は。。。


琢磨と二人。


ずっと一緒に。


琢磨と二人。


とても、幸せな気持ちに包まれて。


目を開けると、琢磨がいる。


あたしは、何て幸せなんだろう。


幸せだから、琢磨にくっついて、

もう一度、眠りにつく。。。


「ねぇ、さくら。」


琢磨の声。


目を開けると、優しい彼の顔。


「おはよ。琢磨。」


「おはよ。さくら。」


優しく、髪を撫でられて、あたしは、

彼に、抱きついて。


起き上がると、琢磨の入れてくれた、

珈琲を、飲む。


「ねぇ、琢磨。昨日は、ありがと。

本当に、幸せな、誕生日プレゼント、

だったよ。」


「ふふっ。そう言われると、本当に、

嬉しいよ。」


また、彼に、髪を撫でられて。


あたしは、猫の様に嬉しくなる。


「シャワー浴びようか?」


「うん。」


二人で、シャワーを浴びて、

二人で、着替えて。

ホテルを出る前に、いっぱい、

キスをしてから、チェックアウトした。


まだ、頭が少し、ボーッとする。


でも、大丈夫。琢磨が、あたしの手を、

引いてくれるから。

暖かい、彼の手。

あたしに、合わせて、ゆっくり歩く。


電車の中では、あたしを庇うように、

何時も、前に立ってくれる。


もよりの駅まで着くと、時刻は、

十二時過ぎた。


「ねぇ、琢磨。御飯食べて帰ろ。」


「うん。そうだね。さくらは、

何食べたい?」


「うん。琢磨。」


「ふふっ。それは、無しで。」


「ふふっ。

琢磨の真似してみたかったの。」


「ふふっ。そうなんだ。」


「あたしが、選んでいいなら、

ラーメン食べたいなぁ。」


「わかった。ラーメンね。」


琢磨に、

手を引かれて、ラーメン屋さんに。


食券は、琢磨が、買ってくれて、

お水は、あたしが、テーブルに。


「ありがと、さくら。」


「うん。」


琢磨と、ラーメンを食べる。

チラリと、琢磨を見ると、

相変わらずの食べっぷりに、思わず、


「ふふっ。」と、笑ってしまう。


あたし、琢磨の食べてる所。。。

本当に、好きだから、それだけで、

幸せな気持ちになる。


琢磨を、待たせない様に、あたしも、

一生懸命、食べるけど、全く、

追い付けない。


「ふふっ。そんなに、頑張らなくても、

ちゃんと、食べ終わるの、

待ってるから、落ち着いて食べて。」


「うん。」


結局、今日も、琢磨を待たせて、

ラーメンを、食べ終わる。


少し、休憩してから、琢磨と帰宅。


お母さんは、家にいなかった。

携帯を、確認すると、

友達とお出掛けすると、書いてある。


帰ったら、琢磨とお勉強の約束だけど、

お腹が、一杯で、琢磨とごろ寝。


「ねぇ、琢磨。寝ちゃったら、

起こしてね。」


「うん。わかった。」


優しく、そう言う琢磨も、何だか、

眠そう。。。


「さくら、起きて。」


あれ、お母さんの声。


横を見ると、琢磨も、寝てる。


「あ、寝ちゃってた。」


琢磨も、飛び起きて。


あたしも、起き上がる。


「あ、お母さん。すみません、

今、何時ですか?」


「もう、夕方の六時だけど、

よっぽど、疲れてたのね。さくらは、

ともかく、琢磨君が、寝てるなんて。」


「あ、あはは。すみません、さくらに、

起こしてって、言われてたんですけど、

僕も、寝ちゃってたみたいで。」


「まぁ、たまには、いいんじゃない?」


お母さんも、苦笑い。


「ごめんね。琢磨。」


「僕こそ、ごめんね。寝ちゃって。」


お母さんに、お土産を渡して、

琢磨と、ディズニーの話を、聞かせる。


話の途中で、琢磨が、

クロに、おやつをあげて。

ゲージから、出てきたクロを、

膝にのせて、頭を撫でている。


「いいなぁ。」


と、口からこぼれると。


「ふふっ。」とお母さんに、笑われた。


あたしは、「ハッ」として、

しまった。と、思ったけど。

照れるしか無かった。。。


琢磨も、あたしを見て、笑ってる。


「もう。琢磨は、笑わないで。」


「ふふっ。ごめんね。」


そう言って、琢磨は、あたしの髪を、

撫でている。


恥ずかしいけど、少し嬉しかった。


「ねぇ、琢磨。お腹空かない?」


「うん。お腹空いた。」


琢磨が、お腹を擦って見せる。


お母さんと、あたしは、台所へ。


今日も、琢磨のために、ご飯を作る。

あたしが、幸せそうだと、

お母さんも、嬉しそう。


「ねぇ、さくら、

誕生日。楽しめた見たいで、

良かったわね。」


お母さんが、あたしを見て、

嬉しそうに、言う。


「うん。本当に、楽しくて、

幸せだったよ。」


「ふふっ。よかったわね。

あ、ケーキ買ってあるわよ。ご飯の、

後に、食べようね。」


「うん。お母さん、ありがと。」


三人で、ご飯を食べて、

テーブルを片付けると、お母さんが、

ケーキを、出してくれて。


ケーキには、18歳分のローソク。


お母さんと、琢磨の、

バースデーソングを、聴きながら、

あたしは、ローソクを吹き消す。


「誕生日おめでとう。」


お母さんと、琢磨に言われると、

あたしも、嬉しくて、幸せ。


ケーキを、お母さんが、切り分けて、

三人で、ケーキを食べると、

去年までは、二人で祝ってたけど、

今年は、琢磨が、いてくれて。。。


結婚して、琢磨が、いたら、毎年、

こうなのかなって、思ったら、

胸いっぱいに、幸せになった。


「お母さん。琢磨。ありがとう。

あたし、幸せだよ。」


そう言うと、何だか、胸がいっぱいで、

涙がでて。。。


お母さんも、琢磨も、あたしの、

頭と、背中を擦ってくれた。


「あらあら。」と言って、背中を、

お母さんが。


「よしよし。」

って、頭を、琢磨が、撫でてくれて。


「うん。」


としか、言えなかった。


あたしが、落ち着くまで、琢磨が、

手を握ってくれて。


琢磨って、暖かいなぁって、

思ったら、心が、ほっとした。


その間に、お母さんが、珈琲を、

入れてくれて。

テーブルに、珈琲を、置くと。。。

琢磨を、優しく見つめる。


「泣くほど、幸せって、さくらは、

本当に、幸せなんだね。

琢磨君、ありがとね。こんなに、

さくらを、幸せにしてくれて。」


って、微笑んだ。


琢磨は、お母さんに、


「お母さん、僕が、さくらに、

幸せにしてもらってるんです。

だからその、何て言ったら言いか、

兎に角、さくらの事、大切にします。」


って、言うから。。。


「もう。いっぱい、

大切にしてもらってるよ。だから、

幸せなんじゃん。」


って、あたしも、笑った。


そんな、あたし達を見て、お母さんも、


「ふふっ。そうだね。」

って、笑った。


琢磨のいる、初めての、誕生日。


大切な人に、祝ってもらって、

本当に、幸せに過ごせた。。。









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