第65話 猫と彼女の誕生日。
6月は、さくらの誕生日。。。
朝早く、彼女を迎えに行く。
何時もと同じだけど、そうじゃない。
今日は、さくらの生まれた日。
丸1日遊ぶ為に、始発で行く、
ディズニーランド。
何時もと違って、僕の姿を見て、
さくらが、僕に向けて、小走りで、
近づいて来る。。。
「たっくま。」
そう言うさくらの、早朝のハグ。
「おはよ。さくら。今日は、
何か、目が冴えてる感じだね。」
「ふふっ。なんか、早く起きちゃって。
目覚ましよりも、早く起きれた。」
「そうなんだね。ふふっ。僕の真似?
それじゃあ、行こうか?さくら。」
「うん。」
朝から、元気なさくらを連れて、
腕を組んで、駅へ向かう。。。
電車を乗り継いで、舞浜の駅へ。。。
道中、さくらは、ずっとニコニコ。
こんなに、朝から元気なさくらは、
初めてかも知れない。。。
駅から、ディズニーランドまでは、
徒歩で、10分ちょっと。
ゆっくりと、さくらと歩く。
「ねぇ、琢磨。今日は、ホント、
ありがと。あたし、嬉しくてね、
昨日、あんまり眠れなかったの。」
「そうなの?大丈夫?寝てなくて。
電車で、何時もみたいに、
眠ってくれたら良かったのに。」
「だって、
嬉しくて、眠くなかったんだもん。
それに、眠くなったら、琢磨に、
くっついて、寝るからいいもん。」
「ふふっ。参ったな。でも、
無理しないで、そうして。
今日、1日を、辛く過ごすなら、
また、連れて来るからさ、
無理無く、楽しくだよ。」
「うん。きつかったら、言うね。
ありがと。琢磨。」
ほんとは、心配だけど、さくらの、
可愛い笑顔に、僕も、笑顔で、
返すと、さくらの、手を、
優しく握って、今日は、さくらに、
無理をさせないように、
気を付けないと。
そう思った。。。
ゲートまでたどり着くと、
入園前なのに、もう、人がいて、
並んでいる。
「ねぇ、琢磨、
もう、並んでるんだね。」
「うん。そうだね。でも、朝早く、
来たから、まだ、前の方で、
安心したよ。」
僕も、さくらも、その列に並んで、
時間が来るのを、楽しみに待つ。
じっとしてると、やっぱり、
さくらは、眠たくなって、
何時もみたいに、うつらうつらと、
しだした。
今日は、曇り。気温も、そこまで、
高くない。僕は、そんな、彼女を、
持参した、小さなレジャーシートを、
敷くと、
その場で、座って、軽く抱き抱えると、
膝の上で、少し休ませた。
「ごめんね。琢磨、ありがと。」
小さく言うと、さくらは、
僕に、もたれて、眠ってしまった。
手荷物検査までは、まだ、一時間ある。
僕は、そっと、さくらを、抱えたまま、
さくらが、行きたい、
アトラクションまでの、ルートを、
予習しながら、
たまに、
可愛い寝顔を見たりして過ごした。
まわりが、そわそわしてきたから、
時間だと、すぐにわかった。
「ねぇ、さくら、そろそろだよ。」
軽く揺すって、起こすと、
「ん。わかったぁ。」
と、微笑む。
眠そうに、あくびをしている、可愛い、さくらの、手を引いて、手荷物検査。
八時過ぎに、手荷物検査が終わると、
9時オープンのはずだったけど、
実際は、15分早く、入園出来た。
一斉に、人が流れ出して、
「さくら、混む前に、行くよ。」
「うん。」
すっかり元気になった、
さくらを連れて、
ミッキーのフィルハーマジックの列に、並んだ。
中に入ると、さくらの、嬉しそうな顔。
アトラクションよりも、そんな、
さくらの表情に、目を奪われて、
僕は、ずっと、ドキドキしてた。
「ねぇ、琢磨。凄く楽しいね。」
「うん。僕も楽しい。来て良かった。」
「琢磨、さっきは、
寝ちゃって、ごめんね。あたしが、
寝ちゃったら、
つまらなかったでしょ。。。」
「ふふっ。大丈夫。さくらの、寝顔、
ずっと見てたから。」
「もう、意地悪。」
少し、膨れた顔も、とても可愛い。
「ほら、さくら、次行こう。」
彼女の手を引いて、
ビッグサンダーマウンテンに、
並びに行く。。。
もう、僕もさくらも、大はしゃぎ。
次から、次と、アトラクションに、
移動して。。。
フードコートで、休憩。
「ねぇ、琢磨、ほんっとうに、
楽しすぎるんだけど!」
「ふふっ。僕も。。。でも、
こんなに、楽しい、ディズニーは、
初めてだよ。ありがと。さくら。」
「あたしこそ、ありがと、琢磨。
こんなに、楽しい誕生日って、
初めてだよ。」
「ねぇ、琢磨。来年も、誕生日に、
連れてきてくれる?」
「ん。誕生日じゃなくても、
さくらの、行きたい時に、
連れてくるけど?」
「ふふっ。だって、ディズニーって、
高いから。一年に、一回来れれば、
満足だよ。」
「ふふっ。さくら君、
夢の国で、する話じゃ、無いね。」
「ふふっ。確かに。」
さくらと、
楽しく軽い軽食をとり、ディズニーの、
雰囲気に、浸って園内を歩く。
「ねぇ、琢磨。今日は、
エレクトリカルパレード見てから、
帰るんだよね。」
「うん、そうだよ。」
「楽しみだなぁ。」
本当に、嬉しそうにしてくれるから、
僕も、さくらにつられて、
楽しくなるし、嬉しくなる。
色んな場所を、さくらと見て歩き、
お母さんに、お土産も、買った。
少し、歩き疲れて、再び、
フードコートで、休憩すると、
少し、日が落ちて、
薄暗くなり初めていた。
「楽しいと、時間がたつの、早いね。」
「うん。琢磨といると、時間が、
すぐに、無くなっちゃう。」
「ふふっ。それは、嬉しいのか、
どうなのか。」
「ねぇ、琢磨。ここで、少し、
食べて、休憩していい?」
「うん。そうしよう。
僕も、お腹空いてるし。」
飲みかけの、珈琲を、テーブルに、
置くと、さくらを、待たせて、
ホットドッグと、ポテトを買って、
席に戻る。
「はい、さくら。」
「ありがと。」
二人で、ホットドッグを、食べて、
ポテトをつまむ。。。
まわりの雰囲気が、少し変わると、
パレードの始まりだった。
「琢磨、行こうよ。」
「うん。」
屑籠に、ごみを捨てて、
さくらに、手を引かれて、移動する。
「わぁ。。。」
さくらの、横で見る、パレードは、
とても、幻想的で、
この空間に、さくらと、一緒に、
いるって事を、僕は、幸せに思う。
「ねぇ、琢磨。あたし、
パレード見てて、ワクワクした。」
「うん。僕も。さくら、最後の、
キャッスルショー、見に行こうよ。」
「うん!」
お城が、良く見える場所に、
さくらと、移動すると、
お城に、写し出される、
様々な、迫力ある映像と、
音楽に、僕も、さくらも、
みとれていた。。。
さくらが、僕に、もたれて、
「ねぇ、琢磨。今日はこのまま、
帰っちゃうの?」
と、僕を見詰めて、聞いてきて。。。
「少し、何処か、寄ってから、
帰ろうか?」
と、僕も返す。
「うん。もっと、琢磨と、一緒に、
いたいもん。」
「ふふっ。僕もそうだから。
それに、今日は、さくらの、誕生日。
どこまでも、付き合うよ。」
さくらに、「ギュッ」
と抱き締められて、
「琢磨、大好き。」
って、言うから。
「大好きだよ。」
って、僕も、抱き締めた。
ショーを眺めながら、駅前に、
少し早めに移動すると、
さくらが、お母さんにメールで、
泊まって帰ると、連絡。
僕も、家に、連絡を入れると、
二人で、駅前のファミレスで、
夕食を取る。
「ねぇ、琢磨。この辺て、泊まれる
場所、あるの?」
「うん。一応、調べてあって、
さくらを、誘おうか、考えてた。
だけど、さくらが、寝不足だから、
本当はね、今日は、早めに、
さくらを、家に返そうと思ってさ。」
「ごめんね。心配させちゃって。
でも、あたしは、琢磨と一緒にね、
今日1日、過ごしたい。」
「うん。わかった。」
暫く二人で見つめ合うと。。。
さくらと、一緒に、ビジネスホテルに、
泊まって。
ゆっくりとした、時間を彼女と、
過ごして。
僕たちは、初めての朝帰りをした。。。
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