第62話 猫と誕生日。
5月は、琢磨の誕生日。
あの時、
琢磨は、シャツ一枚で、とても、
嬉しそうにしてくれたけど、
それとは別に、誕生日プレゼントを、
渡す予定。
でも、毎日、琢磨と寝る直前まで、
一緒にいるから、サプライズは、
難しいし。。。
それに、琢磨は、ご飯しか、
欲しがらないから、何が、
欲しいのか、聞かないとわからない。
色々琢磨の事を、考えていると、
思わず、
楽しくなってきて、「ふふっ。」と、
自然と、笑ってしまう。
だって、琢磨なら、あたしが、
渡すものなら、何でも、
喜ぶ姿が、想像出来ちゃうから。。。
「そっかぁ。。。」
と呟くと、この前の、琢磨が、
あたしに、
髪止めを買ってくれたみたいに、
その場で、買えばいいんだって、
思い付いた。。。
琢磨の誕生日の日は、
琢磨を、お買い物に誘って、
駅ビルに。
感のいい、琢磨なら、誕生日に、
お買い物って言う時点で、
気付いていると、
思うけど、あたしは、
琢磨に、お財布を買うことに、
決めてる。
「ねぇ、琢磨。色を一つ選ぶとしたら、
何色が、好き?」
「ん。色?」
「うん。好きな色。」
「そうだねぇ。。。白とか、黒。
一色なら、黒かなぁ。」
「黒かぁ。琢磨、普段、青っぽい、
服着てるから、青が、好きなのかと、
思ってたよ。」
「そうだね。確かに。。。
でもさ、
特に、嫌いな色もないし、
一色だけって、言うなら、黒が好き。」
そう微笑む、琢磨に、
「そうなんだ。」
と、あたしも、笑顔で返した。
前に、鞄を買ったお店に、
琢磨と、移動すると、
あたしは、琢磨が、普段使ってる、
二つ折の財布を、見て歩いた。
「あ、そうだ。
財布を買い換えようかな。」
と、琢磨が、呟く。
そう、琢磨のお財布は、
使い込んでいて、少し革が、
剥げかかっていたのを、
あたしも、知ってる。
「じゃあ、あたしが、選んでいい?」
そう、琢磨に聞くと、彼は、
嬉しそうに、「お願い。」
と、優しく微笑んだ。
少し、高い財布は、ガラスケースの、
中に入っていて、店員さんに、
三種類、出して貰って、
実際、手に取って、使い易そうか、
確認。
「じゃあ、これにする。」
琢磨に、見せるとあたしは、
そのまま、レジに。
誕生日プレゼントだから、
ラッピングして貰って、
琢磨に、渡すと、
「嬉しいよ。大切に使うね。」
と、本当に、嬉しそうに笑った。
その笑顔が、あたしの、想像と、
重なって、「ふふっ。」て、
あたしも、笑顔になる。
「ねぇ、さくら、今日は、
最初から、お財布選んでくれに、
来たんでしょ?」
「うん。そうだよ。」
「ふふっ。やっぱりそうかぁ。。。
でも、本当に嬉しい。流石、
さくらだね。」
「ふふっ。そうだよぉ。あたしは、
凄いの。」
「ふふっ。
本当に凄い。僕の、財布が痛んでるの、
知ってたんだもんね。」
「勿論。いつも、見てますから。」
「ありがと。」
琢磨が、幸せそうに笑って、
あたしの、手を握る。
そのまま、あたし達は、
何時もの、フードコートへ。
あたしを、席に座らせると、
琢磨は、珈琲と、アイスティを、
買って、戻ってきた。。。
「ねぇ、さくら。あのさ、
来月の、さくらの、誕生日だけど、
丁度、休みの日じゃん。
色々考えたけど、ちょっと、
出掛けない?」
「え。うん。
でも、何処に出掛けるの?」
「遊園地とか、どうかな?」
「遊園地って、どこの?」
「さくらの、誕生日だから、
ディズニーランドとか、どう?」
頬杖をついて、琢磨が、微笑む。
「あ、あたし、小さい時に、
一回しか、行った事ないんだよね。」
その言葉に、少し頷いて。。。
「じゃあ、決まりだね。」
と、琢磨は、優しく微笑んだ。
あたしも、突然の、遊園地には、
びっくりしたけど、
あたしの、誕生日を、考えて、
くれている琢磨に、嬉しくなって、
幸せな気分にも、なって。。。
誕生日に、ディズニーランド。
何時も一緒にいるから、
出掛ける事での、サプライズ。
事前に、すり合わせてくれるのは、
琢磨の、優しい所。。。
胸が、嬉しくなって、少し、
苦しい。
琢磨と、ケーキを選んで、帰る、
帰り道。
「ねぇ、琢磨。ありがとう。」
「ん。ありがとうなら、僕でしょ。」
そう言って、微笑む琢磨。
「ううん。だってさ、あたしの、
誕生日の事で、
色々、考えてくれてたんでしょ?」
琢磨は、あたしの、目を見て、
微笑むと。
「考えるより先に、何だろう。。。
さくらの、笑う顔が、浮かんでさ、
そう思ったら、遊園地って、
自然に、行き先が、出てきて。
じゃあ、何処にしようみたいな。」
「ふふっ。そうなんだ。」
と、あたしも、微笑む。
「だって、僕が、何処に決めても、
さくらが、笑って、いいよ。って、
言うのが、想像出来ちゃうからさ。」
頭を、搔きながら、少し照れたように、
笑う琢磨が、可愛くて。。。
「ふふっ。そうかも。」
って、あたしは、琢磨の腕に、
抱きついた。
家に戻ると、あたしは、早速、
台所に、ご飯の支度。
昨日のうちに、準備はしてあるから、
焼いて、揚げるだけ。
今日は、琢磨の好きな、唐揚げと、
ハンバーグ。
後ろを、振り替えると、琢磨が、
何時も通り、クロにご飯をあげてる。
クロもご機嫌みたい。
彼にご飯を作る。
好きな人に作るご飯が、こんなに、
幸せな事なんて、琢磨と会う前なら、
想像も出来なかった。
料理は好きだけど、
琢磨の、嬉しそうな顔が、
作っていても、頭に浮かんで。
あたしも、嬉しくなって、
幸せになる。
「ねぇ、琢磨~。」
「ん。なぁに?」
「出来たから、運ぶの手伝って。」
唐揚げと、ハンバーグを、
見ると、琢磨の顔が、「パァッ」と、
嬉しそうな顔で、眩しいくらい。
「ありがと、さくら。」
そう言って、料理はテーブルに。
二人で、全て運んで、
テーブルには、ハンバーグと唐揚げ。
サラダ。
「ふふっ。じゃあ、食べていいよ。」
待ちきれない顔で、あたしを見てる、
そんな、琢磨に声を掛けると、
満面の笑みで、
「いただきます。」
と、彼は、手を合わせた。
あたしも、「いただきます。」
と、言うと、美味しそうに、
食べる、琢磨に、
視線をもっていかれて、
黙々と、食べる彼を眺める。。。
なんかなぁ。。。
本当に、幸せだよ、あたし。
そう思いながら、あたしも、
唐揚げを一つ、摘まんで、「パクリ」
自分で、作ったけど、いい出来。
ハンバーグも、美味しく出来た。
「ねぇ、さくら、今日の唐揚げ、
何時もと、
少し味変えてるみたいだけど、
この味も、とても美味しいよ。」
「ふふっ。ありがと。ねぇ琢磨。
そんなに、黙々と食べなくても、
誰も、取らないよ。」
「いや、美味しいから、
つい、こうなっちゃう。」
「そうなんだね。ふふっ。ありがと。」
あっという間に、ご飯を、食べて。。。
食べ終わりに、琢磨の好きな、
珈琲。
それと、ケーキを出して。
ロウソクに、火をつける。
子供をみたいに、嬉しそうな、
琢磨に、
「ほら、吹き消して。」
と、あたしも、笑顔になる。
「ふーっ」と、琢磨が、ロウソクを、
吹き消すと、
「お誕生日、おめでとう琢磨。」
「ありがと。さくら。」
幸せそうに、あたしを見つめる。
そんな、琢磨に、キスをした。
ケーキを、二人でゆっくり食べて。
お腹が、いっぱいになった、
あたし達は、片付けも、後に、
琢磨の、腕枕で、そのまま、ごろ寝。
「さくら。今日は、ありがとう。
とっても幸せだよ。」
「ふふっ。どういたしまして。」
また、見詰めあって。
そのまま、琢磨に抱きついた。
琢磨の、匂い。
幸せで。とても落ち着く。。。
その後。。。
お母さんに、軽く、揺すられて。。。
「ふふっ。風邪引いたら困るから、
寝るなら、布団で寝なさい。」
って。
あたし達は、抱きあったまま、
そのまま、寝ていて、
時間は、夜の9時になっていた。
琢磨も、珍しく、寝ていて。
「琢磨。起きて。」
って。
起こした、琢磨と、あたしは、
少し、寝ぼけながら、笑った。
テーブルの上は、お母さんが、
すっかりと、片付け終わっていて、
綺麗になっていた。
「ねぇ、お母さんって、
何時帰って来たの?」
「8時過ぎかなぁ。」
「もう。起こしてくれればいいのに。」
お母さんは、「ふふっ。」と笑うと。
「あんなに、幸せそうに寝てるから、
起こし辛くて。でも、
本当に、仲良しで、安心するわ。」
だって。
夜も、10時。。。
琢磨を、玄関先まで見送って、
「また、明日ね。」
と、小さく手を振った。
そんな、あたしに、琢磨は、
抱きついて、
「今日は、ありがとう。。。こんな、
素敵な誕生日。僕は、一生忘れない。」
そう、囁くように、あたしの耳元で、
言った。
そんな、琢磨が、愛しくて。
あたしも、「ギュッ」と、抱き締めて、
キスをした。
このまま、離したくない気分になった。
だけど、また、明日も会えるから。
少し、我慢して。
琢磨に、
「お休みなさい。」
って。
琢磨も、「お休みなさい。」
って。
琢磨の誕生日は、こうして幸せな、
気持ちのまま、終わった。。。
家に、入ると、お母さんが、
ケーキを、出していたから、
あたしは、お母さんに、
珈琲を出して。。。
今、離れたばかりだけど、
もう、琢磨に、会いたくなってる。
早く、明日にならないかな。
そんな、事を、思いながら、
今日が、終わった。。。
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