第60話 猫とプレゼントを買いに。


暖かい、布団の中。


ホテルに戻ってから、

ずっと二人で、暖めあった。

そんな、素敵な夜を過ごして、

幸せな気持ちで、迎えた朝は、

そんな余韻に、ボーッとしてしまう。


珍しく、琢磨より先に起きて、

琢磨の、可愛い寝顔を、眺めてる。。。


手には、琢磨から貰った、指輪が、

あたしの指で、光ってる。


昨日の夜、琢磨の分の、指輪のお金、

払うねって、言ったら、

誕生日の、プレゼントで、

使って欲しいって、拒否された。


琢磨は、あたしと同じで、

一回言ったら、まず引かないから、

あたしも、直ぐに、「わかった。」  って、言った。


それでも、あたしが、

強く言うことには、先に折れてくれる。


そんな、琢磨のおでこに、

手を乗せて。可愛い寝顔に、

軽く、キスをしてみた。


「おはよ。」 


「あ、ごめん。起こしちゃった?」


「ふふっ。実は、起きてたけど、

さくらが、僕に、くっついていて、

くれてるから、心地よくて、

寝たふりしてた。」


「もう。じゃあ、琢磨の事、

見てたの、気付いてたの?」


「うん。ちょっと、ドキドキした。」


「もう。」


琢磨は、あたしに抱きつくと、

優しく、キスをしてくれて、

「ごめん。」

って。


琢磨が、可愛くて、

「もう。いいよ。」

って返した。


今日は、琢磨の誕生日プレゼントを、

買いに、昨日の、

ショッピングモールに、

また行くことにしてる。

昨日は、指輪で、胸がいっぱいで、

実際、お店は、殆んど見てないから。


琢磨と一緒に、シャワーを浴びて、

支度を整えると、あたし達は、

バスに乗って、

ショッピングモールに、琢磨の、

プレゼントを、買いに、出掛けた。


「ねぇ、琢磨、プレゼント、

何か、欲しいもの無いの?」

あたしが、そう聞くと、琢磨は、

物凄く、考え込んで。


「う~ん。。。

何かと、言われても。。。」

そういった後、

そのまま、腕を組んで、

暫くまた、考え込んだ。。。


そんな、琢磨を、気長に待つあたし。


「あ、そう言えば、さくらに、

上着を一枚、選んで欲しい。」


そう言うと、琢磨は、あたしに、

微笑んだ。


「え。あたしに、選んで欲しいの?

上着って、どんなのがいいの?

時期的に、薄手のジャケットとか、

それとも、シャツとか?」


「うん。そうだね。

さくらが、選んだシャツが欲しい。」


「ふふっ。わかった。

琢磨に、一番似合うのを、

あたしが、探してあげるね。」


琢磨が、あまりにも、

嬉しそうに、微笑むから、

あたしも、思わず、

楽しい気持ちになって、琢磨の、

手を引いて、お店を、何件も、

廻った。


琢磨に、シャツをかざしては、

取り替えて。。。


一応、気に入ったものは、

あったけど、最高の一枚を、

探して、五件目。。。


「これ、良くないかな?」


「うん。格好いいかも。」  


前開きのシャツで、

琢磨に、良く似合う一枚を、

見つけて。


琢磨に、試着して貰う事にした。


試着室の、カーテンが、開くと、

本当に、良く似合ってて、

格好いい。。。


「あたしは、これが、いいな。」


そう言うと、琢磨は、満面の笑み。


「うん。格好いいと思うし、

こんなに、選んでくれるなんて、

思わなかったよ。

本当に、嬉しい。」


と、お店の中なのに、抱き締めらた。


「ちょっと、琢磨。少しは、場所を、

考えてね。」


と、本当は、嬉しかったけど、

琢磨を、少しだけ叱った。


「うん。ごめん。」


と、申し訳無さそうな、琢磨。


だから、あたしも、

「嬉しいけど、お店の中で、

抱きつくの、禁止。」


って、付け加えた。


それを聞いて、嬉しそうな、

琢磨を連れて、レジで、お会計すると、

あたし達は、一度、フードコートで、

休憩。


「着て帰るなんて、そんなに、

気に入ってくれたの?」


「勿論。」

本当に、嬉しそうな琢磨。。。


テーブルに、頬杖をついて、

琢磨を見つめる。


琢磨も、あたしを凄く優しく、

見つめるから、

本当は、今すぐ、抱きつきたい。


あ、これじゃ、さっきの琢磨と、

一緒じゃんって思ったら、

何だか、「ふふっ。」って、

笑ってしまって。


「どうしたの、さくら。」

って、琢磨もつられて笑っている。


何だか、本当に、可笑しくなって、

琢磨の、手を握って、

「何でもないけど、ごめん。」


って、ちょっと照れた。


琢磨が、珈琲を飲み終わると、

あたしも、アイスティの、

最後の一口を、すすって。。。


「ねぇ、琢磨。あのね、

あたしも、琢磨に抱きつきたい。」

って、言うと。


物凄く、優しい顔で、琢磨が、


「僕には、外で、抱きついても、

構わないからね。」


って。。。


さっき、自分で、言ったことが、

琢磨に、包まれた見たいで、

少し、心が、「キュン」とした。


その後も、琢磨と、

手を繋いで、色々と、見て歩く。


あたしの、好きそうな場所で、

足を止める琢磨。


「これ、さくらに、似合いそう。」


そう言うと、髪止めを、あたしの、

頭に、重ねて眺める。


「スッ」と、レジに行って、

戻って来ると、

「はい」って、

あたしに、プレゼント。。。


「え。いいの?」

って、琢磨に聞くと、

「だって、今日は、さくらに、

髪止めを買いたいと思って、

歩いていたから。」


「どうして?」


「特に理由は、無いけど、

いつも、同じのしてるから、

替えがあった方が、いいかなと、

思って。」


「うん。確かに。そうかも。」 


琢磨が、買ってくれたのは、

お花の飾りが、綺麗な髪止め。


あたしも、とても気に入って、

化粧室で、早速、髪を飾ると、

琢磨の前で、披露した。


「どう?」


そう聞くと、琢磨は、


「うん。思った以上に、綺麗。」


と微笑んでくれた。


あたしは、嬉しくなって、

琢磨の腕に、抱きついた。


琢磨の、お腹が、空いたのが、

何と無く、わかって、

琢磨を誘って、ご飯のエリアに。。。


「ねぇ、琢磨。今日は、

何をたべたい?あ、私以外ね。」


「ふふっ。先に言われちゃった。

昨日が、ハンバーグだから、

たまには、とんかつとか、

食べたいなぁ。」


「とんかつ?」


「うん。」


案内板を見ながら、とんかつ屋さんに、

移動すると、琢磨とあたしは、


同じのを、注文。ロースカツ御膳。

琢磨は、大盛り。


お茶を、すすりながら、

とんかつを待つ琢磨は、見てて、

楽しい。


とんかつが、来たときなんかは、

本当に、嬉しそうな顔。


そんな、琢磨を、見てるのが好き。

食べてる所は、大好き。


ご飯を食べて、ホテルに戻ると、

あたしは、我慢した分、琢磨に、

いっぱい、抱きついた。


明日は、帰る日だから、

今日は、いっぱい、琢磨を、

抱き締めようって、思った。。。

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