第58話 猫と花博。


ゴールデンウィークの初日。


琢磨と一緒に、花博に出掛けた。


何時も通り、時間通りに、

迎えに来てくれる彼。


そんな、彼を待ってるあたし。

朝の弱いあたしも、

自然と、少しだけ早起きになって、

今は、約束の、一時間前には、

起きて、支度をしている。


今日は、あまりにも、眠いから、

朝から、シャワーを浴びて、

眠気を覚まして。


軽く、お化粧して、琢磨と選んだ、

服を着て。


琢磨と、出会って、一年とちょっと。


付き合ってからだと、もうすぐ一年。


琢磨とは、席が隣になってから、

クロを、助けて貰った事を、

きっかけに、一緒にお弁当を、

食べる関係から、プロポーズ。


思えば、本当に、運命の人。


可笑しいな、あたしって、

こんなキャラじゃ、無かったはず。。。

髪だって、伸ばしてみたり。

今じゃ、本当に、女の子。

そう、琢磨に、見られたいし、

可愛くしたい。

何なんだろう。。。


今、駅に向かうバスで、隣にいる、

琢磨。チラリと見ると、

微笑んだ顔も、カッコいい。


何回見ても、ドキドキする。


「ねぇ、琢磨。」


「ん。」


「何でもない。」


そう言うと、微笑む彼。


駅に着いて、彼に手を引かれて、

歩く。


暖かい、彼の大きな手を、

あたしも、「ぎゅっ」って、握って、

歩く。


たまに、あたしの歩く、ペースを、

気にして、早すぎないように、

調整してくれてるのが、わかる。


優しいなぁ。って、何時も感心する。


電車に乗ると、混んでる時は、

あたしの前に、場所を取って、

あたしが、押されたりしない様に、

何時も、庇ってくれる。


守られてるなぁって、何時も安心する。


現地についてから、

また、バスに乗って、移動する時も、

知ってるかのように、迷わず、

移動する。


頼もしいなぁ。って、何時も思う。


「ねぇ、琢磨。後、どのくらいなの?」


「ん。バスに乗ったから、

後、二十分くらいだよ。」


「そうなんだ。調べたの?」


「うん。勿論。今日、朝から、

バッチリ、頭に、叩き込んだから、

大丈夫だよ。」


「ふふっ。凄いね、琢磨。」


「ふふっ。凄いでしょ。」


ニッコリ笑う琢磨。そんな、

琢磨の笑顔は、とても素敵で、

誰もいなかったら、

キスしたい。


バスを降りて、現地に着くと、

「スッ」と、手を差し出す琢磨。

あたしが、

その手を、握ると、花博の会場へ、

あたしを連れて、「行こうか?」

って、

琢磨が、歩き出す。


「うん。」って、返すあたし。


会場には、花のオブジェや、

綺麗な、花畑。


「わぁ。」

と、思わず声が漏れる。


「綺麗だね。」って、

微笑む、琢磨。


「うん。琢磨、連れて来てくれて、

ありがとう。」


自然に、言葉が漏れる。


「うん。来て良かった。」


また、微笑む琢磨。


ゆっくりと、歩いて、ちょっとした、

フードコートを見つけて、

休憩。


「ねぇ、琢磨。何か飲む?

あたし、買ってくるよ。」


そう問い掛けると、琢磨は、

「じゃあ、さくらの分は、

僕が、買って来るよ、何飲みたい?」

って。


少し笑って、結局二人で、

買いに行って、

座れる場所を、琢磨が見つけて、

そこで、休憩した。


「ねぇ、琢磨、もう、お昼だけど、

お腹大丈夫なの?」


「ん。腹ペコだよ。」


「ふふっ。そうだと、思った。

取り敢えず、じゃあ、一緒に、

そこの、フードコートで、

ホットドッグでも、食べようよ。」


「うん。ちょっと買ってくるから、

ここの席で、座ってて。」


「サッ」と、小走りに、買いに行く、

琢磨を見送る。


フードコートには、

少し人が並んでいて、あたしは、

並んでる、琢磨を見詰めている。


琢磨の順番になって、あれこれと、

指を指して、頼んでいる琢磨。

結構、お腹空いてたんだなぁって、

わかる。

何だか、可笑しくなって、

「ふふっ。」と、漏れる。


そんな、あたしの方を見て、

琢磨が、嬉しそうな顔して、

手を振る。


あたしも、手を振って返すと、

琢磨の、嬉しそうな顔に、

自然と、笑顔になる。


「お待たせ~。」


「結構、買ったんだね。」


袋いっぱいに、食べ物を買って来た、

琢磨。


「ホットドッグ三つと、ポテトでしょ。

それと、アメリカンドックに、

後、ドーナツが売ってたから、

買って来た。」


「ふふっ。

本当に、腹ペコだったんだね。」


「そりゃもう。後、三歩歩いたら、

死んじゃうくらい。」

と、苦笑い。


「ふふっ。大変だったね。

早く、食べちゃいなよ。

死んじゃうから。」


と、あたしも、笑って、

紙袋を、受け取ると、

琢磨に、ホットドッグを、

袋から、出して、渡した。


琢磨は、3口で、一つの、

ホットドッグを食べると、

珈琲で、流し込んだ。


「早すぎ。もっと、ちゃんと噛んで、

食べないと、駄目だよ。」


「うん。次のは、ゆっくり食べる。」


「そうしてね。」

と、苦笑い。


琢磨は、結局、あたしが、

ホットドッグを、一つ食べる間に、

ポテト以外、全部食べ終わり、

満足そうに、あたしを見て、

微笑んだ。


本当に、食べてる時の、琢磨って、

あたし、大好きだ。

でも、あたしのご飯を、食べてる、

琢磨は、もっと、幸せそうに、

食べるから、作ってるあたしも、

本当に、幸せになる。


ポテトを、二人で、半分個して、

お腹が、満たされると、

また、手を繋いで、

お花を見て歩く。


何枚か、写真も撮って。


朝から、3時過ぎまで、花博で、

過ごした。


「ねぇ、琢磨。ホテルって、

ここから、どのくらいなの?」


「ん。バスで行くんだけど、

三十分くらいだと、思うよ。」


「ショッピングモールは?」


「ちょっと待ってね。」


琢磨が、スマホを取り出すと、

調べてくれて、ここから、

バスで15分。丁度、花博と、

ホテルの中間くらいの距離だと、

わかった。


「ねぇ、琢磨。

この後、ショッピングモールに、

行かない?」

と、微笑むと、


「丁度良いかも。ついでに、

ご飯も、食べちゃおうか?」

と、琢磨も微笑む。


「うん。そうしよ。また、

琢磨が、腹ペコになったら、

大変だから。」


琢磨の案内で、

あたし達は、ショッピングモールに、

向けて、バスに乗った。。。














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