第57話 猫とゴールデンウィーク 続
彼女の家に上がると、
休みの日なのに、お母さんの姿は無く。
「あれ、お母さんは?」
「今日は、友達と、出掛けるって、
朝から、車で、出掛けたよ。」
「そうなんだね。」
僕は、何時も通り、クロのおやつを、
小皿に入れて、クロに挨拶した。
「ねぇ、琢磨。」
「ん。」
「ゴールデンウィークってさぁ。
何処か行く?」
「うん。行きたいって、思ってるよ。」
彼女を、見詰めながら、そう返す。
「何で、そんなに、笑顔なの?」
「何でもない。」
「あ、何か、思ってるでしょ。」
「ふふっ。まぁ。うん。」
「何?何?」
「いや、多分ね、さくらが、
そろそろ、ゴールデンウィークの、
話題に触れると、思ってたから。」
少し、間が空いて、「ふふっ。」
と、笑う、さくら。
つられて、僕も笑う。
「琢磨も、ゴールデンウィーク、
考えてたんだね。」
「うん。勿論。」
「で、何処かいい所、あった?」
「うん。色々あるけど、
さくらは、何処か、行きたい所、
見つけたんじゃないの?」
「スッ」と、スマホを出すと、
僕に、花のいっぱい写った画像を、
見せる。
「ここって、花博だよね。
僕も、最近見たよ。
ここ、行きたいの? さくら。」
「うん。」
「ちょっと待ってね、今、
調べるから。」
スマホで、電車、バス。時間を調べる。
「どうする?日帰りでも、充分、
行って、帰ってこれるけど。」
「うん。そうだけど、久々に、
琢磨と、お泊まりしたいなぁ。」
と、微笑む、さくらに、
「うん。僕も。」
と、微笑んだ。
「ちょっと、近くに、宿泊出来る所、
探すね。」
スマホで、検索すると、直ぐに、
何件も出て来て、
何処に泊まるか、画面を見ながら、
さくらと、決めて、
予約ボタンを、タップした。
「ふふっ。決まったね。」
「うん。」
「でも、琢磨も、
色々調べてくれてたんじゃないの?」
「どっちにしろ、絶対行きたい。
って、場所が、今回は、無くてさ、
さくらと、相談して決めようと、
思ってたから、さくらから、
提案してくれて、助かったよ。」
と、苦笑いして返した。
「そうなんだ。琢磨なら、
また、キャンプとか、
連れてってくれるのかと、
思ってたから。」
「え。行きたかった?」
「キャンプ、楽しかったから、
行きたい気持ちもあるけど、
何て言うのか、テントだとさ、
ゆっくりと、出来ない感じがして。」
「まぁ、布一枚だから、会話も、
筒抜けだもんね。
あ、そうそう、どうせ行くなら、
近くに、他に、何かあるか、
調べて見ようよ。」
スマホの画面を、二人で、
色々、検索しながら、眺めると、
大きな、ショッピングモールや、
遊園地などの、情報が、
出て来て、時間などを、
考えると、ショッピングモール
の方が、ゆっくりと、
過ごせそうだから、今回は、大きな、
ショッピングモールに、寄ることに、
決めた。
「ねぇ、琢磨。」
「ん。」
「楽しみ。」
「僕も。」
「チュッ」と、軽いキスを交わすと、
少し、見詰めあって、「ふふっ。」と、
笑いあった。
「先に、お金払いに行こうか?」
「うん。そうしよ。」
近くの、コンビニに、支払いに、
行くついでに、
足を伸ばして、駅ビルに、
ぶらりと、デート。
今日は、休みだけど、3時くらいには、
戻って、お勉強。
楽しい時間と、しないといけない事を、
ちゃんと、分けてるから、
集中出来る。。。
駅ビルに着くと、
取り敢えず、ファーストフードの、
お店に入り、軽く、珈琲を飲んで。
手を繋いで、何時も通り、
色々、見て歩く。
「ねぇ、琢磨。」
「ん。なぁに?」
さくらの、顔が、とても優しくて。
「なんかさぁ。あたし、
こうして、歩いてるだけでね、幸せ。」
「僕もだよ。」
「ふふっ。琢磨、大好き。」
「僕も、大好きだもん。」
「ふふっ。」と、笑って、
そのまま、歩いて。。。
バスに乗り、彼女の家に戻った。
家に、着くと、彼女が僕に、
聞いて来た。
「ねぇ、琢磨。あのさ、
もうすぐ、琢磨誕生日じゃん?
何か、欲しいものある?」
「う~ん。欲しいものかぁ。
今、
一つしか、欲しいもの無いなぁ。」
「え。何が、欲しいの?
あ、ちょっと待って、わかった。」
「え。わかったの?」
「ふふっ。だって、琢磨だもん。」
「うん。さくら。」
ちょっと、さくらは、照れて。。。
「じゃあ、琢磨は、欲しいもの、
手に入れてるから、プレゼントは、
何でも、良いって事だね。」
と、優しく微笑んだ。
「何か、くれるなら、
何時も通り、ご飯を作って欲しい。
出来れば、ハンバーグで。」
「ふふっ。じゃあ、誕生日の日は、
とっておきの、ハンバーグを、
食べさせてあげるね。」
「うん。凄く嬉しい。」
胸が、いっぱいになって、
さくらに、抱きついて、
「ありがとう。」
と言うと、キスをして、
また、抱き締めた。
「ちょっと苦し。」
「あ、ごめん。」
「嬉しくて、つい。」
「もう、ハンバーグで、
そんなに、テンションあがるって、
子供みたい。」
「ふふっ。そうかも。。。
あ、来月は、さくらの、
誕生日だけど、何か欲しいもの、
あるの?」
「う~ん。欲しいものって、
急に、聞かれても、
特にないけど。。。
あ、安くていいから、
指輪とか、してみたいかも。」
「ん。指輪?」
「うん。一応、琢磨と、婚約中でしょ。
だから、指輪が欲しい。」
「あ、そうだね。ごめん。
僕が、そう言うのに、疎くて。」
「ふふっ。あたしも、
欲しいもの聞かれなかったら、
思い着かなかったから、
気にしないで。」
「うん。じゃあ、誕生日に、
間に合うように、指輪を、
見に行こうよ。」
「え、いつ?」
「今度の、花博から、帰って来たら、
直ぐに、見に行こうよ。」
「え、いいの?」
「うん。だって、それでも、
遅いくらいだもん。本当なら、
去年、みんなで、顔合わせした時には、
さくらに、送ってないと、
おかしいし。。。」
「もう、気にし過ぎ。」
そう言うさくらは、苦笑い。
「でも、それは、誕生日プレゼントと、
別で、送りたい。。。
僕にとって、一生で、
一度の事だから。」
「じゃあ、あたしも、琢磨に、
指輪、送らせてくれる?」
「え。僕に?」
「うん。一緒に、指輪したいな。
お揃いのやつ。」
「うん。わかった。じゃあ、
お揃いの指輪、探しに行こうね。」
ゴールデンウィークのお出掛けと、
指輪の話が、決まって、
この日の、
僕は、胸がいっぱいになって、
家に、帰った。
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