第51話 猫と北海道 続 続 続


動物園の帰りに、運河の夜景を見に、

そのまま、移動していた。


彼女は、動物園が、

とても楽しかったらしくて、

特に、上機嫌。。。


バスと、電車を乗り継いで、

日の落ち掛けた時間に、

運河に到着した。


この日は、辺りは静かで、

カップルも多い。。。


ライトアップされた運河は、

幻想的で。。。


「ねぇ、琢磨。綺麗だね。」


動物園の時とは、違う表情。

とても、艶っぽくて、ドキッとする。


「うん。」


そう答えて、彼女の綺麗な横顔を見る。


「ふふっ。どうしたの?

そんなに、見詰めて。」


「さくらが、とっても綺麗だから。」


「もう。夜景を見に来たのに、

あたしを、見詰めてどうするの?」


「うん。そうなんだけど、

この運河の夜景より、

さくらを、見ていたい。」


「ふふっ。本当に、琢磨は、

あたしの事、大好きだよね。」


「そうだね。大好きだよ。」


そう言うと、さくらは、僕に優しく、

抱きつくと、


「あたしもだよ。」


って、言ってくれた。


結構な人がいる中だけど、

今は、気にならないくらい、

さくらしか、見えてない。。。

抱きついた、

さくらを、抱き締め返すと、


「本当に、僕は、幸せ。」


と、さくらの、耳元に囁いた。


「うん。あたしも、幸せ。」


と、さくらも、囁く。


暫く、そのままで。。。


寒さも忘れて、抱き締め合った。


その後、二人で、腕を絡めて、

運河の夜景を、目に焼き付けてから、

その場を、後にした。。。


「ねぇ、琢磨。お腹空いてるでしょ。」


「ふふっ。バレた?」


「だってね、さっき、くーって、

お腹が、鳴いてたもん。」


「だってね、昼の、軽食以外、

今日、何も食べてないんだよね。」


「それも、そうだね。あたしも、

アイスと、ポテトしか、食べてない。」


なんか、可笑しくて、二人で、

移動しながら、何が、食べたいかを、

話しながら、ホテルの方に、

戻った。


「ねぇ、琢磨。寒いし、鍋じゃない?」


「うん。僕も、

鍋って、言おうとした。」


「何鍋?」


「すき焼き!」


「ふふっ。あたしも、すき焼き。」


食べるものが、決まって、

僕らは、手を繋いで、少し、

足のペースを上げた。。。

飲食街を、歩くと、直ぐにお店は、

見つかった。


「ここにしよう。」


「ちょっと高そうだよ。」


「大丈夫。そこに、値段書いてあるし、

その金額なら、余裕で、払えるもん。」


「あ、本当だね。思ったよりは、

高くないね。」



ギリギリ、夕食時より、少し早い時間。

それでも、それなりに混んでいて、

僕たちは、何とか席に座れた。


すき焼きと、ご飯を頼んで、

彼女と一緒に、鍋を待つ。。。


「ねぇ、琢磨。

凄くいい匂いがするね。」


「うん。お腹が、減って、倒れそう。」


ここ最近、さくらと、過ごす生活で、

こんなに、お腹が空いたのは、

久々だった。

彼女の傍にいると、

僕の、お腹が空くタイミングで、

何かしら、準備してくれたりと、

本当に、さくらは、気が利くからだ。


「ごめんね、

琢磨。お腹空いてるのに、

無理させて。」


「ううん。気にしないで。

あんまりにも、楽しくて、

さっきまで、

お腹空いてなかったから。」


「え。さっき、あたしに抱きついたら、

お腹空いたって事かな?」


「うん。さくらに、抱きつくと、

安心するって言うか。。。

お腹空くんだよね。」


さくらは、ちょっと、考えた顔をして。


「じゃあ、琢磨は、抱きつき、禁止。」


そんな事を言うから、僕も困って。。。


「じゃあ、抱きついたら、さくらを、

食べるから、いいもん。」


「ん。どういう意味?」


「そのままの意味。」


「ふふっ。

あたしは、食べ物じゃありません。」


「ふふっ。

そっちの食べるじゃないもん。」


「え?あ、そっち?って、

そっちって、お腹空いてるのに、

そんな事をしたら、

琢磨は、餓死確定だね。。。

馬鹿、えっち。アホ。」


「ふふっ。酷い。」


そんな、馬鹿な会話をしていると、

お鍋が、届いて、目の前の、

コンロに、火が着いて、

今日の、晩御飯が、始まった。。。


彼女が、手際よく、お肉から、

日を通して、割り下を入れると、

その香りに、空腹の僕は、

倒れそう。。。


野菜が、入ると、煮えたら、

すき焼きの完成だ。


「腹が、減って、死にそう。。。」


「ふふっ。本当に琢磨は、空腹に、

弱いね。」


「だって、お腹空いたもん。」


「はいはい。でも、最初に入れた肉と、

白菜の、薄い葉の部分は、

もう、食べられるよ。」

と、言って、苦笑いのさくら。


料理長の許可が降りたので、

お肉を、溶いた卵に着けて、

「パクリ」


「んー。」


ご飯を、掻き込むと、とても、

幸せな気持ちになった。。。


「ふふっ。本当に琢磨は、

ご飯を、幸せそうに食べるね。」


「さくら、このお肉、本当に、

美味しい。」


そう言うと、お肉を一枚、

さくらの、器に乗せる。。。


さくらも、「パクリ」


「んー。おいひい。」


「でしょ。」


「うん。」


さくらと、二人で、パクパクと、

食べ進めると、あっという間に、

お肉も、野菜も無くなって。


追加で、更にお肉を頼んで。


お腹いっぱいに、すき焼きを、

堪能した。


「あー。美味しかった。」


「うん。美味しかったね、琢磨。」


体も、暖まり。

さくらと、二人で、ゆっくりと、

ホテルに戻って、休憩。。。


部屋に戻って、少し休憩した、僕らは、

ホテルの、大浴場に、入る事にした。


「ねぇ、琢磨。」


「うん。なぁに?」


「お腹いっぱいになったら、

何だか、眠たくなっちゃった。」


「実は、僕もなんだけどね。

このホテルの、大浴場ってさ、

一回も、入って無いから、

入りたいって気持ちもある。」


「あ。そうだよね。何で、

入れなかったんだっけ?」


「それは、ホテルにいる時間は、

ずっと、さくらを、食べてたから。」


そう言うと、久しぶりに、

さくらの、痛くない蹴りを、

お尻に、くらった。


「ほーんと、琢磨は、えっち。」


「うん。さくら、限定だけどね。」


そう言うと。

さくらは、僕を見詰めて、


「ふふっ。じゃ、許す。」


その、仕草が可愛くて、

僕は、動きが、一瞬、止まった。


「もう。琢磨。お風呂行くんだよね?」


「うん。でも、さくらを、食べたい。」


彼女は、ちょっと困った顔をしたけど、


「じゃ、いいよ。」

と、苦笑い。


結局、さくらと、愛し合ってから、

大浴場の、入浴時間、ギリギリに、

お風呂に入って。。。

この日は、

心から、幸せのうちに、

終わった。。。












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