第3話 猫と僕。
笹木さんと、仲直り出来た事で、
僕の気分は、嬉しさで、いっぱいだ。
それにしても、となりの、女子が、
笹木さんだって、ずっと、気付かない
僕も、どうかしてると思うし、
あっちも、僕の事を知らないって、
そんな事あるのかとも、思う。。。
今日1日は、ついつい、笹木さんが、
気になって、目で、追いかけてしまい、
僕は、ずっと。意識してしまった。
授業が、終わると今日は、部活を、
サボって、猫を見掛けた、あの場所へ
向かう。。。
「え。」
黒猫の、クロ。
昨日のクロと会った場所で、
うずくまってる、クロがいた。
慌てて、クロに近づいて、
抱き抱える。クロは、殆んど、
動いていない。微かに動く耳が、
生きている事を、教えてくれる。
僕は、走った、クロを抱えて、
近くの、動物病院に。。。
「先生、クロを見て下さい!」
駆け込んだ、動物病院で、クロを、
受付に、差し出して、お願いする。。。
僕が、あまりに、大きな声を出すから、
奥から、先生が、覗き込む。。。
「一応、見るけど、
覚悟は、して欲しい。。。」
「先生、お願いします。。」
クロは、僕に、お礼を言うみたいに、
しっぼの先を、ちょこんと、持ち上げ、
診察室に連れて行かれた。。。
二時間くらい、待合室で待った。
僕は、せめて、さくらさんの、
電話番号を、知ってたらと、悔やんだ。
クロが、死にそうなのに。。。
ちょうど、その時、奥から先生が、
出てきた。。。
「処置は、終わったけど、今日か、
明日が、峠だね。。一応、覚悟は、
しておいてね。
クロちゃん、頑張ったよ。」
僕は、頑張ったクロに、
取り敢えず、
ホッとして、先生に、お礼と、
僕の、住所、電話番号、
取り敢えずの、有り金全部を、
置いて、笹木さんに、
この事を、伝えないと、
その思いで、
クロを拾った、あの場所に、
走り出していた。
もう、日が暮れて、夕方。。。
必死に走って、そこに行くと、
「クロ~。クロ~。」
そう言いながら、心配して探してる、
笹木さんを、見つけた。
息を切らせて、笹木さんに、伝える。
「はぁ。。はぁ。。」
「なんだよ、琢磨じゃん。
どうした、そんなに息切らせて。」
「クロ。クロが、死にそうで、
今、病院で、見てもらってる。」
笹木さんに、両肩を掴まれて、
前後に、振られる。。。
「嘘、どこの病院!」
「ついてきて。」
僕は、笹木さんを連れて、
病院に、また、走って戻った。。。
「先生!クロは、大丈夫なんですか!」
笹木さんは、病院のドアを、
開けると、周りの人が、
目に入らない感じで、先生の所に、
一気に、走り込んだ。。。
先生も、それには、
びっくりしてたけど。
「落ち着いて。え~と、お名前は?」
「笹木です。。先生クロは?」
「クロちゃんは、今の所、
落ち着いているから、今日は、
このまま、病院であずかるよ。
でも、かなり、弱っているから、
覚悟は、しておいてね。
こればかりは、後は、
クロちゃん次第だから。。。」
「先生、クロ見ていっていいですか?」
「そこの、ゲージに、寝かせてある。
だけど、見るだけにしてね。
出来るだけ、寝かせてあげたいから。」
「はい。。」
クロは、ぐったりしていて、
笹木さんは、泣いていた。。。
先生に、聞いた所、人懐っこいクロは、
誰かに、食べてはいけない物を、
もらったんじゃないかって。
病院から出ると、僕と、笹木さんは、
途中まで、家の方向が、同じみたいで、
一緒に歩く。。
僕は。。
ずっと、考え事をしていた。。。
病院で、それを、聞いた時。。。
一歩間違えれば、自分も、加害者。
そう思うと、とても、怖くなった。
昨日の事を、思い出して、
僕も、
血の気が引いてしまっていた。。
「琢磨。」
「ハッ」と、して、隣の、笹木さんに、
話し掛けられてるのに、気付く。。
「あ、ごめん、笹木さん、何?」
「ありがと、ね。琢磨が、運んで、
くれなかったら、クロ、とっくに、
死んでたかも。。」
「ごめん。笹木さん。昨日の僕も、
同じ事を、しようとしたのかもって、
思ったら、なんだか、哀しくて。」
「琢磨ってさ、優しいんだね。」
「そんなんじゃ。。」
「クロはさ、あたしの、
お父さんが、拾ってきた猫なんだ。」
「そう、なんだ。」
「そう、だからね、クロと、
一緒にいると、お父さんが、
いるみたいで、落ち着くんだよ。」
「え。じゃ、お父さんって。。」
「あたしが、中学生の時に、
死んじゃった。
だから、クロも、死んじゃうのかな。」
「そんな事、言ったら駄目だよ。
クロは、今頑張ってるんだよ。
笹木さんに、会いたいと思って、
頑張ってる。だから、笹木さんも、
死ぬ事じゃなくて、回復する事を、
ちゃんと、応援してあげてよ。」
「あ、あはは。そう。だね。」
「笹木さん、ごめんね、今、
笹木さん弱ってるのに、
こんな事しか、言えないけど、
明日、また、クロを一緒に、
応援しに行こう。二人で、
応援したら、回復早くなるかも。」
笹木さんは、少しきょとんとして。
「琢磨、お前、やっぱり優しいよ。」
「そう、かな。思った事言っただけ
だけど。でも、正直に、
笹木さんに、そう言われるの、
嫌な気分じゃない。」
「じゃあ、明日も、よろしくね、
琢磨。」
笹木さんから、差し出された手を、
僕は、そっと握った。。
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