第4話 ろうそくは有効?~最適な光源選び
さて、災害時であっても時間は容赦なく進み、日が暮れてしまいます。辺りが闇に包まれるという体験は、現代人にとっては既に馴染みの無いことかもしれません。夜であっても常にどこかしら明かりが点っているのが日常であり、漆黒の闇というものを災害時に初めて味わう人も多いでしょう。
余談ですが、災害時に見た夜空がとても綺麗だった、というのはあちこちで聞かれた言葉です。不謹慎、と仰る向きもあるかもしれませんが、鬱々としていても事態は好転しません。気持ちにゆとりが持てたなら、星空を眺めてみるのも良いかもしれません。都市部では完全な闇というのは失われたものでもありますからね。
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停電時の明かりとして誰もが思い付くのが「ろうそく」……と言いたいところですが、現代ではスマホに搭載されている簡易ライトの方が身近かもしれませんね。
○ 懐中電灯
恐らく、最も使用頻度の高い光源がこれだと思います。スイッチひとつですぐ点灯、小さくて嵩張らず安全性も高い。夜間停電で明かりを失うと致命的にもなります。必ずひとつは用意しておきましょう。
その他、合図を送ったり現在地を示すためにも役立ちます。真っ暗な中でなら、かなりの遠方からでも視認できますので、夜間の外出の際はスマホだけに頼らず、必ず持ち歩くようにしましょう。
懐中電灯の使用には必ず電池が必要になります。電池の備蓄状況は忘れずに確認しましょう。購入から長期間経過した乾電池は劣化が進んでいることも考えられます。これもできればローリング備蓄に組み入れて、常に新しいものを常備しておきたいところです。
災害用電灯には多くの商品があり、選択に悩む部分でもあると思いますが、まずはシンプルなものを選ぶことをお勧めします。
ラジオ搭載型等もありますが、それぞれ別で使いたいときに分割できないという不便さがあり、また単体に比べどうしても大きくなりますので携帯性でも劣ることになります。ラジオは、全員で一つずつ使うものでもありませんので災害持ち出し袋にひとつあればいいでしょう。実際のところ避難所ではあまり出番がありません。どちらかというと、日中のお供にという感じです。
災害時に便利、という謳い文句で見かける「手回し発電ライト」。これは個人的な感想ですが、あまり良くありませんでした。
実際に使ってみると、非常に動作音がうるさく結構なストレスを感じます。
また作業時に置いて使えない、取っ手が邪魔で大きいなど不便な点も多く、常用に耐え得るものではありませんでした。造りも貧弱な物が多く、本腰を入れて使おうとすると壊れやすいものばかりでした。
何個かある懐中電灯の中のひとつ、として持っておく分には良いと思いますが、メインで使うつもりなら止めた方が無難です。
選ぶ際には、できれば防水の物が望ましいでしょう。普段から使う為の物として選ぶのも良いと思います。置いて使うなら、キャンプ用品の中にランタン型の良いものがありますので、選択肢として考えてみても良いかもしれません。
作業用の頑丈なものだとなお良いのですが、値段はそこそこします。それぞれの使い方に合った物を選ぶ事を心掛けましょう。
そして、懐中電灯には蓄光テープを貼っておくことをお勧めします。いざ急に停電になった時、懐中電灯の場所がわからないのでは問題です。蓄光テープは、光を浴びると真っ暗になった時、一定時間光り続けてくれます。懐中電灯の他にもドアノブや災害用品を入れてある戸棚などにも貼っておくとよいでしょう。
○ ヘッドランプ
これは、おでこの部分にベルトなどで固定して使うライトです。一般家庭で常備しているところは少ないと思われますが、使ってみると様々な利点があります。まず、両手がフリーになりますので作業をする際や物を運ぶ際にも重宝します。
また、足下が瓦礫などで歩きにくい場合は転倒に備えなるべく両手を自由にしておく事が望ましいです。顔を向けた方向が自然と照されるため取り回しも良く、ヘルメットに装着できるタイプもあるので安全でもあります。
必ず必要になるものではありませんが、これから用意する場合は選択肢として考えてもいいでしょう。
どれも、防災のために用意するというよりは、普段使いの延長で考えると良いかもしれませんね。
こういった道具はキャンプ用品と重なる部分が多くあります。わざわざ防災のため、ではなくキャンプ用品を揃えるつもりで選ぶと使用頻度が上がり無駄になりません。
そして、キャンプ用品があるなら自宅のお庭等で「お家でキャンプ」がお勧めです。実際にそれら道具を使ってみることで、災害時の練習にもなります。夏休みなどを利用して、子供と一緒に試しておくといざというときの心構えにもなります。
○ ろうそく
【注意】──以下に、ろうそくの利点を挙げておりますが、現在ではろうそくは災害時の使用を非推奨としている場合が多いです。可能な限り、ろうそくの使用は控えるべきかもしれません──
使ってみると便利なものです。目が慣れると意外と明るく、夜間の移動くらいには十分役立ちます。そして、揺らめく炎は気持ちを落ち着かせる効果もあります。
昔ながらの仏壇のあるお宅でしたら、常用しているものがあると思いますので、それで代用できます。
嵩張る物でもないので、物資の中に一揃い加えておくと良いでしょう。火種もお忘れなく。
───スマホのライトは便利ではあるのですが、光が鋭すぎて照らしている一方向しか明るくないという特性があり、目にも優しくありません。そのため、完全な闇のなかで突然あれに照されると目が眩んでしまうことにもなります。人間の目の明暗順応力は、年齢と共に低下します。他の人間がいるところで無闇に照すのは控えた方がいいでしょう。
ろうそくの注意点としては、やはり火災の危険性があるということ。
現代人は、剥き出しの炎を扱う機会が少ないため、扱いに戸惑うこともあると思います。火傷の心配もしなければなりません。
大規模地震の際には、その後も必ず何度も地震がやってきます。家具の転倒や物の落下等で、ろうそくの火が燃え移るという危険性には常に配慮が必要です。家の中での移動時に持ち歩くと、暖簾やカーテンなどに引火する恐れもあります。
可能なら、剥き出しで使わずにランプのような傘のある燭台を使うとよいでしょう。アロマキャンドルのガラス容器も意外と使い勝手がよかったりします。
その他、狭い部屋で締め切って使うと酸欠の恐れがありますので、就寝時などは気を付けた方がよいでしょう。なるべく付けっぱなしにせず都度点火、スマホのライトや懐中電灯を併用するなどして、その場に合った最適な光源を選択してください。
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