第13話 親友との出会いは俺を変えた①

-

俺と京佳が会ったのは2014年5月3日昼過ぎ 

京佳の誕生日に俺たちは出会った。


俺は何気もなく両親が親しくしている家庭の庭の木にもたれて空を見上げていた。


全天を覆う暗い灰色の乱層雲が北北東に。

今日の風向きは南南西。


数十分後に雨が降るな。

おそらく21分後までには降り始めるだろう。


俺は今日の天気を予想をしながら、あの日の巫のことを思い返した。


「なぁ、巫。神はあのときなんて言ったんだ?」


俺は独り言を呟いた。


「ねぇ!ねぇ!君!遊ぼ!」


俺は呆れた目で話しかけてきた女を見た。


この俺に話しかけてくるとは、こいつもやばいやつなんだろう。


俺はそれ以外興味などなかったため、目を逸らし、アリの巣を見始めた。


「ねぇ!無視!しないで!」


うるさい…


「声のデカい女だな。どっかいっとけ。」


俺は女の目を睨んで言い、また目を逸らした。


「どっかいけとはなんだぁ!!」


その女は油断している俺の右頬にグーパンしてきた。


「え?」


俺はもたれかかっていた木から地面に背中がもたれていた。


「もう!一緒に遊ぼうと思ったのに!!」


その女は俺を殴った後、家に入っていった。


「なんだ?あいつは?」


俺は疑問に思いながら、また木にもたれかかった。


すると、どこからか声が聞こえてきた。

しかも、多勢の声が…


女の子にそんな態度はないだろ? 


俺はそう聞こえ、周りに誰かいないか、塀を登り、向こう側や道路に人がいないかを確認するが、誰1人もいなかった。


俺は塀にしがみついたまま、気のせいか?と思った。


気のせいではない?我々は君の心の中にいる?


心の中?何を言っているんだ?


仮にいたとして、俺の心の中に何人いる?

少なくとも10人以上はいるぞ?


人数などはどうでもいい。

で、俺に何のようだ?


あの女の子に謝りにいってこい?

なぜ俺があいつに謝りにいかなければならない?


おまえが傷つけたならだろ?

それはあいつが俺に喋りかけてきたから、あういうことになった。


しょうがないことだ。


何がしょうがないだ!?女の子を泣かせるなんてクズとゴミがすることだ!?


そう言われると俺はしがみついていた塀から落ち、膝をついて両手を頭に抱えて、頭を地面につけるようにかがみ、叫び続けた。


「アァァァーーー!!!」


俺は神だ!!おまえらなんかに俺の何がわかる!!


感情がないやつだと思っていた?だと?


それは違う!!

俺は!!あの日!!あのとき!!俺は感情を露わにした!!


ジドパルトをこの手で開けたとき!!神道を歩いたとき!!コルノース神殿を見て入ったとき!!ジドパルトコルノースをこの目で見たとき!!試練をクリアしたとき!!


俺は人生の中で一番!!俺は!!感情を持っていた!!


おまえに!!俺の何がぁ!!


「だ…大丈夫?」


「やめろぉ!!!」


俺はさっきのあいつに左肩に手をかけられると、その手を思いっきり振り払った。


「キャァ。」


俺が手を振り払った後、あいつは尻もちをつくように、後ろへと倒れ、泣きそうな顔をしていた。


あ…あぁ…


やってしまった…?


今ま…


その後、俺は意識を失って倒れてしまった。


夕方頃…


俺はベットの上で目を覚めた。


倒れる前、俺に話しかけてきたやつらは俺の心の中に本当にいるのだろうか。


そして、俺はなぜパニック状態になってしまったのだろうか。


俺が倒れる前、両親もあいつとその両親も来ていたのだろうか。


両親はものすごく心配しているのだろうか…


俺は今まで、あの日、あのとき以来、その前も感情的になったことは一度もなかった…


おまえらに何がわかる…?


俺はベットの布団を力強く握りしめた。


何もわからない。

だが、これだけは言える。

我々はおまえを救いに来た。


どうやってだ?


おまえを面白くさせに来た。


だから、どうやってだ?


まだ言えない?だと?


それはこれから、始まることだ?


本当に面白い…こと…なんだな…?


ああ、面白いことだ。


ああ、わかった。

やってやるよ。


そのかわり、面白くなかったら、おまえらを殺してやるよ。


रमाइलो गरौं


俺は一点を見ながら…


あいつとその家族が写った写真を…


小さな男の子の全身が濡れていたことに…


気づきながら…


俺はベットから出て、少し猫背になりながら、ドアノブに手をかけ、立ち止まった。


俺はネパールの首都 カトマンズのカトマンズ国立総合病院で産まれ、産まれた頃から一度、見たものは覚えている。


俺が産まれる瞬間を見ていた医者の顔。


NICU(Neonatal Intensive Care Unit)に入れられる他の新生児の顔。


今まで出会ってきた人の顔、全てを覚えていた。


俺の記憶力はそれだけ優れていた。


記憶力だけじゃない。


ネパール語、日本語、英語、フランス語の4つを2歳までに。


スペイン語、アラビア語、中国語を3歳までに。


ロシア語、ポルトガル語、ドイツ語を4歳までに覚えていた。


そして、今は21種類の言語を話せ聞き取れ使える。


言語能力、集中力も優れていた。


他には計算力。


大人でも数学者でも解くのが難しいと言える難題を1秒も立たずに答えることができる。


だが、俺には産まれた頃から遂行力、判断力はそんなに優れていなかった。


それに関して、興味なんてなかった。


知識さえ想像力さえあれば、なんでもやることができると思っていたから…


遂行力と判断力に面白味を感じることなんて一切なかった。


だから、俺はやつらにゆういつ、期待していることは、遂行力、判断力に面白味を持たせてくれる。


人生の全てに面白味を持たせてくれる。


ただ、それだけだった…


俺はドアノブを捻り、ゆっくりと寝室らしき部屋の扉を開けて、廊下に出た。


「古俣さん!蓮太郎くん!起きたよ!!」


両親が絡んでいた女の子の母親が俺の両親に伝えた。


女の子のお母さんに言い方を気をつけて、まず謝れ?わかったよ。


女の子の母親はリビングの方を見て、俺の両親が来るのを待っていた。


「今日の昼は申し訳ございませんでした。」


あのパニック状態は俺にも誰にもどうもできなかったことである。


これ以上は言い訳になる…か。


俺は女の子の母親の目を見て、謝罪した。


「え?あー。大丈夫大丈夫。私に謝らなくても…でも、あの子には謝ってきたもらったもいいかな?」


女の子の母親は女の子がいると思われるリビングに人差し指を指した。


「はい。わかりました。」


俺は返事をしてリビングに向かおうとすると、俺の両親がリビングの扉を開け、俺を心配してきたのか俺が歩いているのを見ると、歩きから走りに変わった。


「蓮太郎!!」


母さんが俺の名前を呼んだ。


「父さん、母さん。事情は後で。今は違う…」


両親はわかった、と言い、俺がリビングに入り、扉を閉めると、女の子のお母さんと話し始めた。


俺は寝室らしき部屋の扉を開く前、ネパール語、日本語、英語、フランス語を2歳に覚えたと言ったが、あれは順番に覚えたんじゃない。


俺が一番最初に覚えた言語は日本語だった。


たまに俺は考えていた。


日本語を覚えたのだろう…と。


俺は最初、日本語なんて覚える意味などないと正直思っていた。


日本に行くことなんて、話すことなんて思っていてもなかったし…


最初に出した結論は両親が2人とも日本人だったから、覚えた方が良い。


それだけだった。


でも、今は、日本語を覚えた理由はこのときのためにあったのかもしれない、と結論を出している。


俺はソファの上で体操座りで頭をかがんでいる女の子を見つけ、話しかけようとした。




※ रमाइलो गरौं

 →楽しもうじゃないか(楽しみましょう)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る