あれ、これってピンチでは?

ドンドンドンドン!


 ドアを思いっきり叩く音が聞こえる。なんだろう、こんな時間に。窓をそっと覗くと知り合いの勇者パーティと遺跡の近くの町のみんなが集まっていた。


「ど、どうしましょう、あいらさまっ!」


「ここは私がどうにかします! あいらさま!」


 ルナがそういうと玄関に向かっていった。



「どうされましたかぁー?」


「逃げやがってこのゴミ戦士! 信頼してたのによぉ!」


 きっと知り合いの勇者パーティが町のみんなを連れてきたんだろう。町のみんなが私の家を知っているはずがない。しかし、ルナはどうするのだろう。


「すみません。どなたか存じ上げませんが、ここは私が住んでいるんですよ? ご主人様も今も昔も戦士さまではありません」


「あぁん? 女戦士を知らないのかぁ? アイラっていうやつさ」


「申し訳ございません。私はそのような話は聞いていませんよ」


「チッ」


 男は舌打ちをして去っていった。

 ふぅ。一安心だけどこんな小さな少女があんな大人を追いやるのがすごい。どちらかといえば私がこの二人を守りたいけど、守られてしまった。


「あいらさま、もう大丈夫ですよ!」


 ドヤ顔でルナがこちらを見てくる。ドヤ顔のルナも可愛い。私は「えらいね」とルナをもふもふした。やはりこれでは妹のようだ。


「それで提案なのですが……」


 もじもじとした様子でムーンがこちらを見つめてくる。


「お引越し、しませんか……! やはりこのようなことがあるとあいらさまが不安で過ごしにくいと思いますので!」


「私のこと、心配してくれてるの?」


「もちろん! 私たちはメイドですので!」


「よーし! 引越ししよう!」


「じゃあ早速出かけましょう!」


「え」


 待て待て待て。早すぎる。荷物も用意していないし、行き先も決めていない。


「準備とかって……」


「大丈夫ですよ! とにかく私たちに任せてください!」


「えぇ?」


 ムーンがそういうと、ルナと最低限の荷物を持ってウキウキしながら外に出ていった。


「行きますよ、あいらさまっ!」


 ついていくとなんだか嫌な予感がした。


「森の中に入りまーす!」

「入りまぁーす!」


 ムーンたちは嬉しそうだが私はそうでも無かった。






 

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