のんびりライフの始まり?

「あいらさま! お食事、ご用意しました! はわっ!」


「ムーン! 大丈夫?」


「申し訳ございません! 今作り直します……!」


 ムーンがつまづいてご飯をこぼしてしまった。

転び方もこてんとしていてかわいい。って手伝わなきゃ。


「私も手伝うよ!」


「いえ! あいらさまはルナとゆっくりしててくださいね!」


 そう言われても、やっぱり動いてないとそわそわする。戦士として働いていたからだろうか。手伝いに行ってみよう。


「あいらさま! 行かないで! ゆっくりのんびりしてていいのです! 私をもっともふもふしてくださいっ!」


「かわいいねぇ」


 つい心の声が漏れてしまった。しかしこんなかわいいメイドに何も思わない方がおかしい。


「今度こそご飯です! みんなでいただきますしますよ!」


 みんなでご飯を食べるらしい。メイドというよりかは家事をしてくれる妹のようだが、この二人はメイドと言えるのだろうか。まあいい。かわいいからそんなことどうでもいい。


「いただきまーす!」


「もぐっもぐっ! あ、失礼しました!お味はどうですか、あいらさま?」


「めーっちゃ美味しいよ、これ!」


「やはりご飯はみんなで食べると美味しいですね!」


「ですね!」


 かわいいもふもふと一緒にご飯が食べられるなんて最高だ。予定よりも質の良いのんびりライフが送れている。


「ごちそうさまでしたー!」


 かわいいもふもふ二人がちょこちょこ歩き回って食器の片付けをしている。食器を洗う後ろ姿までかわいい。よくみると耳がぴこぴこしててこれまたかわいい。


「お掃除しますね! ムーン、今度はあなたが癒し係ですよ!」



 ムーンは髪が長くてすごくサラサラだ。ルナはどちらかというともふもふしている。


「ムーン、髪といてもいい?」


「いいのですか? あいらさまにといてもらっても」


 髪を櫛でとくと、光を反射して一本一本がちらちらと輝いている。まるでオーロラみたいだ。そういえば、自分の髪なんて気にしたことなかったな。


「どうやったらそんな綺麗な髪になるの?」


「お手入れしましょうか、あいらさまっ!」


 優しくムーンが髪をといてくれる。なんだかいい匂いがしてきた。ムーンが小さな声で鼻歌を歌っている。可愛すぎて可愛さメーターがカンストしそう。


「できましたよ! あいらさまっ!」


「すごい……!」


 手櫛でといてみるとすごくサラサラになっている。それにムーンと同じ、いい香り。私は嬉しくって思わずムーンをそっと抱きしめた。


「んわっ! ふふふっあいらさまったら、甘えんぼさんですね!」


「えへへ〜」


 十歳くらいの少女相手にこんな言動をする私はどうかと思うが、もう誰がなんと言おうとかまわない。この子達とのんびりライフを送るって決めたんだ。



「寝る時間ですよ! あいらさまっ!」


 二人が子守唄を聞かせてくれた。とても落ち着く、子供時代を思い出す素敵な歌だった。



「あいらさまーっ! 大変です! 起きてください! なんか人がいっぱい!」


「え」


 

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