なかなかボスを倒せないのでのんびりライフを始めようとした結果

西村いさな

もふもふメイドがやってきた

「今日も討伐に行くのかい?ありがとうねぇ」

 遺跡の近くのおばあさんに声をかけられた。


 私、アイラは女戦士としてここ最近、遺跡のボスと戦っている。しかしなかなか倒せない。いつも戦っては死にかけ、逃げるというのを繰り返している。


ガキン!


「ぐっ!」


 今日はボスの一撃を受け流すことができたが、すぐに拠点に戻った。


「大丈夫かい? 無理しなしても、いいんだよ」


 おばあさんはいつも優しい。いつも私の心配をしてくれる。


「はぁ……」

 

 この国では戦士の給料はかなりいい。それにおばあさんたちを守るためにダラダラと戦士を続けていたが、辞めると言う選択肢もあるのだろうか。最近戦士は増えてきているようだし……。おばあさんたちにはちょっと悪いけど、よし。


「今日からのんびりライフを送ってやるんだぁー!」


 私は国の許可なしに戦士を辞めることにした。手続きが面倒だ。遺跡のボスの討伐は知り合いのパーティに任せてある。早速、久しぶりに家に帰ろう。



「たっだいまー! 久しぶり! 我が家!」


「おかえりなさいませ、あいらさま!」


 !?

 見覚えのない10歳くらいの少女が二人立っている。しかもメイド服を着ている。


「もしかして、ここに住んじゃってたりします……?」


「いえいえ! 私たちは自分たちの意思であいらさまのメイドとして働くことを決めたのです! 料金はかからないので、安心してくださいね! よろしくお願いします!」


「お、お願いします……?」

 

 なんで強くもない私のところにメイドが?ていうか可愛すぎる。もふもふしたい。


「自己紹介が遅れてしまいましたね! 私はムーンと申します!」


 長く白い髪、青い目のメイドがそう言った。頭には白いウサギの耳が生えている。


「私はルナと申します!」


 今度はボブくらいの黒髪、赤っぽい目のメイドがそう言った。頭には黒いウサギの耳が生えている。


「私、ムーンは主に家事を、ルナは主にあいらさまの癒し係として働きます!」


 うそだ。これはきっと夢なんだ。

 

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