第6話

僕が、鬼を...いや、でも....え?

いったいどういうこっちゃ..........


「実はっすね、俺たちが来た時にはすでに鬼は祓われてたんっす。逃げたわけではなく祓われていた。ってことはっすよ、僕らより先に誰かが鬼を祓ったってことなんっす。」


祓った?どこかへ行ったのではなく?


「それは....それが僕だって言いたいんですか?」


その問いに二人は同時に頷く。思いもよらないことに大樹は黙り込んでしまい。形代、田沼もまた、黙り込んでしまう


「大樹くん折り入って相談がある」


先に口を開いたのは形代だったb。その声と表情からは事の深刻さを感じる


「退魔士にならないか?いや、入るべきだ!妖刀『妖魔喰らい』に認められた君ならば多くの人を助けられる偉大な存在になれる!」


「.......」


あまりにも突拍子もない提案に大樹は断ることも引き受けることもできなかった


その様子を察したのか...


「まぁ...急にそんな話されては無理もないっすよね。今日はこの辺で俺らは失礼するっす」


「そうだな。では、また来週此処へ来る。それまでに決めておいてくれると助かる」


そこで話は終わり二人が退出していった。そしてほどなくしてきた千寿先生に付き添われ自分の病室へと戻っていった

「僕が....退魔士....か」


目を瞑れば思い出す燃え盛る家。禍々しい鬼....そして、鬼に食われる瞬間の父....一つ一つ思い出すたびに....あの時、何もできなかった。父を助けられなかった自分の無力さに腹が煮えくり返る。もう二度とあんな思いをしたくない。腹は決めた。ならばあとは行動するのみだ


【1週間後】

それはくしくも退院日だった


「さて、ではもう一度聞く。退妖魔協会に入り我々と共に妖怪を祓ってくれ」


1週間前と同じように頭を下げ大樹へ願う。これに大樹は一呼吸置き答える


「......実はあの後考えてたんです。目を瞑れば鮮明に思い出せる。あんなことが起きないように。大切な人を失わせない為に僕は.....退妖魔士になります!」


「そうか!...ありがとう」


こうして、叉江守大樹は高校二年生にして裏の世界へと足を踏み入れた....多くの苦難が待ち受けているとも知らずに



☯☯☯☯☯☯

妖具:妖怪を倒した際にドロップする妖魔石を基に作られた武器。その能力は基にした妖怪の特性がそのまま反映される。出力は使い手の技量による。また、妖具は使い手を選ぶ。妖具に選ばれなければその武器を扱うことはできない。

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