深崎 玲牙の日常「昼」
寝たふりで朝を乗り切り、昼休みになった。
「ご飯、食べないと」
僕は弁当を取り出そうとして……辞めた。
「玲牙くん!一緒にご飯食べよっ!」
いつもは瑠唯と一緒に陰に潜むようにして移動して食べていたが、今日は瑠唯がいないことを忘れていた。その結果、こうして風実さんに捕まってしまった。
「ごめん、今日は誰かと食べる気分じゃないんだ。ごめんね」
取り敢えず謝っておく。友達でもない人と食べる趣味はそもそも持っていないが、こうでもして「今日はたまたま」な雰囲気を出しておかないと、周りから叩かれることは間違いない。
「そうなの?もしかして体調悪いの?保健室行く?」
「……別にそんな感じの気分悪い、じゃないよ」
「それじゃあ、これ!……あれ?」
僕はちょっとした隙にスタスタと鞄を持って教室の外に出た。そしていつも瑠唯と食べている屋上階の階段で弁当をサクッと食べる。
今日のご飯は、
少し用を足して教室に戻ろうとしたその時。
「おい、深崎ぃ。ちょい待てや。」
後ろから声をかけられた。声をかけたよく見た顔だ。これから空き教室に連れられて殴られるのだろうか。めんどくさい。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
彼の名前は
典型的な
玲牙のことは千春と関わっているのが気に入らないため嫌い。いつも他数人と一緒に空き教室で玲牙に暴力を
しかし 玲牙には 0 ダメージ だ !
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ドコッ!ボコッ!
空き教室に彼らが僕を殴る音が響く。でもまぁ別に痛くはない。
……髪は引っ張らないでくれよ。
「なんで!お前みたいな!陰キャが!風実に関わってんだよ!」
「身の程をわきまえろ、ってなぁ!」
僕の方が聞きたいなぁ。なんであの人、僕に関わるんだろう。
ふと空き教室に放置されている時計を見る。あと十分くらいでチャイムが鳴るから、それまでには終わるだろ。早く終わんないかなぁ。
「なぁ翔多、もう少しで昼休みが終わる。その前に一発痛いのお見舞いしてやれ!」
「おうよ!オラァ!」
あ、終わった。ふぅ、流石に痛くないとはいえこんな風に殴られるのはそんな好きじゃないなぁ。
そんなことを考えながら外に出ようとした。が、後ろから声がした。
「大丈夫!?あなた、千春のクラスのえっと……そう、深崎くん、よね?千春がいつも話してるわ……ってそれどころじゃないわ!どうしたのよ、体中に
「えっと、どなた?」
見たことがない女子だった。あ、でも見たことあるような気がする。えっと、たしかクラスの連中が話してた……
「ああ、ごめんなさい。私は一年B組の
「ああ、大丈夫。結構いつものことだし。別に痛くないし大丈夫だよ。ありがとう、杉原さん。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
資産家で有名な杉原家の長女である。幼稚園時代に千春と爛に会って、それ以来、小学校、中学校、高校と同じ学校である。黒髪ロングで、癖のないストレートな髪の子。
杉原家では子供は屋敷内の道場で剣術を習わせるしきたりがあり、その時の師範は当主となる。(別にどうでもいい)
この物語において生粋の常識人の一人。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
あ、そうだ。杉原さん。確か実家が有名な資産家の一家でお嬢様、だったっけ?その資産家お抱えの道場で剣術を習ってるとか聞いた気がする。
「これがいつもって……いじめ?」
「……別に僕は嫌がってるってわけじゃないよ。あまりにもくだらないし。こんなことで大事になる方がめんどいし。」
「……よく見たら筋肉とか結構ついてるわね。何か運動系の習い事とかしてるのかしら?」
「いや別に……って、あ。もう少しで昼休み終わるや。それじゃあね、杉原さん。」
僕はそのまま教室に戻る。
「はぁ……早く学校終わらないかなぁ……」
そう小さく呟いて。
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てなわけで2話目です。
別に玲牙君は学校が嫌いなわけではないです。
親友がいるしね。逆にそれくらいなのですが。
圧倒的に家が好きなのも相まって最後の「早く学校終われ」宣言ですねぇ。
次回、深崎 玲牙家に帰る。ついでにタイトル回収!
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