第8話 妹、襲来 ~静まれ息子

ノックと同時に声が聞こえてきた。


「お兄ちゃん起きて、起きてって」


「分かった、もう起きるぅ」


せっかく気持ちよく寝ていたが、可愛い妹の声がしたからには起きるしかない。今日はこの世界に来てから初登校だから遅刻できないしなぁ。


「おはよう愛」


「おはようお兄ちゃん、お母さんがご飯できたって」


「着替えて行くから先食べてて」


「わかった」


部屋に愛が居なくなってから布団を出ることにした。愛はピンクのネグリジェを着ていてとても可愛らしかったが、前開きのため思春期男子高校生には毒だ。

朝ということもあり、相乗効果で大変ご立派になっている。義妹であるとはいえ家族にフルボを見せつけるのは気まずすぎる。


亡きおばあちゃんを想像することでブツの落ち着きを取り戻し、制服に袖を通した。

見た目はそこそこ様になっていると思うが、精神的には違和感をぬぐえない。まあいずれ慣れてくるか。


洗顔、歯磨きをして食卓についたら、お母さんと愛はまだ食べている途中だった。感謝の「いただきます」をしてから食べたが、これまた美味い。

ご飯、みそ汁、鮭の塩焼き、卵という「これぞ日本食」のようなメニューであるが、味はもちろんのこと心が満たされるのを感じる。

和食のすばらしさを実感した朝のひとときであった。


「美味しかった、ごちそうさまでした」


「お母さんごちそうさまー」


「お粗末様でした。二人とも、お母さんは洗濯物をやってるから気を付けて行ってきてねー」


「「はーい、いってきます!」」


「お兄ちゃん気を付けてねー」


「愛も気を付けてっ、じゃ」


愛は地元の中学校に通っているらしい。俺の高校は電車通学をしなければいけなく、愛とは方向が逆だから家を出て別れた。

学校が楽しみであるが、昨日の今日で通学が不安だ。











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貞操観念逆転世界の現実 ほけきょー @naoki314

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