第112話 神の想い
良く無いですよ! 何ですかその穴だらけの計画!
国王陛下の勅令があるからと言っても、期限切ってない以上強制力無いんだからやる気を起こしにくいし。
ここまで来ることが出来たのは、ほぼ偶然だろ!
ジェシカさんが居たから、積極的に動かないと罵倒されそうと思ったとか。
ロリアが博識で、行動の道標になってくれたところが大きい。
この2人が居なかったら、多分ここまで来れてない!
内心すごくそう言いたかったけど。
相手は神様。激怒させたら何が起きるか分からない。
その神様は自分と戦えと言う。
目的は自分を倒させること。
……ということは、向こうは手加減してくれるはずで。
最終的に俺たちが勝つ戦いをする気なんだろう。
……負けたふりをするのか?
「負けたふりをするだけなら、戦う必要なんて無いでしょう」
そのとき。
セリスも俺と同じことを思ったみたいで。
口を挟んだ。
「そうですサンヴィリア様! ここであなたと戦うことに意味があるとは……」
ジェシカさんも。
だけどそれに対し
「意味はあるさ」
サンヴィリア様は大真面目に。
「……これが僕の役目なら、僕は本当に世界に溶けて、消えることが出来る」
そんなことを言ったんだ。
え……?
「神話にもあるだろう……? 創世の1週間で六柱の神が世界に溶けて世界を今の形に創り上げていったという話が」
サンヴィリア様は遠い目をした。
「最初、僕らは何もない世界にただ7つの存在としてこの世界に出現し……」
それは、神様の口から語られる創世の話。
最初の日にマンゼス様が
「こんな何もない世界は在っても意味が無い! 俺の力を捧げて、モノを創る!」
そう宣言し、その身を消滅させて、大地と海……物質を創った。
そして次の日にトゥーラ様が
「この世界は淀んでいる。循環する仕組みが必要です」
そう宣言してその身を消滅させて天候を創り。
その次はウェンドス様が
「トゥーラの創ってくれた天候は、変化を伴わないから歪に思う。変化の概念が要る」
そして現象を生み出して消え。
「ここは暗すぎるわ。私の力で明るさを創る」
ターズデス様が太陽と月と星を生み出し、天空を創り出し。
「ウェンドスの創った現象は、どうなったときに起きるのかが定まっていない。法則が無いと危なくて仕方ない」
フライア様が法則を創り。
「ここまで世界が出来たのに、この世界に存在するのが我々2つ。この状況に意味があるとは思えない。……ここに生きる住人を!」
サタノス様が生命を生み出した。
……そして。
サンヴィリア様だけが残されて。
今まで、何に自分を使うべきか分からずここに居る……!
「宗教を創り出して人間に生き方の指針を与えても僕は消えられなかった」
そう過去を語り終えたサンヴィリア様は別に怒ってはいなかった。
「魔物を創って、団結の切っ掛けや反面教師、強制力を与えても僕は消えられなかった」
ただ、焦りというか……必死さ……
「神器を創って神の存在を感じられるようにしても無理」
やったことが全てが徒労に終わったことを嘆いているようで
「……そして最後に考えたのがこれなのさ。僕だって本気でやってる! だからキミらも本気で来い!」
言葉通り、神様のその真剣さがこっちに伝わって来た……。
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