第98話 起死回生の閃き
俺の斬撃が指輪のチカラで無効化された理由に思い当たったとき。
「でやああああ!」
そこにサウラスの背後から、リリスさんが斬りかかり、ハルバードの刃を肩口に食い込ませた。
その際、サウラスは頭……つまり兜に見える部位をスッと動かした。
ハルバードの一撃を喰らわないように回避をしたんだ。
サウラスは斬撃を無効化できる。
にもかかわらず回避したということは……
「姉さん! リリスさん! ジェシカさん! サウラスの本体は頭部にある!」
俺は自分が見抜いた情報を共有するために大声で叫んだ。
俺の言葉に、3人が視線を向けて来る。
そして姉さんが
「だったら!」
気合の声を発して、両手を突き出し
「動くなッ!」
……おそらく全力の念動力を繰り出した!
サウラスの動きが鈍る。
よし……!
俺は突き進む。
剣を大上段に構えて。
そして跳躍して、サウラスを叩き斬った。
今度は、頭頂部から股間まで、真っ向唐竹割りで。
頭に本体があるのなら、これで決まった……!
指輪があろうと、防げないからリリスさんの頭部の攻撃をさっき回避したんだろ……?
剣を振り下ろした姿勢で勝利を確信……
したかったけど。
ぞわ、としたものを感じた。
そしてその悪寒に対する対処を行動にする前に、サウラスの足が俺の顔面に飛んで来たんだ。
ぶふぅ!
そのまま吹っ飛ばされて、俺は床に転がる。
起き上がる際に顔を撫でるが、歯の欠損や鼻の損傷等は無かった。
胸を撫で下ろす。
……姉さんに、前歯が無くなった顔は見て欲しくない。
何故か強くそう思ったんだ。
そして立ち上がり
「なんで」
と呟いた。
「斬撃を無効化したまでよ」
平然と、サウラス。
そんなことは分かってる。
それ以外無いだろ。
でもそれは、本体が斬られても有効なのか……?
じゃあなんで、さっき避けたんだよ……?
俺だって前列戦闘員だ。
回避という行為が、自身を不利に導くのは理解している。
敵の攻撃を回避すると、体勢が崩れ不利になる。
だけど避けないとしょうがないから避けるんだ。当たり前だよな。
避けなくても攻撃を無効化できるのであれば、そもそもそんなこと、する意味が無いんだ。
避けたせいで攻撃のチャンスをフイにしたり、さらなる追撃で詰むかもしれないんだから。
だったら、なんで……?
「てやああああああ!」
そこでリリスさんが後ろからまたハルバードを叩きつけた。
同じようにサウラスの頭部への一撃として。
また回避するサウラス。
そして
驚愕の表情を浮かべる、姉さん。
思わず、って感じでこう言ったんだ。
「……私の念動力が無効化された?」
え……?
サウラスは念動力を無効化できるのか……?
さっきはまともに喰らっていたのに?
同じ攻撃は2度と通じない……わけはないよな。
俺の斬撃は最初から通じていなかったわけだし。
すると……
あっ!
そこで、俺は閃くものがあったんだ。
とても重要な閃きが。
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