第94話 塔の守護者
とうとう、5階だ。
最上階。
到達したフロアには、いきなり黒い大扉がある。
そしてこの先に……指輪の反応があった。
いよいよ最後の神器か……
そういう感慨深いものと。
ここに至るまでの試練と称した底意地の悪い、とんでもない障害の数々。
そのどれもが、人間関係を破壊する可能性を大いに含んだえげつないもの。
人間の敵である魔物に試練を与えられること自体が何だか理不尽に感じるのに。
その上で、試す内容が主に人間性や決断力、信頼関係。
ホント、何で魔物にそんなもん試されなきゃならんのだ。
冷静に考えると腹が立ってしょうがない。
……1階のダンタリオン曰く、この塔に入った人間は俺たちが最初じゃないみたいだけど。
ここまで登って来られたの、果たして居るんだろうか……?
何だかここまで上がってきたことは出来ても、互いの信頼関係が完膚なきまでにぶっ壊されてて。
この場でとうとう決裂して殺し合い勃発。
そしてこのフロアで最後の試練に挑むことなく果ててしまう……
そんな妄想が湧く。
……俺たちは……
俺はメンバーの顔を見回す。
ジェシカさん、リリスさん、ロリア……
そして、姉さん。
……姉さんを見るのに、何か恐怖に似た気持ちを感じた。
意味が分からない。
慌てて視線を外した。
そして気合を入れ直す。
このままじゃ、まずい。
「行くよ! オオオオオ!」
俺は吠えて、そのまま大扉に手を掛けた。
それを見たロリアが
「あ、3点セットまだ……」
何か言いかけたけど、俺は衝動のままに。
バァン、とドアを開けたんだ。
……そこは奥に玉座のような椅子がある、そこそこの大きさの部屋があり。
奥の玉座には誰かが座っていた。
それは……
「よくぞこの部屋にまで辿り着いた」
奥の誰かが発言する。
その誰かは
それは、2メートルを超える大きな鎧だった。
フルフェイスの兜が付いた、完全防備のフルアーマーだ。
フルフェイス兜には、3本の角が生えていた。
額に1つ。サイドに2つ。
……これは
「リビングアーマー……?」
姉さんの言葉。
そう。
その玉座に座る人影は。
生きた鎧と言う名の魔物……リビングアーマーだった。
それがどっしりと玉座に腰を下ろしていた。
「……お前がこの塔の支配者か?」
警戒しつつ、入室。
リビングアーマーを包囲するように布陣して俺は問うた。
すると
「……いかにも。我が名は魔将サウラス……この塔を護りし者……」
重々しい声で、それを認め、名乗り……
その上
「そして、神器ウェンドスリングをこの身で護りし者よ」
……神器の所持までもを認めて来たんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます