第40話 金髪縦ロールさん

 ……なんか、俺たちの前に金髪縦ロールの美人女性が現れた。

 非常に育ちが良さそうな感じの。


 白銀の甲冑と、その下に着込んだワンピースっぽい厚手の生地の衣服。

 生地の色は青。


 ……おいおい、なんかあからさまに女騎士っぽい人が来たぞ。

 もう、今にも「くっころ」って言いそうな。


 これで武器が豪華な意匠の長剣だったら完璧だったんだけど、両手武器ハルバードだった。

 所謂斧槍だ。


 ハルバードは距離が取れるし、重さで一撃の威力が高まるから、意外に女性に向いた武器かもしれんね。


 で、そんな人がいきなり話し掛けて来た。


 ……なんで?


「ええっと、あなたは?」


 ジェシカさんがまず話し掛けた。

 ジェシカさんはこういうとき思い切りがいいよな。


 ま、らしいのかもしれんけど。

 正義や悪と断じたものへの決断力、高いしなぁ。


 そんなジェシカさんの問いに対し。

 金髪縦ロールさんは


「私はリリスという!」


 名乗った。

 そして自己紹介。


「見ての通り騎士だ!」


 でしょうね。

 それで?


「リリスさん」


 俺は話し掛ける。

 こういうのは早めに片付けなきゃいけないよな。


「それで、何の御用でしょうか?」


 だから本題を訊いたんだ。

 会話は手早く終わらせないと。


 すると彼女はこんなことを言ってきた。


「ヒュドラ退治、この私も組み入れて貰えないだろうか?」


 ……えーと


「なんで?」


 ……そんな俺の疑問点に。

 代わりに姉さんが答えてくれた。




 リリスさんは何でも女騎士でありながら、将来的に軽戦士ではなく鎧騎士を目指しているそうで。

 そのために今は強い魔物と戦いたい。

 なので、この試練の課題であるヒュドラとも戦いたいらしい。


 でも、1人でヒュドラに行くのはいくらなんでも無謀なので。

 前衛が少なそうなパーティーを探していたんだそうだ。


 で、選ばれたのが俺たちだったわけだ。


 なるほど

 だから俺は


「で、貴女は何が出来るんですか?」


 自分を売り込んで来たわけだからね。

 何もできませんが、やる気だけはありますなんてのは話にならない。

 こっちも慈善事業でやってるわけじゃない。訊くのは必須だ。


 こっちも遊びで戦うわけじゃないんだし。


 するとリリスさんは


「私は魔術師系魔法の念動力と、自分の行動をシンクロさせる技能がある」


 平たく言うと、彼女は自分の筋力以上の武器を扱えるらしいんだ。

 念動力を自分の運動に連動させる技術を持っているから。


 ……なるほど。


 ただし、そっちに特化し過ぎてて、一般的な念動力は使えないらしい。


 手に触れずに石を持ち上げたり、矢を飛ばしたり。

 そういう感じの使い方。


「姉さんどうする? ジェシカさんも」


 彼女のセールスポイントをとりあえず確認し、仲間2人に確認を取る。

 俺の一存では決められんしね。


 そしたら


「私は良いと思うわ」


「ワタクシもそう思います」


 ……2人の許可は貰えた。


 そしてここで、女騎士のリリスさんがヒュドラ退治に加わることが決定したのだった。

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