第39話 試練の内容は

 公爵の御屋敷で、この婿選びレースに参加できるらしい。


 聞き込みをして、お屋敷に。

 行ってみると……


「流石に大きいですねェ」


 ロリアに言われるまでもなく。

 まぁ、デカかったね。


 何階建てかな……?

 3階建て?


 白くて、デカくて、石造りで……


 高い柵があり、その中央に門があり。

 門には門番が居て。

 槍を携えて2人、門を守っている。


 受付みたいなもんは……無い。


「しょうがないわね」


 その状況を確認し。


 姉さんが門番に向かって行った。


 ちょっとだけ不安だったけど。

 姉さんに任せておけば間違いは無いだろうと思ったので、放っておいた。




「資料を貰えたわ」


 姉さんは門番から紙を1枚貰って来ていた。


 そこに書いている内容によると……




 この街の北にある湖に、ヒュドラが棲みついている。

 その影響で湖の水に毒素が混じって来ているから、退治しろ。


 退治した証拠は、こちらで確認する。


 ヒュドラを退治した者は、その首を持参して名乗り出るように。




 ……なるほどねー。


 俺はヒュドラというものを知っていたから文面に込められた意味が理解できたけど。


「えっと、首を持参して、それが証拠にならないんですか?」


 ……ジェシカさんが良く分かっていなかった。

 書いてる内容が理解できなかったみたいだ。

 首を持ってきたら倒した証拠になるハズだろうと言った感じかな。


 なので、教えたんだ。


 ヒュドラというものを。


「ジェシカさん。ヒュドラは体長が10メートルに達しようかという、超巨大な蛇で。頭が複数あるんですよ」


「はぁ、それは恐ろしい魔物ですね」


 俺の言葉に、相槌を打ってくれるが、どうもピンときてくれないみたいで。

 彼女は


「頭の数が多いから、1個では証拠にならないってことですか?」


 ……そう返して来た。

 俺は頷き


「それもあるかもしれませんけど、ヒュドラは首を刎ねても新しく生えてくるんです……およそ1分以内に、2本ずつ」


 この事実を告げると、ジェシカさんが目を見開き


「本当ですか!? だったらどうやって倒すんですか!?」


 って慌てた。


 ……伝え甲斐があるよね。

 ちょっと嬉しくなった。


 俺は


「落ち着いてください。首を刎ねる度にその切断面を炎でこんがり焼くと、流石に生えては来ないので」


 ヒュドラを相手にする場合、絶対に覚えておかないといけない対処法だ。

 ジェシカさん、ほへーという顔で聞き入っている。


 なんか嬉しくなってきた。


「だからまぁ、多分最終的に問題の湖の水質調査をして、OKだったら申請してきたパーティーに婿入りの許可を出す……」


 そういうことなんじゃないですかね。

 そう、俺はジェシカさんに伝えたんだ。


 すると


「キミたちはこのヒュドラ退治の試練に挑戦するつもりなのか?」


 ……別方向から。

 女性の声が飛んできたんだ。


 わりと気高い感じの。

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