第37話 ノウリーン地方で起きているコト

「どこの話?」


 俺の言葉に


「ノウリーン地方ですね。大・大・大穀倉地帯ですゥ」


 にへら、という表情を浮かべてロリア。


 なるほど……


 農業で有名な場所だよね。

 ワインやブランデーの産地としても有名だったハズ。


 そっか……

 あそこってそうなんだ……


 いくら何でも天候系災害が全く起きないなんておかしいもんな。

 だからまあ、裏でこっそり神器の天候神鏡トゥーラミラーを使用していると見た方が良いよね。

 で、領地全体での話だもんな。


 これはもう、ノウリーンの領主さんがどこかから鏡を手に入れて、天候を自在に操ってると見た方がいいよね。


 でもなぁ


「想像通りノウリーン地方の領主が鏡の持ち主だとして……どうやって借りるの?」


 姉さんの一言に、頷かざるを得ない。

 農業の要になってるのは想像に難く無いし。

 それはとても重要なものだろ。


 そんなものを、いきなり行って「貸してくれ」なんて言っても無視されるだろ。

 聞き入れられるわけがない。

 下手すりゃ牢屋にブチ込まれる。


 どうしようか、と思ったけど

 俺は決断し、提案した。


「取り敢えず現地に行ってみよう」


 ……行ってみないとはじまらないよ。

 ここで、あーだこーだ言っててもさ。


 何も解決しないよな。


 だってここから相当離れた場所の話だよ?

 なーんも分からんでしょ。




 で、1週間以上の時間を掛けて、俺らはノウリーン地方の領主が居る場所……バンブールにやって来た。


 煉瓦の家が建ち並ぶ街で。

 竹が特産品の街なんだけど……


 冒険者の店が、何か異様だ。


 なんというか……


 身なりがキチンとした人が多かった。


 言っちゃなんだけどさ、冒険者なんてならず者が多いわけじゃんか。

 なのに、ここは違ってて。


 それなりの地位にいる人……どこかの騎士の家の次男坊だとか、それなりに名声を高めてそうな腕利きだとか……


 間違ってもならず者って言われないような人たち、ちゃんとした人ばっかりになってる。

 キラキラしてる。


 ……なんでこんなレベル高いの?


 王都よりすごいんだけど。


「……どうしたのアルフ?」


 俺が立ったままキョロキョロしているので、先にテーブルについていた姉さんが訊いて来た。

 俺は


「いや、ここの人、なんかすごくない? ……みんなちゃんとしてる」


 と、テーブルの席につきながら。

 後半は小さい声で周りに聞こえないように、そう答えると。


「それはですねェ」


 先に店に入って情報収集していたロリアが戻って来て。


 俺たちと同様に、テーブル席に着くと


 教えてくれたよ。


「ここの領主の娘の公爵令嬢がですねェ、自分の出す難題をクリアしたらァ、その男を婿に迎えると言ってるからでしてェ」


 ああー


 ええー


 ……マジ?

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