第3話 そして謁見へ
朝ご飯はおにぎり2つだけだった。
それをお茶で流し込む。
……時間ないもんな。
テーブルでお茶を飲み干すと、湯呑を姉さんが回収。
洗い物の桶に入れてしまった。
……洗うのは後回しかな。
見て思う。
すると
「片付け等はやっとくから、身支度を急ぎなさい」
そんな感じでボケッと姉さんの仕事を見ていたら。
姉さんが俺にポンと言ってきた。
おっと。
そうだった。
姉さんに言われた通り。
髭剃り洗顔に、謁見行列に並んで恥ずかしくない一張羅に袖を通す。
役人のフリすらできそうな立派な服だ。
そして本番の謁見用の衣装だけど。
多分、お城の中で謁見用の衣装を貸してもらえるよね……?
そして姉さんと一緒にお城に向かう。
急いだかいがあって、先頭集団と言って良い位置を取れた。
これで順番を優先されても、感じ悪くは無いだろう。
……だけどさ
待つ時間が長い!
この行列に並んだの、多分6時そこそこのはずだから……
約3時間、待ち続けなきゃいけないのか!
……姉さんはその辺どう思ってるのかね?
そんなことを俺は、俺の隣で魔術書を読んでいる姉を見ながら考えていた。
義理の姉のセリスは、前も言ったけどまあ美人だ。
髪の毛は赤く、あまり長くしてない。
クセがちょっとだけあり、ハネている。
まぁ、みっともなくは無いんだけど。
整えてはいるから。
で、顔つきは穏やかな感じで、優しそう。
実際は自他ともに厳しく、自分だけ特別に~なんて言葉を嫌うクソ真面目。
皆知らんみたいだけどな。
「姉さんさぁ」
俺は隣の姉さんに話し掛ける。
不意に、言いたくなったんだ。
「何よ……?」
視線を向けて来たので
「……何で独学で魔法使えるようになってんの?」
そう訊ねる。
……信じられないかもしれないけど。
姉さんは、師匠を探して頭を下げて、師匠の指導の下で魔法を習得したわけじゃ無くて。
独学なんだよな。
俺の世話をしながら、魔術書を読んで1人で習得したんだよ。
……あり得ないだろ?
「あなたに魔法の指導するには私が使えないと駄目。そして私には師匠を探して頭を下げている時間が無い。だから独学しかない」
……だから、の先がおかしいんだよ。
なんでだよ!
そんなのがまかり通るなら、世の中の魔術師が魔術書を振り上げて襲ってくるわ!
でも、それで出来ちゃってるからなぁ……
ホント、意味わかんねぇよ。
で、その流れで魔法についての話をしていたら……
なんか3時間経過してて。
「アルフレッド殿、そしてその姉のセリス殿」
予想通り、お城の方から兵士が数人やって来て
「お先にこちらへ」
特別に、一番にお城に入れて貰えた。
で。
中で特に謁見用衣装の貸し出しは無く。
そのままこの国……アトペント王国の国王陛下の前に出ていくことになったんだ。
……緊張するなぁ……
この大陸を支配する覇権国家の国王陛下なんだから。
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