第16話 ゲーム実況 その二
「おっ! すげーな! この数値って視聴者数を示すんだろ!?」
はしゃいだ様子で蚊上さんが子どものように声を上げる。
「まあ、そうなりますね。でもこれだけ美人さんがそろうと……」
冷静に分析し始めた英美里。
その横でぼけーとしているシュリ。
蚊上さん、やっぱり可愛い。
うっとりしていると、声がかけられる。
「ほら、旅人行くわよ」
英美里だ。
僕ぐらいにしか強気でこれないのかな?
ちなみに僕の愛称は旅人になった。どうでもよい。
「さっさと動かないとドラゴンのブレイズ攻撃がくるわよ?」
「あー。はい。分かりました。動けばいいんでしょう?」
僕はコントローラーを動かしてキャラを回避させる。
ゲームは『獣ハンター』。
獣から捕れる素材などで武器を造り、どんどんとカスタマイズしていくゲーム。
最終的には獣のランクもあがり、四苦八苦することの多いゲームである。
僕たち四人はそのゲームで実況をしている。
「うは。すげー。この大剣、いいねー」
蚊上さんが少年のように笑っているのが嬉しい。
嬉しいけど、
「あー、また旅人やられている」
「いいじゃないか別に」
実はかなりゲームが下手な僕としてはストレスでしかない。
「ほら。ちょっと貸してみろ」
蚊上さんがコントローラーを握ってくる。
前言撤回。
このためなら僕はいつだって死ぬ覚悟がある。
「ここでこう、どうだ?」
「そ、そんなこと言われても!」
顔が近い。
熱い。
蚊上さんの肌きめ細やか……。
「ほら。ぼーっとしない!! 戦場はいつだって激戦なんだから!」
そう言って僕のキャラを押しのける英美里。
「あー! やったな!」
僕は慌ててコントローラーのボタンを押す。
「ほら。乱暴に扱わない」
甘く囁く蚊上さん。
もう、そう言われたらそうするしかないじゃない。
「は、はい」
僕はゆっくり押す。
「そうそう。旅人さんは目がいいからすぐに慣れるって」
そこは普通に名前で呼んで欲しかった。
「そうね。右に曲がるクセもあるけどね」
シュリさんもけっこう意地悪なこと言う。
この中で一番立場が弱いのは僕かもしれない。
くーっと唸っていると、獣が討伐されみんな素材回収に移る。
「ぼ、僕も!」
急いで素材を回収する。
これでエクスプロージョン・
ワクワクした気持ちで鍛冶屋に向かう。
カンカンと鳴り響く金属音。
なんだかこの時間がとてもわくわくして楽しいんだ。
「楽しそうだな」
「蚊上先輩と一緒にいるからです」
「あら。私も蚊上なのだけど?」
そう言ってシュリさんが小首を傾げる。
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