第39話 チームカラー

「やっぱ土砂を運ぶならダンプ機能があった方が便利だな!」


「はい!1回ずつ収納から出しては掻き出すことを考えれば絶対楽でした!カスタマイズ機能あってよかったぁ!」


 無事砕石を持って帰ったのでまゆげちゃんを工事現場の掘り下げたところに降ろし、荷台をダンプ機能で斜めにしてゆっくり前進させながら空間収納から砕石を出せばどんどん砕石を配ることができてる。


 すぐに砕石でいっぱいになっちゃった。


「よし嬢ちゃん、ブルータスで砕石を踏んで締め固めろ。そうすれば地面が締まりかなり強い基礎になる。俺達はこの先の事を話し合ってくるからな」


「はい、分かりました。やってこいこいブルータス!」


 まゆげちゃんの代わりにブルータスを出して砕石で埋まった工事現場を踏んずけて回ったわ。


 ブルータスは重たいから地面が下がってガチガチに固まってきてる。


「確か『ロードローラー』って重機が貸してもらえたはずよね。あれならまだ締めれるんじゃないかな?」


 スキル知識によると、ロードローラーって『締め固め機械』という名で呼ばれてるみたい。ほんとに地面を押し固めるのだけがお仕事の重機らしいわ。


 もしかしたらほかの使い道があるかもしれないけどね。その時は是非使ってあげたい。


 ステータスを見ながらロードローラーの使い道を考えてみたけど……ないなぁ。


「まあこの範囲ならブルータスで踏んで回ってもすぐだし、ワーキングポイントや精神力貯蔵だって限りがあるから……あれっ?」



『現在のwp=341,885,763 貯蓄mp=2,627,761』



 んー、目がおかしくなったのかな?ワーキングポイントの桁がおかしい気がするわ。


 いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん、ひゃくまん、せんまん……いちおく………


「さ、3億4000万!?うそ!?」


 ワーキングポイントがめちゃくちゃ増えてる!なんで!?


 油圧ショベルを出した時は3000万wpまで減ったはずなのに。


「砕石関係ね……考えてみれば山1つ分の砕石を油圧ショベルで崩して、それをかけるくんが掬ってまゆげちゃんで運んだんだったわ。納得した……」


 ブルータスで道を削った時ですらかなりの量のワーキングポイントがもらえたんだもの。今回はその比じゃないくらいたくさんの砕石を動かしたもの。


 それも重機3台で。


「これだけワーキングポイントがあれば、みんなをカスタマイズしてさらに新しい重機を手に入れることができるわ」


 みんなをパワーアップさせて、チームカラーのエメラルドグリーンにしちゃおう!


 ついでに仲間も増やしちゃえ!


 よし、ちゃちゃっと砕石を締め固めしてからみんなをカスタマイズしてあげよう!




 締め固めはすぐに終わったわ。だってブルータスは強力なんだから。


 よーし、それじゃあさっそく今がんばってくれたブルータスからカスタマイズしてみましょ。



『ブルータスカスタマイズ


 定格荷重変更

 操縦席仕様変更

 クローラー材質変更

 カラー変更』



 どうやらブルータスのカスタマイズはかけるくんとあまり違いがないようね。クローラー材質変更で鉄製からゴム製に変えることができるみたいだけど、重量が大きいとゴムが潰れるからできないそうね。


 とりあえずブルータスの操縦席はキャビンタイプにチェンジ!そしてサイズを6トンから21トンへチェンジ!ついでに色もエメラルドグリーンにチェンジ!!


 すると、ブルータスを赤い壁が取り囲むと中からガッチャンガッチャン音がしはじめたわ。


 でもブルータスは頑丈だから壊れそうには思えないわね。実際壊れるわけじゃないんだけど。


 カスタマイズ終了して壁の中から出てきたブルータスを見てびっくりしたわ。


 う、美し過ぎる!


 元々黄色くて無骨なイメージだったブルータス君が、エメラルドグリーンが眩しくてすっごくスタイリッシュなブルータス様に変身しちゃった!


 総重量や操縦席を変えたからさらに巨体に変化したはずなのにそれを感じさせないエレガントな姿。


 私にはよく分からない『オオマツ D31PX』と書いてあった文字が『E03B BRUTUS』にチェンジした。たぶん『エリーゼ3号機ブルドーザーのブルータス』ってことなんだと思います。


 操縦席もキャビンになったから一体感もあるわ。


 まるで、筋肉の鎧に身を包んだ荒くれだけど心優しい野獣のような戦士が、転職したら荘厳華麗なフルプレートに身を固めた聖戦士になったみたい。


 ほんと、ブルータス様って感じよ。素敵だわぁ。


 これはクリフトくんもかけるくんも色を変えてあげないと!


「いでよ!クリフト~!かけるくん、カムヒヤ~!」


 現れたクリフトくんとかけるくんにカスタマイズを行う。


 クリフトくんはこのサイズが丁度いいので操縦席をキャビンにしてカラーチェンジ、かけるくんはさっきカスタマイズしちゃったからカラーチェンジのみ。


 壁の中からエメラルドグリーンに染まったふたりの姿が現れた。


 クリフトくんのボディには『E02F1 KLIFT』、かけるくんには『E04H かけるくん』と書かれてた。


 クリフトくんのナンバーだけ数字が多いのはきっと私の気持ちを重機スキルが理解してるからだわ。


 これは是非スキルの気持ちに答えてあげないとね。


「フォークリフトを2台購入、サイズは2.5トンでカスタマイズはカラーチェンジのみ、っと。いでよ!フォークリフトのエト!ゼロス!」


 空色の壁の中から2台のフォークリフトが現れたわ。両方ともエメラルドグリーンのボディが美しい。


 エトには『E02F2 ETO』ゼロスには『E02F3 XELLOSS』のナンバリング。


 実は商業ギルドの職員さん達がフォークリフトの運転を練習してるんだけど、ちょっと難航してるのよね。


 やっぱりスキルのない状態での操縦は難しいらしいわ。ミノルおじさん曰く、『こいつらには車の概念がないからな、リフトが動いて仕事をする事を心のどこかで疑ってるんだ。だから反応が遅れる。道具にだって魂が宿ってる、恐れたり嫌がったりする奴に応えてはくれないさ。』ですって。


 私の加護のおかげで受け入れはしてくれてるんだけどね。受け入れるのと運転するのは違うんだろうな。


 だから台数揃えて職員さんの練習量を増やしてあげたかったんだ。


 ちなみにまゆげちゃんはミノルおじさんがナンバープレートに『エリーゼ01まゆげ』って書いてくれてる。みんなおそろいなのよ。


 私はまゆげちゃん達を工事現場の中に順番通り並べてみた。


 すごい!壮観だわ!エメラルドグリーンの車体が陽光を反射して輝く姿。素敵過ぎる!


 これは早く油圧ショベルもカスタマイズしてあげないとね。

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