第28話 11歳になりました

 秋の終わり、私は11歳になりました。


 去年の誕生日は新しいスキルを貰うため家族でいっぱい話したなぁ。


 今年の誕生日は新しいスキルのせいで家族といっぱい話してます。


「ああ、エリーが僕からだんだんと離れていくよ。将来エリーは僕のお嫁さんになるんだからもっと近くにいて欲しいなぁ。ああ、これも大人になっている証拠かも知れない、仕方がないことなんだね」


「お兄ちゃん違います、お兄ちゃんが暑いのであえて距離をとっているんです」


「今から寒くなるんだから暖めてあげるよ」


「言い間違えましたキモイから距離をとっているんです」


「ははっ、照れなくてもいいんだよエリー」


 はぁ、お兄ちゃんはいつでも通常運転のようです。


「エリーゼ、お誕生日おめでとう!もう11歳か……時の経つのは早いな。新しいスキルを身に付けて半年……やっぱり早いな」


「おめでとうエリーゼ。今はギルドの買い付け業務を受けたり新しい重機の運転方法を職員さんに教えてるんでしょ?偉いわね」


 お父さんとお母さんはとっても嬉しそう。


「はい、商業ギルドでは冬に向けての燃料を買い付けしてたんで、木こりのおじさん達がいた開拓村まで木を買いに行きました。今度はちゃんとお金を払ったのよ」




 あの開拓村まで直接行くなら危険はないだろうということで、私ひとりで行ってみました!


 まあ私『地図LV2』ってスキルあるから道を間違えることはないの。


 LV2は半径10キロメートルを表示出来るし、半径500メートルの中にいる人や動物を映し出すことができるの。魔物だったらアラートが鳴るわ。


 街道を沿って地図を見ながら生物反応をかわしてひたすら爆走!100キロメートルはないから2時間掛からなかったわ。


 あの開拓村の木こりのおじさん達ったら私を見たらすっごく喜んでくれたの。また来たのか、小さいのに偉いなぁってね。


 もう11歳になるんです!って言ったらたくさん撫でられたわ。


 で、今度はきちんと納品する依頼だから1本あたりでちゃんとお金を払ったらたくさん売ってくれたの。


 ついでに私が木を持ち上げるとめちゃくちゃびっくりしてました。


 私ステータスが上がって力持ちになったからね。ひとりで木を引きずったら持ち運べちゃった!


 全部で80本持って帰ったわ。それを積んでマールの冒険者ギルドに行き薪割りのため細かく切る人を依頼したら、あの冒険者のおじさんと仲間の人達がすぐに受けてくれたわ。


 その時おじさんのパーティメンバーのお兄さんとお姉さんが私の足下に縋って泣きながらお礼をしてきてドン引きしちゃったわよ。


 あの時怪我をしたカップル冒険者さん達で冒険者のおじさんと小柄な男の冒険者さんが引き剥がしてくれたけどね。


「私は運んだだけですよ。治療をしてくれたみなさんのおかげですから」


「君が凄い速さで運んでくれたから助かったんだ。彼女の足はもう数分遅かったら血が巡らなくて捥げていたそうだ」


「あなたが私達を助けてくれたのね、ありがとう!」


「君の為なら何でもする!君は恩人だ!」


 めっちゃペコペコ頭を下げるからなんだかいたたまれなくなっちゃった。


「じゃあがんばって枝打ちと細切れにしてください。そうしたら私は助かりますから」


 その後はまゆげちゃんから木を取り出して持ち上げるとビックリされるお約束の時間。


 それだけ力があるなら何か護身術でも教えてあげようと言われたから毎週2回ほど戦闘訓練をしてもらうことになりました!ラッキー!


 冒険者パーティのみなさんが剣や魔法で細切れにした木を商業ギルドに持っていって納品して完了!


 結構な量だからかわりといい報酬だったわ。めちゃくちゃ量があるからサービスで木箱を交換してドサドサ入れた。


 商業ギルドの裏の空き地に200箱ほどを3段積みにしてみたわ。縦7列横10列、かなりコンパクトにしまえてる。


 木箱購入に10万ワーキングポイントもつかっちゃったけど全然関係ない。だって、木を運んで手に入れたワーキングポイントはなんと740万ポイント!高い!


 さらにレベルが上がって19になりました。お父さんごめんなさい。


 ちなみにフォークリフトを使って積み上げたから得られるワーキングポイントも分かりました。


 なんと移動距離1メートル単位×地面から持ち上げた高さ1センチメートル単位×重さ100キログラム単位、だったの。


 10メートル先に300キログラムの木箱を運んで3段目に積むと、10×3×180で5400wp。


 床に置く木箱は走行するため20センチメートルしか持ち上げないけど、それでも10×3×20で600wpにはなるわけで、それが200箱だから……えらいことになりました。


 そんなこんなでワーキングポイントは1000万近く貯まってます。




「とうとうエリーゼがお金を稼いで来たもんなぁ。凄いことだよ」


「それに商業ギルドや冒険者ギルド、衛兵も巻き込んでの仕事も受けてるんでしょ?本当に凄いわ」


「春になったら本格的に始めるみたいです。領主さんの了解も取れたみたい。まずは倉庫を作るんですって」


 倉庫を作るには色々工事をしなきゃいけないのよねぇ。うふふ、新しい重機、交換してみようかな!?


「まあ仕事の話は後にして、まずはご馳走を食べよう!お母さんが作ってくれたご馳走だぞ」


「エリーゼが臨時収入を入れてくれたからね、ちょっと豪華にしてみたわ!」


「やったあ!ありがとうお母さん!」


 今日のご馳走は、大きな鳥の丸焼きとたっぷりサラダ、キノコのグラタンにパンとスープ。


 そしてでっかいバースディケーキ!


 食後にお母さんがマキアートを淹れてくれるんですって!


 お母さんコーヒー淹れるの練習してたもんなぁ。


「それじゃご馳走をいただく前に……エリーゼ、お誕生日おめでとう!」


「おめでとう!」


「エリー、おめでとう!」



 家族からの祝福!ありがとうみんな、私幸せです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る