第27話 話が大きくなってきた!
「なんか交換できるものが増えてる……」
「ん?どうした嬢ちゃん?」
「おじさん、フォークリフトを手に入れたらなんか他のものも交換出来るようになったんです」
私はパレットや木箱、バックのことをみんなに話してみたわ。
「ほう、ワーキングポイントで荷物を載せる枠が手に入るのか、それは重畳。それがあれば大量にある小さな物、例えば麦の袋や水袋等も収集して保管出来るという事か」
「それは凄い!鉄の箱は鉱石を入れる事が出来そうだな。商売の幅が増えそうだぞエリーゼ」
ギルドマスターさんとお父さんは大喜び。
「うーん……」
「ミノルおじさんどうしたんですか?」
ミノルおじさんだけは何か考え込んでるみたい。いつもの腕組み顎いじり。
「嬢ちゃん、フォークリフトのステータスに『アタッチメント』って項目はないか?これだけ色々アイテムが手に入るならアタッチメントもある筈だ。探してみてくれ」
アタッチメント?なんだろ。
私は重機スキルのステータス画面のフォークリフトの項目を触ってみた。でも、見えるのはフォークリフトの説明文だけ。
うーん、どこを見たらいいのかな?
「エリーゼ、まゆげちゃんはお前の眷属なんだろ?このフォークリフトはどうなんだ?眷属じゃないのか?」
お父さんに言われて自分のステータスを見てみたけど、眷属はまゆげちゃんだけだわ。
「フォークリフトは眷属になっていません。なんでかな?まゆげちゃんの時と何が違うんだろ?」
まゆげちゃんとフォークリフトの違い……交換方法はワーキングポイントと精神力の違いがある。でもそれは最初の重機を手に入れるため仕方がないことよね。
重機がないとワーキングポイントが手に入らないんだから。
じゃあミノルおじさんがまゆげちゃんを改造したから眷属になった?
いやいやそれも違う気がするわ。だってそれならミノルおじさんがいなかったら私の重機は眷属になれない。
まゆげちゃんだけが特別って訳じゃないと思うのよね。
「フォークリフトとまゆげちゃん、何が違うんだろう?」
「ははは、俺には分かったぞ!嬢ちゃん、愛だよ愛!嬢ちゃんの重機に愛情を注いでやるんだ。道具は大事にしたら持ち主に応えてくれるもんだぞ」
モジャおじさんの目がキラキラしてる!
なんだかモジャおじさんってば、髭面なのにロマンチック!
やっぱり男の人の魅力はやさしさよね。強さや容姿よりやさしさが大事だわ。
私モジャおじさん大好き!
「なるほど、フォークリフトにもまゆげちゃんと同じように愛情を注ぐかぁ……愛情、愛情、うーーん、フォークリフトにまゆげちゃん……あっ!!」
分かった!
「おっ!分かったみたいだな!」
「はい!ありがとうモジャおじさん。それはきっと名前ですね!」
モジャおじさんは満足そうにお髭を撫でてる。
「俺も『モジャおじさん』って呼ばれたのがうれしかったからな。道具だって同じだと思ったんだよ」
私はモジャおじさんってあだ名を付けたらとても喜んでくれた時のおじさんのお顔を思い出したわ。
「それならもう決まってるんです。私が初めて重機のスキルを見た時勘違いして呼んだ名前、フォークリフトさん、あなたのお名前は『クリフト』です。クリフト君!よろしくね!」
私はクリフト君にそう声を掛けてハンドルを撫でた。するとクリフト君のライトやウィンカーがチカチカ光りエンジンが高回転で回ったわ!
「ははっ、『クリフト』か!男らしい名前を貰ったな。よかったなクリフトよぉ。んん、嬢ちゃん、クリフトにも嬢ちゃんの加護が付いたぞ」
あら、ミノルおじさんは早速クリフト君を鑑定したようね。それなら私も自分のステータスを確認してみようっと。
ステータスを見てみると、眷属の所にちゃんとまゆげちゃんとクリフト君の名前が書いてある!
やったぁ!私の眷属にクリフト君が増えたわ!
「うふふ、クリフト君が眷属になってます。クリフト君を調べたら何かわかるかな……あっ!アタッチメントがあるわ!」
ステータス画面にあるクリフト君の名前を触るとアタッチメントが表示されたわ!
『眷属:クリフト
現在のアタッチメント:サイドシフト
種類:
サイドシフト(選択中) mp=20,000 フォークとバックレストを左右に動かせる。切り返しせずにフォークの位置決めが可能。
フォークポジショナー mp=25,000 左右のフォークを単独で自由にスライドさせ間隔を変更出来る。
回転フォーク mp=36,000 フォークキャリッジを360°回転させ鉄バッグ缶等を横や下に向ける事が可能。
ベールクランプ mp=36,000 左右のフォークで物品を掴んで移動する事が出来る。
ヒンジドフォーク mp=40,000 中央が上に折れ曲がったフォークを上向き35°下向き50°に傾斜させ丸太等長くて転がる物を抱え上げる事が出来る。
ロードスタビライザー mp=12,000 フォークの上に付いたプレートで積荷を抑える事が出来る。荷崩れしやすい物が運び易くなる。他のアタッチメントと複合使用可能』
なんかめっちゃ部品あるし!
これはミノルおじさんが大喜びする予感しかしないわ。
「んー少しあります。爪を動かしたりする装備のようだわ。今は必要なさそうかな」
めんどうだから今は隠しとこう。
「むう…そうか、嬢ちゃんがそう言うなら仕方ねぇか。クランプやらヒンジやらあると思ったんだけどなぁ」
や、やっぱり!今バラしたら面倒くさいのが確定したわ!後でミノルおじさんの工房に行ったら話してあげよう。
ひと通りドラム缶を運んだり降ろしたり、購入したパレットや木箱に麦袋や石を乗せて運んだり積んだり、狭い所を走ってみたりしたわ。
ちなみにここは商業ギルドのロビーですけど。
「これは凄い!可能性しか見えないな!エリーゼ嬢、先程の大量輸送と大量流通は価値があると私は見た。是非前向きに検討させて欲しい!」
やった!私の重機がみんなの役に立つ可能性が出てきたわ!
「勿論ウォール商会さんやミノル氏、妖精の雫工房主にも了解と協力を仰ぎたい。如何かな?」
「喜んで協力させて頂きます。うちのエリーゼを有能と見込んで下さったあなたの頼みですから断る訳にはいきません!」
お父さんはノリノリね。
「こんな面白そうな事に噛ませて貰えるなんて、こちらから頼みたい位だ」
「重機のレギュレーションやメンテナンスは俺に任せてくれ。嬢ちゃん、しっかりポイント稼がせてやるからな!」
モジャおじさんもミノルおじさんも楽しそう。
すごいすごい!夢が拡がるわ!
「ギルドマスター、この話は冒険者ギルドとマールの衛兵達にも通した方が良さそうです。エリーゼは双方共と良い関係を築いていますからきっと上手く話が進む筈です」
お父さんの言葉にギルドマスターさんがハッとしてお髭をつまんだ。
たしかに冒険者ギルドと衛兵さん達が関わってくれたらきっと上手くいくわ!
あのグレース市よりこのマールがおっきくなるかもしれないなんて楽しみ!!
「うーむ成程、街を挙げて取り組むと言う事か。それならマールを仕切る代官に…いや、これは直接領主様に了解を取り付けよう」
すごいわ!まだ違う人も混ざってくるのね、楽しみすぎ……あれ?領主様!?
えええ!話が大きくなり過ぎてる!!!
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