第26話 フォークリフト
「いでよ〜『フォークリフト〜』」
目の前に空色のブロックが積み上がり、箱になった。そのブロックが消えていき中から新たなる重機が現れる。
緑色のボディに黒いマスト。重心の低いその姿はとってもキュート。
でもその後だ車体の前にはでっかい2本の爪が付いててワイルドさも感じられるわ。
「こ、これはニッビシのグリーンディス?フォークリフトって言うからオオマツ辺りかと思ったらニッビシか!渋いチョイスだな!こいつは2,500キロの荷物を最大3メートルの高さまで上げる事が出来るぞ!エンジンはガソリン用とディーゼル用があるが…まあ嬢ちゃん仕様だからどっちでも良いか」
ミノルおじさん説明ありがとう。
「私達には何がなんだか分からないな。エリーゼ、御者は出来るかい?」
「やだなぁお父さん、運転って言ってください。できますよ」
御者って、もうお父さんったら。重機は運転するものですよ。
あっと、その前に燃料を入れないとね。まゆげちゃんはミノルおじさんが改造して私の精神力で動くけど、元々は燃料で動くはずだったんだ。
えーっと、燃料は…単位が200個ずつなのね。1個が割引されて40ポイントだから…よし、じゃあ200で8000ポイントを消費っと。
私はステータス画面を見て燃料を精神力と交換してみた。すると目の前に木の桁に乗っかったでっかい緑色の樽が現れたわ!
「な、なんだこりゃ?」
なにこれ?
「えーっと、フォークリフトを動かすための燃料を出したらこれが出てきました。どうやって使うのかなぁ?」
重機の使い方はスキルで分かるけど、燃料ってのがいまいち分からないわ。ミノルおじさんが燃料の話をしてたから重機を動かすための栄養かなーとは思ってたけど。
こんな樽みたいなのが燃料なの?
「ミノルおじさん、これなんですか?」
「おう、これは『ドラム缶』って言う燃料が入ったケースみたいなもんだ。中に水の様な液体が入ってる。火が付く水だからちょっと取り扱いが難しいが俺がなんとかしてやるよ。て言うか嬢ちゃん、多分もう燃料入ってるぞ。じゃないと動く事も出来ねえじゃねえか、そんな事はねぇだろ?」
私は運転席に乗ってメーターを見たわ。『fuel』って書いてあるメーターの目印は『F』の所を指してる。
『F』はfull、満タンってことね。
「入ってました!良かったあ。じゃエンジンを掛けてみますね」
ハンドルの下の辺にある鍵を回したら『ルルルル』ってセルが回った。
ドルルン!ルルルルルルルル………
「おおっ!爆発したかと思った!起動した音か」
「最初は大きな音がしたがその後はかなり静かだな。」
「まゆげちゃんはもっと可愛い音だがな。だが確かに静かだ」
おじさん達の反応は上々。
「ギルドマスター、そのドラム缶を押してみな。そのサイズは200リットル入るやつだ。水なら200キログラム、まあ動かねえから」
ミノルおじさんに言われてギルドマスターがドラム缶を押してみた。
あれ?押してる?
「た、確かにこれは重い。私では動かせん」
「俺が押してやる!」
モジャおじさんがドラム缶を押したらちょっぴりユラユラしたわ。
「うむ、俺の体力ステータスは47だが、揺らすのがやっとだな。流石に移動は無理だ。」
「私も手伝うから倒してみよう!」
「おいおいウォールの旦那、無理すんなよ。」
ミノルおじさんがニヤニヤしてる横でお父さんとモジャおじさんが2人掛かりでどうにかドラム缶を横に倒した。
「……倒したら起こせよ」
ミノルおじさんが意地悪そうに言った。
「え!?無理だ。何とか倒すのがやっとだったのに!」
「ウォール商会さん、妖精の雫工房さん、余り無駄な事をしないでくれないか?」
ギルドマスターさんはお髭をつまみながら憮然としてるわ。
「お父さん何やってるんですか、仕方がないなぁ」
私はしぶしぶと運転席から降りて倒れたドラム缶を起こす。
重いけど起きないほどじゃないわ。でもさすがに抱えて運ぶのはちょっとキツイかも。
「………」
「……ま、まあいい。エリーゼ嬢、そろそろフォークリフトを動かしてくれないか?」
ギルドマスターさんが絞り出す様に言葉を発した。お父さんとモジャおじさんは黙り込んでる。
何よもう!
「簡単に持ち上げられたのを見た後じゃちと説得力に欠けるが、このドラム缶が凄ぇ重い事は分かったと思う。じゃあ嬢ちゃん、フォークをドラム缶の下に敷いてある木枠の穴に差し込むんだ。その木枠は『パレット』って言うフォークリフトが荷物を運び易くする為の下敷きだ」
「はい」
私はミノルおじさんの指示に従ってフォークを下げ、水平にしてからフォークリフトを前進させてパレットに差し込む。
「よし、じゃあ地上から20センチ位フォークを上げてマストを起こせ。あんまり荷物を高く上げたまま走らせると重心が高いから荷が安定しねぇ。マストを起こすのはブレーキ掛けた時荷が前に飛び出さない様にする為だ。後、フォークリフトは後輪がステアリングだから外輪差が働く。小回りが効きやすい分ケツを振るから良く見て曲がるんだぞ」
「は、はい!」
私は言われた通りフォークリフトでドラム缶を浮かせてマストを倒した。そのまま前進してみる。
ルロロロロロロロ
「おおっ!あんな重い物をいとも簡単に運んだぞ!」
「走りはゆっくりだが力強い。これは凄いな」
「これなら倉庫に荷を入れるのも楽だ」
みんなが感心した様に呟いてる。なぜかミノルおじさんは得意げよ。
「パワーとしてはこのドラム缶を10個以上持ち上げて運ぶだけの力があるぞ」
「な、なんと!それは凄い」
「確かにこれなら荷物を一元管理する事が可能だ」
「このパワーなら荷を積み上げて保管し、必要な時に下ろせばいいな。凄いぞエリーゼ!まさに物流革命だ!」
ふふふ、私の重機スキルがみんなに喜んで貰ってるわ!
ついでにもう一個ドラム缶を出して運んでみようかしら?
私は燃料を出そうとしてステータス画面を確認したわ。
あら?よく見たらなんか交換できる物が増えてる!
『燃料 1ℓ 40mp(魔力操作LV4割引)
パレット 1枚 100wp
パレット 12枚 1,000wp
吊り上げ用バッグ 1枚 300wp
吊り上げ用バッグ 12枚 3000wp
木箱(900㎜×900㎜×900㎜底部フォークリフト荷役仕様) 1個600mp
木箱(900㎜×900㎜×900㎜底部フォークリフト荷役仕様) 10個5,000mp
金属製バッグ缶(1,200㎜×900㎜×600㎜フォークリフト荷役仕様) 100,000wp』
な、なんと!周辺小物がワーキングポイントで買えちゃうみたい!
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