第5話 レベルアップ!

『異世界人』


 聞いたことあるわ。確か別の世界からやって来る稀人でとんでもない知識と技術を持ってる。


 最近どこか余所の大陸にも現れて、国を滅ぼし新たな国家を作ったとか、大陸の危機を救ったとか夢みたいなことを仕出かしたらしい。


 ミノルおじさんもそんな凄い人……には見えないわ。


「うーん、ミノルおじさんが異世界人……それで重機のことを知ってたんですね」


「ああ、だから嬢ちゃんがトラックやリフトなんて喋ってやがるから嬢ちゃんも異世界人かと思ったんだ。だから声を掛けたのさ。ま、異世界人じゃなかったが凄ぇスキル持ってたんだから結果オーライだ」


 うふふ、そうだね。結果オーライだ!


「んでよ、俺の第1スキルは『整備士』なんだ。以前はこう言うスキルはこの世界には無かったらしい。でも近頃は異世界スキルがごく稀に発生するんだ。きっとスキルの神様に何かあったんだろうな。知らんけど」


「おじさんはそのごく稀なスキルを持ってるんですね!凄いです!」


「嬢ちゃんには負けるけどよぉ……」


 ミノルおじさんはちょっと照れ臭そうにしながら頭をガリガリ掻いたわ。


「で、相談なんだが……俺に1週間、嬢ちゃんの『まゆげ』を預けてみないか?俺が腕によりをかけてきっちり!直してやる!」




 ミノルおじさんにまゆげちゃんを預けた。だって壊れたらやなんだもの。


 とりあえずまゆげちゃんに乗ってみたの。そしたら何故か使い方が分かった。


 おじさんが言うにはスキルとはそんなもんなんだそうだ、不思議。


 もっとまゆげちゃんに乗りたかったんだけど、ミノルおじさんはもうまゆげちゃんを弄りたくて弄りたくて堪らないみたいだったから諦めたわ。


 ミノルおじさんはちょっとお兄ちゃんみたいで気持ち悪かった。


 そーっとおじさんの工房から出た時、何か頭の中がチカチカした。


 な、何?目眩?


 手をグーパーグーパーしてみる、顔を触ってみる、足踏みしてみる。


 何もないわ…あっ!もしかして!


 私はステータス画面を開いてみた。



 名前:エリーゼ

 種族:人間


 LV:2

 生命力:22

 精神力:45,743

 体力:8

 知力:42

 敏捷:19

 器用:27

 気力:28

 魔力:100

 状態:正常


 眷属:まゆげちゃん


 技能: 重機LV2、魔力操作LV3


 受動技能:精神力回復力増加、精神力回復量増加、努力、根性


 称号:努力人、投資家



 あっ!レベル上がってる!ステータスが倍近くになってるわ!


 もう精神力やばい!


 それに、スキル『重機』のレベルも上がってる!きっと初めての車輌?を手に入れたからだわ!


 新しい重機があるかも知れない!


 私はスキルステータス画面を開いてみたわ。


『重機購入画面 LV2ラインナップ


 13トン油圧ショベル 2,000万wp(New)

 7トン油圧ショベル 1,000万wp(New)

 4トンフォークリフト 750万wp

 2.5トンフォークリフト 280万wp

 6トンブルドーザー 1,500万wp(New)

 3トンブルドーザー 850万wp(New)

 3トンホイールローダー 450万wp

 2トンホイールローダー 380万wp

 660ccリフトダンプトラック 150万wp

 660ccテールリフト付きトラック 150万wp

 660ccダンプトラック 150万wp

 660ccトラック 100万wp


 550ccトラック(中古)…品切れ中


 燃料 1ℓ 120mp


 現在のwp=0 貯蓄mp=0』


 増えてる!


 油圧ショベルってのとブルドーザーってのが増えた!なんじゃこりゃ!?


 それに燃料って言うのが増えたわ。これはmpで交換するのね。


 うーん、油圧ショベルってなんだろ?ミノルおじさんに聞いてみたいけど…今は邪魔しちゃ駄目ね。


 私は何気なくスキルステータス画面の油圧ショベルを触ってみた。


『13トン油圧ショベル:油圧ショベルは掘削・整地等の為のブーム・アームと呼ばれる腕状の構造及びバケット等が油圧により作動し自走する機械。クローラやカタピラ等と呼ばれる無限軌道で走行する。サイズを総重量で示す為名称の前に重量が明記されている』


 すっごい分かりにくい説明文が出た!


 掘削や整地は分かるけど、ブーム?アーム?バケット?無限軌道?なんのこっちゃ!?


 よく分かんないけど、多分この子は穴を掘ったり埋めたり出来るんじゃないかしら?


 うむむ、使い所が分からないわ。


 とりあえず家に帰りましょ。今はまゆげちゃんがいるからいいもんね。


 まゆげちゃん、またね。




 学校とお店の手伝いをしてたらすぐに1週間が経過したわ。


 でも、ちょっと困ったことがあるの。


 どうもお店の商品が少ない。お父さんが頭を抱えている所をよく見るわ。


「お母さん、この棚にあったポーションがもう無いわ。どこにしまってあるの?」


「エリーゼ、ポーションは売り切れなの。お隣の御者さん一家がお引越ししたでしょ?マリアちゃんのとこ。うちはあそことの契約で商品を運んでたから……契約破棄の違約金は国から補償されたけど、代わりに商品を運んでくれる人が居ないのよ」


「えっ!?じゃあ商品の仕入れはどうするの?」


「お父さんかお兄ちゃんが冒険者を雇って買い出しに行くしかないんだけど…冒険者にツテがないから困ってるのよね」


 大問題じゃん!商品がない商店なんて只の広いフロアでしかないわ。


「お父さんもお兄ちゃんも馬車を操車出来ないから御者も探さないといけないし……はぁ、誰か荷物を運んでくれる人は居ないかしら?」


 困ったわ。これじゃお店のお手伝いが出来ない所かお店の維持が出来ない。生活が出来なくなっちゃう。


 私じゃまだ荷物を運んだりは出来ないし……


 荷物?荷物を運ぶ!?


「お、お母さん!私、荷物を運ぶお手伝いが出来るかも知れない!ちょっと待ってて!出掛けてくる!」


「エリーゼ!あなた何を言っているの!?ちょっと待ちなさい……」


 私はミノルおじさんの工房へ走ったわ。

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