第2話 キャラクリエイト②
装備の選択をし終わった俺は、今更ながら一つ疑問を覚えた。
予習したサイトには、従来のVRMMOでは種族が選べるとあった。
しかし、IPOでは種族を選ぶ前に人間の自分の肉体を弄れていた。
それはつまり、他の種族を選べないという事なのではないか?
「そーだねー。
僕達の世界に来る
「マジか……それを早く言って欲しかったな」
シウの言葉で確定した。
それはつまり俺がこのIPOでしようと思っていた悪役ロールプレイの道が遠のいてしまうということ。
一番の近道がモンスターの体になる事だったのに……。
それだけでテンションは駄々下がりだ。
「ふふ、ごめんだけど残念。
でも、人間でも十分に悪役プレイはできると思うよー」
「そうか、そうだよな」
シウの言葉で少し復活した俺は、決定の文字を押す。
≪《剛糸のTシャツ100BP》《剛糸のズボン80BP》《フォレストベアの革靴90BP》《残月のネックレス140BP》《魔鉄の剣90BP》を選択しました≫
「お、これでいいんだねー?」
「ああ」
「おっけーい。
じゃあ次はスキルと能力値の振り分け、いっちゃおー」
また新たにウィンドウが出現する。
そこには俺のステータス画面と、取得可能スキルがずらりと並んでいた。
これが俺の初期ステータスか……。
なんというか、可もなく不可もなくだな?
そんな俺のステータスがこちら。
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PN:フィエル 職業:???
Lv.0
体力:14/14
魔力:9/9
筋力:6
魔攻:3
物防:4
魔防:2
素早さ:7
知力:11
精神力:17
器用さ:12
運:31
SKILL なし
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「ここで注意事項を一つー。
各能力値に振れるポイントはHPとMPが100の数値まで。
それ以外の能力値は50までだよー。注意してね~」
「そうなのか、わかった」
さてさて、どうやって振っていこうかな……?
いや、先にスキルに振っておいて、余りをステータスに振った方がいいか。
装備に使ったBPは500。残りは500BPだ。
そう思い、取得可能スキル欄の方に目を移す。
最低でも一スキルにつき10BPは消費する様である。
「はぁ?【愛想笑い】?なんだこれ」
スライドしていくと社畜時代を彷彿とさせるスキルが目に入った。
いや、マジでなんだこれ。ふざけとるんか?
……いや、案外有用なスキルかもしれん。先ずは詳細確認だ。
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【愛想笑い/Lv.1 等級:G 分類:生活】
詳細:愛想笑いを浮かべて無難な会話をするパッシブスキル。
NPC・PCとの会話による好感度上昇を狙える。また、NPCとの取引時に好感的な印象を与える可能性が上がる。ポーカーフェイス。
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お、おう。めっちゃ微妙だ。
しかも等級がG……これは最低等級という事。
でも説明には割と有用そうなことが書かれている。BP消費は5。取るか……?
いやでもこれは……狙えるとか可能性とか書いてあるぞ!?
あぶねぇ……騙されるところだった。
確実性があるならまだしも、可能性だったら話は別だ。マジで要らないスキルでした。はい。
それから俺は時間をかけてじっくりと、時にはシウにアドバイスを貰いながらいくつかのスキルに候補を絞って取得した。
その結果がこれだ。
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PN:フィエル 職業:???
Lv.0
体力:14/14
魔力:9/9
筋力:6
魔攻:3
物防:4
魔防:2
素早さ:7
知力:11
精神力:17
器用さ:12
運:31
SKILL 【剣術/Lv.0】【火魔法/Lv.0】【風魔法/Lv.0】【水魔法/Lv.0】【土魔法/Lv.0】【闇魔法/Lv.0】【錬金術/Lv.0】【召喚術/Lv.0】【使役/Lv.0】
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スキルを選択し終えて、ステータスのSKILL欄に並ぶスキル達を満足げに見る。
これらのスキルを選んだ理由として、まず剣術は必須だと考えて10BPを消費して取得。その後にメジャーで無難な四大元素の魔法を取得。これは各50BP消費した。
そして、シウに「悪役にはこれでしょー」と勧められたのは闇魔法。
いやー、わかってるねシウさん。
これももちろん取得。50BP。
このIPOでは職業の選択を自由にできないとPVやマニュアルに書いてあった。
職業をお好みにしたい場合は、何度もキャラクリエイトを繰り返さなければいけない。そうするとロスができる。
俺の目標は、最前線の攻略組をも震え上がらせる悪役になりきる事。
そのためには時間が惜しい。なので職業はこの後の一発勝負だ。
なのでどの職業でも対応していけそうなスキルを選んだ。
その一つに錬金術。
なぜこれを選んだか。それは、悪役として名が知られれば装備や武器をNPCからもPCからも売ってもらえない可能性があるからだ。
そうなるのが分かっているのならば、初期段階で生産系スキルを取って育てた方がいい。という事で、錬金術を取得した。30BP。
次に召喚術。
これは保険である。もし戦闘に補正が掛からない職業に就いた場合、召喚した魔物に戦わせればいい。そして地道にレベル上げができるという算段。30BP。
次に使役。
これも上に同じくだ。ポイントも上二つに同じである。
弱らせた魔物を従わせ、事を有利に進める。それに悪役プレイにも使えそうじゃないか?
これで計350BP。残りは150BPである。
「スキルは選び終わったみたいだねー。
じゃあそのまま、能力値を振り分けてね」
シウのその言葉でスキルの取得表が消え、ステータスのウィンドウが残る。
さて、どこに振って行こうか……?
見た感じ、まずは必要そうなのは魔力、筋力、防御力系、素早さか。
魔力が少ないのは問題だ。こんなに魔法系スキルを持っているのに使えなくては、宝の持ち腐れ。なので取り敢えず魔力に30振る。
次に筋力に20振っておく。
その次は防御系。15ずつ振っておく。
素早さは20ほどでいいだろう。
思えば、魔力を上げても魔攻が低ければ効果的ではないのに気づいた。
30ほど振っておこう。
そして余った20BPを体力に振って……完成だ!
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PN:フィエル 職業:???
Lv.0
体力:34/34
魔力:39/39
筋力:26
魔攻:33
物防:19
魔防:17
素早さ:27
知力:11
精神力:17
器用さ:12
運:31
SKILL 【剣術/Lv.0】【火魔法/Lv.0】【風魔法/Lv.0】【水魔法/Lv.0】【土魔法/Lv.0】【闇魔法/Lv.0】【錬金術/Lv.0】【召喚術/Lv.0】【使役/Lv.0】
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ふむ、よきかなよきかな。
これでいいスタートダッシュが決めれそうだぞ!
「うんうん、これで終わりかなー。
最後に何か質問はあるー?」
シウがそう言うと俺の前に出現していたウィンドウがすべて消え去る。
「そうだな……いや、特にない」
「……分かったよー。
じゃあフィエル、君を下界に送るね。
君が悪役として活躍するのを楽しみにしているよ。ばいばい!」
シウが的確に俺の心を沸き立てるような事を言うと、微笑んで手を振ってくれる。
それに応えようと俺は
「ああ! またな!」
と返したその瞬間、俺は光に包まれた。
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