マッチング
ボウガ
第1話
女性向け雑誌を運営する会社が、マッチングアプリを開発した。それは女性に得に人気で、それも結婚を目指す女性に人気だという。どういう仕組みなのかと、ある雑誌社が取材に入った。
担当者はにこやかに接してくれた。
「近頃ではAIをつかったデータベースの作成も、人格分析も簡単になりましたしね、別に禁止されていません」
「ですが、個人情報を勝手に集めるのは違法では……」
「規約にありますので、必要な情報だけをデータ化し、匿名データとしてデータベースをつくります」
「それでは、どうしてこのアプリはここまで人気になったとお考えですか?」
首をひねる記者に、少々含み笑いをする担当者。
「いえ、失礼、私どもも狙って成功したわけではないのです、ですが偶然いい方法をおもいつきまして、いくらかバイトでやとった男性をつかっているのです」
「ええ、それじゃ詐欺じゃないですか?昔、男をだますサクラなどはありましたよねえ、出会い系で」
「ええ、ですが、バイトの面接も厳しいものですし、“あるパターンには規定数の人間しか雇わない”という規則もありますので」
「パターン?」
「ええ、AIを使って、人格をいくつかのパターンに分けました、そして、必ず女性が求める男性像にはお決まりのものがあることに気付いたのです、清潔感、女性性、包容力……そのパターンの中で、まず入口として“サクラ”を使うような形ですね」
「そんな事、公表されてもいいんでしょうか?」
「ええ、かまいませんよ、うちの読者の女性はこうしたことに反感を持つ人はいませんから、私たちはうまく提供することができました、ある年齢に迫り、結婚を急がれている女性にこそ、急がば回れというような形で“良い男性”を紹介し、彼らに愛想をつかしたタイミングで、本当のマッチング相手を紹介する」
「はあ、役者をはさんで、良い男性を紹介する、それだけでうまくいくものですかね」
「そうですね、私は別に全体の結婚率を上げる必要はないと思っています、ただ、私たちが目指すのは素敵な結婚の架け橋です、ある時期に流行ったんですよ、お互いの本音や本質的な性格を公開せずにマッチングする形のアプリが、ですが、それにさえ偽装を行い、AI分析によって“さらに年収、性格、外見のよさ”の割り出しをする方法がでてきました、するとその分析を用いて、男も裏にさえウソの本音を書くと……そういう流れができて、結局裏の本音さえウソになってしまった、ですが我々は一工夫くわえました、そういう事をしてまで願望が高い女性を狙ったのです、彼女らの性格を分析し、そして彼女たちが気づくための演出プログラムをつくり、バイトの“サクラ”たちに演出させます」
「はあ」
「そうです、つまり、付き合ってある程度の期間をへたあとに、すべてを白状させるのです、我々の目的も、この実験のこともね、たいていの人はそこまで自分の高望みを指摘されると、呆れますからね、その後にサクラはこういうのです“ですが、あなたの望みより、1ランク下の男性はいますよ、それが、世の中の普通の男性のレベルですから”」
マッチング ボウガ @yumieimaru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。マッチングの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます