迷子と一緒

 女の子は黒髪のおかっぱで、レースの付いた水色のワンピースを着ていた。

 名前を訊いたら「エミリ」と答えた。

 母親とお化け屋敷に入ったら、親が先にパニクって置いて行かれたらしい。


「とんでもねえ親だな!」 三浦が怒っている。


「仕方ないよ。あたしらで出口まで連れてこうよ」


「お前、優しいな、コロン」


 ――お、さり気なく名前呼びしたな。


「え?」


「何でもなーい」


 そこからは汚い廃病院の中を歩かされたり(気の狂った医者に追い回された)、地下の霊安室に落とされたり(気の狂った死体に追い回された)、散々な目に遭ったんだけど、あたしたちは小さいエミリを守りながら進んだ。


 三浦もあたしも戦闘モードで楽しくてしょうがなかった。RPGの勇者の気分。敵を倒す度にエミリが嬉しそうに笑った。

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