そろそろ家が安住の地ではなくなる日も近い
よし、この際はっきりと言いたいことを言ってやろう。恐怖に臆するな。たとえ、目の前の妹が人を殺せる眼差しをしていたとしてもだ。
「お前は犬か?それに、知らない女だか何だか知らないが、僕が学校で誰と関わっていようが勝手なんじゃないか?」
よくいった。これで柚子が納得してくれればこれからは家に帰るたびにこんな思いをしなくて済むというのか。最高や...
「は?」
.....納得してくれなかったらしい。これで納得できないってどういうこっちゃね
「おにぃ、あんまりにも私に口答えするようだったらいい加減襲っちゃうよ?性的に」
おっとこりゃまずい。襲撃イベントじゃないですか....
正直現実を直視したくなかった。血のつながったれっきとした妹からこんなことを、ありえないくらい怖い顔で言われた兄の気持ちを考えてほしい。
貞操の危機なのか生命の危機なのか分からなくなるから。
しかしここで諦めたらだめだ。西風家でのカーストが妹>兄になるのはいささか納得できたもんじゃない
「おいおい、血がつながってるのに何言ってるんだ?正気か?」
まずはジャブ、ここから相手の出方に応じて臨機応変に対応していくことが今後の僕の貞操を救うと思われる。
この発言に対し、妹はなぜか急に笑顔になった。僕に正気を疑われて我を取り戻したものだと思いたい。
「あ~あ、そんなこと言っちゃうんだ。それって私に今すぐ襲われたいってことだよね?分かった。わかったよ、じゃあ、私の部屋いこっか。今日は父さんも母さんも帰るの遅くなるって言ってたし、どんなに大きい声出してもだれにも迷惑かからないね。」
有無を言わさず妹は僕の手をつかみ自分の部屋へと連行しようとした。
.....うそでしょ。西風家は代々ヘタレじゃなかったのかよ。
いや、そんなこと考えてる場合じゃないんだよね。現在進行形で僕の貞操がかつてないほどに危機にさらされてるんだよね。
わかった、僕の負けだ。許しを乞おう
「すみません、柚子さん許してください。」
完璧な謝罪。さすがにここまできれいな謝罪だとあの柚子さんも許さざるを得なくなるだろう。
「今更謝っても遅いよ、諦めて私に犯されて。大丈夫だよ、私が動くから。」
あかん、目に光が宿ってない。
しかし、謝罪でダメなら万策尽きたな、ここが潮時か。
....いや、策がだめなら力技だと、あの王〇将軍も言っていた。
よし、ここは無理やりにでも手を振りほどこう。説得はそれからしよう。大丈夫だ。僕の背には、常に王〇将軍がついてる。
僕は持ちうる全力で柚子の手を振りほどき、近くにあった僕の部屋へ避難した。部屋の鍵を閉め、ドアの前にいすを置くという二段構えだ。これなら大丈夫なはず。ドアの外から妹の声が聞こえる。
「そんなことしても時間の無駄にしかならないってわかってるの?」
あ~あ、敗者が何かをほざいていますが勝者の僕には届きません。お疲れ様です。
さて、便意も特になし、お腹がすいてるわけでも喉が渇いてるわけでもない。これなら多分両親がかえって来るまでここで籠城していても問題ないだろう。
ありがとう、王〇将軍。
そんなことを考えていると、ポケットのスマホが震えた。電話らしい
「どうした?早田、暇なのか?」
電話の相手は早田。数少ない僕の友達で、ちなみにイケメンです、めちゃモテます。許せません。が、なんと、今回に限り、こいつの性癖が特殊すぎて誰もこいつと付き合えないので許しちゃいます。
「いや、今日はお前に熟女のすばらしさを布教しようと思ってだな」
???なにこれ一般性癖じゃんと思ったそこのあなた。安心してください。こいつは程度がやばいんです。
しかし僕は熟女にはまったくもって興味ない、いや、「興味ないね」(某ソルジャー風)なのでこの話は聞きたくない。
よし、こいつモテるし、今お悩み相談部が抱えてる問題について相談するか
「なあ早田、そんなことより僕の部活のことで一つ聞きたいことがあるんだけどさ」
「そんなこととはなんだ、まあいい。どうした、たいていのことは答えるぞ、よほど難しい質問じゃなければな。」
それなら多分、こいつなら大丈夫だろう。だってモテるし
「負けヒロインにかける言葉ってなにがあると思う?」
「お前の部はどんな問題抱えてるんだよ。」
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