第8話 放置子
予約投稿の日が1日ズレてました!!!!!本当にごめんなさい!!!!!!
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「んで、なんでお前一人なの?」
「レディー相手にお前なんて酷い言い方じゃないかアル君?」
「なんでもう愛称呼びになってんの…?」
黙っていれば人形のように美しい少女、アイリス=ウィルフォルトを兄様の押しにより馬車へ入れることになった。
そして馬車に乗ってから数分が経った時点で、もうアル君呼びになっている。あまりにもコミュ力高すぎない?
「簡単だよ、パパは厳しいからね〜。私に地力で帝都に辿り着け〜みたいなこと言ってきたんだよ?いわゆる放置子ってやつ?」
「それで、歩いてたのか?」
「いやね、最初は走ってたんだけど面倒くさくなってきたから歩いてたんだよ。道中のモンスターをバッタバッタ斬り倒すのも楽しかったし。」
そう軽い口調で語るアイリスに、少しだけがっかりしたような気分になる。原作だともう少しクールでカッコイイキャラだったんだけど、どうしてこうなった?いや、原作スタートの2年前だから違うのは当たり前なんだけど。
「それに私のほうが意外だよ?だってあの魔眼貴族アルフレッドが、こんな気さくな奴だったなんてね。」
「魔眼貴族?」
「知らないの?魔眼貴族アルフレッドといえば、傲慢で言葉遣いが悪くて、子供なのに女癖が悪いって有名だよ?」
「傲慢で言葉遣いが悪いはまだわかるが女癖に関しては納得いかん…!!」
衝撃の事実すぎて死にそう。こちとら転生してから鍛錬しかしてないから女遊びなんてやる暇1ミリも無かったんだが?
(てかガリレア鬼畜すぎん?仮にも8歳の一人娘だろ?それを一人で数十キロの旅に行かせるとか流石としか言いようがないな。)
「なぁフレデリカ、大将軍の娘。どう思う?」
「そうですわね、アルの婚約者としてはまだ足りませんわね。」
「二人共何の話してんの!?」
「辛口な評価でショックだな〜、でも、まだまだこれからだよね。」
「なんでアイリスも乗り気なの!?」
俺の周りのやつ、全員個性強すぎて困るんだけど。ブラコン極めた兄様と姉様に、適当でノリで生きてるアイリス、そしてツンデレ父さん。俺はあと何分この人たちと馬車に乗らなきゃいけないの?
∇∇∇
「やっっっとついた…」
「よし!楽しかったな!!」
アイリスを馬車に入れてから30分もすると、シシリスの街よりも大きい帝国の心臓【帝都】についた。周囲は黒鉄の壁に覆われており、武力が象徴のバスター帝国の首都に相応しい見た目だ。
「人、多くね…」
帝国貴族の中でも、特に実績がある三家のことを帝国三剣と呼び、シシリス家もその三家のうち一家である。三剣に限らず、貴族は帝都に別邸を一つ所有しており、俺は其処に向かう途中で人の多さにびっくりした。
商人も、住人も、冒険者も、兵士も。その数がシシリスとはまるで違う。シシリスも栄えているが帝都の半分程度の人口だ。その分、一人一人の質は段違いだと自負している。
「それじゃ、私はどっか宿でも借りるよ。」
「大将軍の娘なのに別邸はないのか?」
「うちは別に貴族じゃないからね〜」
帝国戦力の要である大将軍が貴族じゃないってのもおかしな話だが、まぁ戦うことしかしてこなかったもんな。
「ちなみに、泊まる金はあるのか?」
「あっ…」
「うちの屋敷、来る?」
「すいませんお願いします!!!!!」
これでも黄昏ファンの端くれ、ヒロインが困っていて見捨てるほど覚悟決まってない。それに原作と全然違うとはいえ、アイリスはアイリスだ。推しと喋りたいってのは全オタク共通だろう?
「アルが…女を家に…」
「許さないぞ…大将軍の娘…」
「見定めてやる、来い。」
家族たちは三者三様の反応だが、別にホテルに連れ込むわけじゃないからやめてもらっていいかな?あと父さん、大将軍の娘さんに失礼なことしたらお𠮟りが来るからやめてね?
「はは!面白い人達だね!!」
「果たして面白いで済ませていいのかこれ…」
そんなこんなで、普通に本邸と変わらないサイズの屋敷に到着した。中に入るとそこには、見たことのない使用人で溢れていた。
「お待ちしておりました、旦那様。」
「セバスよ、夕飯と風呂の準備をしろ。メイドたちの分の食事も作れ。」
「良いのですか?」
「せっかく家族全員が揃ったのだ。それに大将軍の娘もいる、皆で楽しもうではないか。」
俺は少しびっくりした。父さんって意外と使用人にも優しかったのか。上級貴族は使用人を道具同様に思っている人も多いからな。
「アル〜一緒にお風呂入ろうよ〜!!」
「兄様と一緒なら、まぁ…」
「あら、では私も一緒に。」
「姉様!?!?」
「嫌なんですの?小さかった頃はいつも一緒に入っていたのに。」
「ん?それは聞き捨てならないね。」
兄様とはともかく、姉様と一緒に風呂は不味い。というかアイリス、そこでお前がキレるのは何故だ。ちょっと待って嫌な予感がするぞ。
「それじゃ、私も一緒に入ろっと!」
「アイリス!?」
「アルも不埒な子猫は嫌だってさ、さっさと自分の部屋に行きなメス猫!」
「「お義兄さん」?冷たいこと言わないでよ!」
「お前のお兄さんになったつもりはない!!」
「それでは、俺も入ろうか。」
「「「「あ、それはちょっと…」」」」
突如参戦してきた父さんに、全員が一歩引く。父さんは泣きそうな顔をしていたが、このあと父さんを除いた4人でわちゃわちゃしながら風呂に入ったのはまた別のお話。
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