第5話 買い出しに行こう
〜〜〜〜〜〜〜〜夜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜水瀬視点〜
「あ〜、今日も疲れたー。」
ベッドに寝転がった私は、ふとスマホを見た。
「フフッ、やっと今日、優君の連絡先もらえた〜!」
つい、優君の連絡先が表示される画面を見ると、口角が上がってしまう。
「これが恋ってやつなんだろうな〜。」
私にはこれまで、男の子を好きになったことがなかったから、多分、これが初恋なのだろう。
「初恋は実らないって言うけど、私、頑張るんだから!」
〜優視点〜
今日、初めて同年代の女の子と連絡先を交換した。
光るスマホの画面には、水瀬美乃里の名前が浮かんでいる。
「まずい、ついついニヤけてしまう。男のニヤけ顔ほど危ないものはない。」
心を平静に、脈を整え、………うーん、無理★
「これが恋ってやつなのかもなぁ。」
なるべく、心を落ち着かせねば。
これから、修行する時もこんな感じでは駄目だ。師匠にすぐ吹っ飛ばされる。
あ、噂をすれば、
「おい、優、いつもの修行だ。始めるぞ。」
「はい、今日こそは一本とります。」
「お前が色恋程度で動揺する程度の男じゃ、まだ俺は倒せんよ。」
全部見られてたカモ(^_^;)
〜〜〜〜〜〜〜〜翌日〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
さて、今日は班の皆と一緒に、買い出しに出かける約束だったな。
はやく起きて、朝の修行を始めよう。
〜昼〜
「おっはよー、皆!ごめん、遅れちゃって!」
少し寝過ごしたのか、相原が急いでやって来た。
「おはよう、大丈夫だぞ、まだ十分程度しか遅れてない。」
「そうだよ!杉浦君なんて三十分遅れてくるらしいし、それに比べればなんてことないよ!」
なんと杉浦、好きなVtuberの配信を夜通し見たらしく、それのせいで、起きてみるとあらビックリ、昼の十二時過ぎだったとか。
「あれ、蔵峰さんと金木君はどしたの?」
「あの二人は先に買い物に行ったよ。なんでも、今日は特売日らしくて、色々安いから他の人に買われないようにって。」
「あー確かにあの二人ならそうしそうだわ。」
二人ともかなり真面目で効率重視っぽいからだろうな。どうであれ、先に買いに行ってくれるとはありがたい。
「じゃあ、俺らも買いに行こうか。」
「そうだね。あまり二人に任せていても申し訳ないし。」
「隠し味とか買っちゃお〜(・∀・)ニヤニヤ」
なんだろう、相原に料理を任せるとまずい気がしてきた。
〜金木透視点〜
僕達は今、皆より一足先に買い物をしている。
蔵峰さんによれば、今日は特売日らしい。飯盒炊さんの時に必要な肉や野菜が安く買えるかも。
「蔵峰さん、このお肉なんてどうかな、安いし、国産だからけっこう良いお肉だと思うんだ。」
「良い物を見つけてくれましたね、金木君。
それなら予算的にも大丈夫でしょう。」
「じゃあ、野菜も買わないとね。」
「はい、野菜売り場はこっちです。」
蔵峰さんってどこか他人行儀だから、この合宿で仲良くなれると良いな。
なんて、考えてた移動中…
「あれ、あの男の子、どうしたんだろ。」
「スーパーによく出る不良に絡まれてますね。」
「大丈夫かな、ちょっと不安だから見に行かない?」
「危険だと思いますが、本当に行きますか?」
「もちろん、いざという時には優君を呼ぼう。優君はとても強いらしいし。」
ちょっと怖いけど、ここは勇気をださないと。
僕よりも年齢が下の子が、危険なんだ。
そうして、僕達は2人の不良に歩み寄った。
「あ、あの、その男の子、困ってると思うので、そ、それくらいにしてあげられませんかね。」
「あぁ!?なに、メガネ君、俺たちになにか問題でも?俺の服がこいつのアイスで汚れちまったから俺たちはキレてんだけど?」
不良はズボンを見せてきた。確かに太腿あたりが少し汚れている。だが、すぐ拭き取れば何ら問題はないレベルだ。
「そ、それでもです。年齢も下の子にそんな剣幕で迫るのは少し、大人気ないです。」
「なにこのメガネ、ケンカ売ってんの?あ?やんのか?後ろの女も相手にしてやって良いんだぜ?」
「彼女は関係ないです!殴るなら僕を殴ってください!」
「良い根性じゃねぇか、やってやんよ。」
不良たちが拳を作りながら近づいてきた。
僕は小声で、「蔵峰さん、優君に連絡を。」
と伝えた。
蔵峰さんは震えながらも頷いた。
「おうおう、仲良くしてるとこわりぃがよ、オラッ!」
「グッ!」
不良の拳が僕の頬を打った。僕は思わず倒れ込んでしまったが、不良のことだけは睨みつけ続けた。
「あ?まだやんの?なら、気が済むまで痛めつけてやるよ!」
不良の拳が僕に向かって振り下ろされた、
ハズだった。
「お前、俺の友達に何してんだよ。」
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