第13話
リバー領の経済効果は今のところ右肩上がりだ。
商人たちが集まる中、多くの人々が集まり出していた。
中には怪しい人物も混ざっているようだと、クララが心配していたようだけど、領地には新たな訪問者が現れたことで活気付いている。
「こんなにもリバー領が賑わう日が来るなんて! ジャック様、あなたは優秀な領主です!」
最近のクララは心配事も多いけど、上機嫌な様子なので、毎日僕を褒めてくれる。
そんなある日、領主である僕に会いたいと、訪問者がやってきた。
その訪問者は、一風変わったシスターで、紫のシスター服の上からでもわかるほどの大きなバストを強調させながら、慈愛に満ちた瞳で現れた。
「初めまして領主様、私は自由の女神、アフロディーテ様を崇めております。シスター・エリザベートと申します!」
「なっ!?」
彼女の自己紹介を受けた瞬間に、クララが驚いた顔していた。
「どうしたのクララ?」
「自由の女神アフロディーテは、我領で邪教扱いされている宗教です!」
邪教って、まぁ相入れない場合もあるなんだね。
「邪教ではありません! 我々は自由と、そして人々が愛し合う恋愛を推奨しているのです! 決められた世界の中で生きるなんてナンセンスです! ですから、私はこの命をかけて布教活動を行っています!」
「いけません! リバー領は昔から、教育と倫理を重んじるアンブラ神を信仰してきました」
「うーん、つまりは帝国が反対しているわけじゃないんだよね?」
「うっ、それはそうですが!?」
クララはどうやらアンブラの信者なのだろうか? 俺は無神論者なので別にどちらでも構わない。
「あなたがリバー領の領主、ジャック様でしょうか?」
彼女はジャックの前に立ち、穏やかで優雅な笑みを浮かべた。その声には確かな自信と、何か強い信念が込められているようだった。
「そうだよ」
「どうか、我がアフロディーテ様を崇める教会を作らせてくださいませ! そうすれば、必ずや幸福が訪れることをお約束します」
正直に言えば、勝手にすればいいと思う。
宗教も社会性も、どっちも大切なことだと思うからだ。
「うん。いいよ!」
「なりません! すでにアンブラの教会があるのですよ?!」
「だけど、帝国はどっちの宗教も認めているんでしょ? ここでリバー領は認めないっていうのはちょっとどうなんだろう?」
考えるのが面倒だというのが本音だけどね。
それにわざわざ、人々の面倒を見てくる宗教家って、僕の代わりに働いてくれるからありがたいんだよね。
クララはエリザベートを睨んでいたけど、エリザベートは余裕の笑みを浮かべている。
「ありがとうございます。この地に自由の教えを広め、私たちの女神アルフディーテ様の教えである、すべての人々に恋愛の自由を与え、真の幸福をもたらす存在です」
エリザベートは毅然とした態度で話し続けた。
ジャックはエリザベートの言葉を聞き、少し考え込んだ。
「うーん、確かに自由を訴えるのは悪いことじゃないけど、問題が起こる可能性もあるよね」
領主としての立場を考慮しながらも、エリザベートの意図を探るように目を細めた。
「もちろん、我々は無理強いはしません。すべては自発的な信仰に基づいています。ただ、人々に選択の自由を与える場所が必要なのです」
エリザベートは胸を張り、彼女の信念に揺るぎがないことを示していた。僕はしばらくの間、エリザベートの言葉を吟味していたが、ふと考えを改めた。
「まあ、僕は特に宗教にこだわりはないし、この領地に来る者たちが幸せになるならそれでいい。君たちが問題を起こさないのであれば、ここで布教活動をしても構わないよ」
僕は軽く肩をすくめて、了承の意を示した。
「本当ですか? ありがとうございます、ジャック様!」
エリザベートは感謝の意を込めて深くお辞儀をした。その際、彼女の豊満な胸が揺れ、僕の目を引いたが、すぐに視線を逸らした。
「ただし、他の宗教や領民との衝突がないように、ちゃんとルールを守って布教してくれよ」
「もちろんです。私たちは愛と自由を広めるために来ただけです。争いを望むことは決してありません」
エリザベートは穏やかな笑顔を浮かべながら、誓いを立てた。
こうして、リバー領に新たな宗教が布教活動を開始することになった。
エリザベートは市場の一角に小さな礼拝堂を設け、そこからアフロディーテの教えを広め始めた。
市場を訪れる商人や領民たちは、エリザベートの教えに興味を持ち、次第に彼女のもとに集まるようになった。
まぁ、見た目もかなり綺麗な女性で、あの大きな母性に男性は惹かれるよね。
彼女の美しさと自由を謳う教えに、多くの人々が魅了され、リバー領の新たな噂として広まっていった。
エリザベートの存在が、リバー領に新たな風を吹き込むことになり、僕としてもなんだか面白いと思っている。
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