第131話 旅路を振り返って
目覚めると、窓一面に朝焼けが広がっていた。
高層階の
光を反射する建物の
それは
それぞれが青や緑の光を点灯させ、朝もやの中で点を
地上では
そこには天気予報やニュース、観光案内が次々と表示され、時折
未来の街が、ゆっくりと目覚めていくところだった。
「うーん……おはよ、ミュウちゃん」
「……おはよう」
起きたばっかりでMPも豊富な今、シャル相手なら
考えてみれば、
「あ、ミュウちゃんの
シャルが笑いながら近づいてくる。
ベッドがきしむ音がして、
朝日に照らされた
「……!?」
「ちょっと直してあげる」
シャルの指が、
その手つきは慣れたもので、まるで姉が妹の世話をするような自然さがあった。……ちょっと
気持ちよくて、思わず目を閉じてしまう。
窓の外からは、早朝の街の音が
「ふふ、ミュウちゃん
シャルの提案に
この街に
いつも明るいから気付かなかったけど、朝は特に元気がいい。
エレベーターの
レストランは回転式で、街を一望できる造りになっている。
窓の外には雲が流れ、時折それを
その機体は流線型で、朝日に照らされて銀色に
「へぇ~! すごいねえ! 雲の上でご飯食べてるみたい!」
シャルが目を
その横顔が、朝日に照らされて
テーブルには見たことのない料理が並んでいた。
パンは四角い
皿の
「これ、アヴァロンの伝統料理なんだって。あ、これ
シャルが差し出したフォークには、青く光る何かが
近づけると、かすかに電気を帯びたような音が聞こえる。
「あーん♪」
「……!」
周囲のテーブルからは、クスクスと笑い声が聞こえた気がする。
口の中で広がる不思議な味。
一口食べるごとに、口の中で小さな光が走るのが見えた。
「どう? なんかシュワシュワするでしょ? ここの食べ物すごいね!」
シャルは自分も一口食べ、「うまっ!」と声を上げる。
その
■
食事を終えると、
マーリンの映像が指定した三日後まで、やることがないからだ。
ホテルのフロントで受け取った案内用のタブレットを
タブレットの表面には、立体的な地図が
街を歩くと、至る所でホログラムが目に入った。
道案内をする
それらは通行人に合わせて表示を変え、時には名前で呼びかけることもあるらしい。
空中に
信号は人の動きを感知して、最適なタイミングで
「おっ、見てあれ! でっかい馬車みたいな……バスだっけ?」
馬もないのにすごい速度で進む車、バス。
真っ白な車体には、場所によって風景が
無人で動くそのバスに乗って、建物の合間を
座席は体の形に合わせて変形し、
窓の外には緑があふれ、時折小鳥の姿も見える。
街路樹は
葉の緑が
未来的な街並みの中に、自然が調和するように
建物の
「ふぁ~……なんかあったかいねぇ。
その
(……重い)
でも、この重みも
長い旅の中で、こんな風に
シャルの
建物の間を
その光は七色に変化し、まるでオーロラのような模様を
未知の街なのに、不思議と落ち着く。
それは、
三日後には、マーリンと再会する約束がある。
そこできっと、大きな真実が明かされるのだろう。
そして
でも今は――この
街頭のモニターに映る
その音が、まるで
■
目が覚めると、見慣れない
「……あれ?」
高層ビルの間から
建物の
その光は建物から建物へと
街灯が次々と点灯し始め、光の帯が街を
白や青を基調とした光が、
建物の谷間を走る道路には、帰宅を急ぐ人々の姿が見える。
(あ……
赤い
重みで少し
シャルの
窓の外には、さっきまでとは
建物の間から
タブレットを
画面には残り時間と共に、周辺の観光スポット情報が表示されていた。
人工知能は乗客の
車の音さえ、さっきより小さくなっているような気がする。
「……むにゃ? あ、やばっ
シャルが目を覚まし、
その勢いで
「あはは、ごめんね。
シャルが申し訳なさそうに笑う。その顔には、
「……平気」
むしろ、
代わりに小さく
バスが停留所に止まり、
停留所のホログラム表示が、
周囲を
その頂上部には、光を集めて放つような
「せっかくだし、
シャルの提案に
階段の手すりには、上る人の動きに合わせて光が
展望台からは、街全体が
360度
日が
それぞれの建物が独自の光のパターンを持ち、街全体でリズミカルな
光の帯は建物と建物の間を
広告や案内の合間に、アヴァロンの歴史や文化を
展望台のガラス面には、見ている方向の建物や
「ねえ、ミュウちゃん。この街ってすごいよね」
シャルが
「……あたしたちが最初に会ったときのこと覚えてる? ミュウちゃん、全然話してくれなかったよね!
でも今は、こうやって
シャルの言葉に、
たしかに、今の
むしろ、シャルとなら自然と言葉が出てくる。
いつの間にか、MPの消費も気にならなくなっていた。
「あの時は、あたしたちこんな街に来ることになるなんて、思ってもみなかったよね」
シャルの声には
広い世界を旅してきた
目の前に広がる
「……うん」
街を往来する光の流れは、まるで大きな生き物の血流のよう。
「
「うん。シャル……ずっと
思わず口から出た言葉に、シャルが目を丸くする。
夜風が
シャルは何も言わず、ただそっと
その手は少し
「……シャルといると、話すのが
小さな声で付け加える。顔が熱くなるのを感じる。
展望台のガラスに映る
すると
強い力で引き寄せられ、
シャルの体温と、
「ミュウちゃ~ん……!」
シャルの声が少し
その声には、言葉にならない感情が
街の明かりに照らされながら、
展望台に
言葉にできない何かが、
それは長い旅の中で
やがて展望台を降り、ホテルに
帰り道の街並みは、
昼間の無機質な印象は消え、
シャルと手を
夜の街を歩く人々の間を、
ホログラム広告が作る光の帯が、
時折すれ
この未来の街では、
……マーリンとの再会まで、あと二日。
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