第127話 開かれる黄金郷の扉
窓から
シャンデリアの光が、上品な
「さあ
ルシアンは
「ゴルドーも、かけたまえ」
「……お言葉に
ゴルドーは迷いながらも、席に着いた。黒い
「まずはスープを。アランシアの
スープの表面に映る
シャルは
その仕草は上品さには欠けるが、
「うまっ! これ結構効くね。なんか体の
「ふふ、そうだろう? この国に伝わる秘伝のレシピなんだ」
温かな液体が
「それで、アヴァロンの話なのだが」
ゴルドーが切り出す。
「ああ、そうだった。君たちの見つけた
「んぐぐ。うん、えっとね」
シャルがスープを飲み干しながら、
ラーナ村で見つけた
そして、マーリンとアヴァロンの関係。また、
ローストした肉や、
どれも見た目も
「なるほど……」
ルシアンは、シャルの話に
ワインを注ぐ音だけが、静かに
「
「空に
でも、外の白い世界を思い出すと、この
「実は、この城にもアヴァロンに関する何かがあるかもしれないんだ」
ルシアンが切り出す。
「この城の地下には、まだ調査されていない遺構がある。
初代王が残したものらしいのだが……」
「地下遺構……!?」
シャルの目が
「
ルシアンの提案に、ゴルドーが小さく
ルシアンが側近に目配せをすると、何人かが席を立った。
食事が進むにつれ、夜が深まっていく。
窓の外には、満天の星空が広がっていた。
外の世界が白く染まっても、ここアランシアでは、まだ夜空を見ることができる。
けれど、その光景は
「ミュウちゃん、デザートも食べなよ」
シャルがプリンを差し出してくる。その上で
(アランシアの地下……きっと何か見つかるはず)
「あ……おいしい」
「でしょ? このプリン、あたしも好き! 全部終わったらもっとたくさん作ってもらおう!」
シャルが
こんな
こうして
■
翌朝、
石段を下りていくにつれ、空気が冷たくなっていく。
「この先は、あまり人が来ない場所でな」
ルシアンの声が、
「下りてってどのくらい?」
「そうだな……地下三層目まで行く」
「三層!?」
シャルの声が裏返る。
「城を建てる時に発見された遺構なんだ。初代王はここを調査するなと言い残したらしく、実際その
「え、
「いや。時期が来たのだ」
王は立ち止まり、
「初代王の
まさに、この現象のことを指していたのだろう」
初代王の先見の明。それと、マーリンの強い
そうこうしているうちに、たびたび体力を回復しつつ、
そこには
「これは……!」
シャルが息を飲む。
「これが、アヴァロンの遺構……か」
ゴルドーが静かに
「おお! これが
それ以外には柱くらいしかなく、
円形の台座の上には、まるで
「
シャルが首を
「初代王のメッセージがここにある。……これが転移装置だと?」
台座を
「転移って……どこかに
「うむ。おそらく……アヴァロンに」
その言葉に、
アヴァロンに
「しかし、起動方法がわからないな」
ルシアンは
「研究班を呼ぼう。文様の
ルシアンの言葉に、衛兵が地上へと
その足音が、階段を上がるにつれて遠ざかっていった。
そこには千年の時を
「ねぇミュウちゃん」
シャルが
「なんかワクワクしない? アヴァロンだよ? あの映像で見た国に、もしかして行けるのかな……?」
シャルの目が
その後、地上から
地下の空気は冷たいまま、時間だけが過ぎていく。
「
ゴルドーが装置の一部を指差す。
「この円はおそらく、
研究班の
「そもそも、
「ああ、そのようですね。単なる
「……修復は?」
ルシアンが
「申し訳ありません。我々の力では、この装置を直すことはできません。
これは相当に高度な
がっかりしたような
「でも、これマーリンが作ったんでしょ?」
シャルが声を上げる。
「ミュウちゃんなら、もしかして直せるんじゃない?」
(え……
「そうか! 聖女様の回復の
「装置を、治せるかもしれない」
その言葉に、
でも、問題は
(あ……でもよく考えたら、今の
東方大陸での
つまり、使える
「や、やってみる……」
「よーし! 任せた!」
まずは、装置の状態を
千年の時を経て、
(でも、これぐらいなら……!)
損傷
「大回復
青白い光が、
でも、まだ足りない。もっと、もっと
「す、すごい……!
研究班の
意識は修復に集中している。次々と回復
MPが消える前に、精神回復
額から
もう一息、あとほんの少しで。
「ミュウちゃん、
シャルの
そして――ついに、最後の傷が
「はぁ……はぁ……」
大きく息を
「ミュウちゃん!
シャルが
文様が
ゆっくりと、
「や、やった……! 装置が作動し始めました!」
研究班から
シャルの
そのとき――
「な、なに!?」
シャルの
「これは……アヴァロン、なのか?」
ルシアンが息を
黄金の大地から、
まるで
まるで星空のような無数の
建物と建物の間には、
その中には
空には、大きな金属の
たくさんの光を放ちながら、街の上を
「これが……黄金郷? なんか映像よりもさらに
シャルの声が、
「すごい……想像以上に、その、すごい……」
「
ゴルドーが
そして何より
映像の中の光は
「でも、アヴァロンは千年前に
「いや、『
ルシアンの言葉に、
「マーリンは『再建』ではなく『
つまり……アヴァロンは、どこかに存在し続けているのではないか?」
その言葉を聞いた時、
決して「
「あれ? 映像が……!」
シャルが声を上げる。
映像が、
「
「いえ、これは……時間制限、です」
研究班の
「
「やっぱり……向こうに行けるってこと!?」
シャルが目を
「装置は完全に修復された。門は開かれています。
地下室に
「ミュウちゃん」
シャルが
「行こう。絶対、あの場所にマーリンがいるよ」
そして、世界を白く染めた理由も、きっとそこにある。
目の前には、千年の時を
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