第124話 かつて在りし黄金郷
「ここが入り口だったよね」
シャルの声が鉱山の
「ああ。この先に
ゴルドーの声は落ち着いていたが、その手の
その中心には、以前
「これ、人が作った空間だよね?」
シャルが息を
その模様は、かすかに青白い光を放っていた。まるで、
「これは……
ゴルドーが
すると、模様の光が強くなり、
「へぇ、マーリンってこんなの作れたんだ!」
「いや、マーリンだけじゃない。
ゴルドーの言葉に、
国? マーリンの国? それって一体……。
光の道筋を
「……!」
「どうしたのミュウちゃん? あのマーク知ってるの?」
「うん……マーリンの
星と月を組み合わせたような
その文字は、
「なるほど」
ゴルドーが
「この
「!?」
シャルが
「これは……ミュウの
ゴルドーが
開ききった
それらは長い時を経て
「すっご……なにここ! 研究所? 工場?」
シャルが興奮気味に
「むやみに
ゴルドーの声が、厳しく
「でも見てよこれ! なんか動きそうな気がするよ!」
「ああ。おそらくここは研究
その姿は不気味で、まるで遠い過去の
(マーリン……ここで一体、何を……?)
心の中で問いかける。でも、もちろん答えは返ってこない。
ただ、通路の
「あれ? この先、なんか明るくない?」
シャルが指差した先には、ほのかな光が
「図書室のようだな」
ゴルドーの言葉通り、そこは大きな図書室だった。
古代の
空気は
時折、どこからか
「わぁ……」
シャルが
その手が、背表紙を
「こんなにたくさんの本が……しかも、ほとんど
ゴルドーが
図書室からは辺り一面から
「んんー、でもどれも古代語なのかな? 全然読めないよ~」
シャルが一冊の本を取り出す。表紙には、見覚えのない文字が刻まれていた。
「研究記録……か」
「えっウソ、読めるの!?」
「ああ。それなりに勉強したんでな。どれ……」
ゴルドーが
「ふむ……これは
ゴルドーの声が、急に
「これらの記録は、マーリンの国のものらしい。その国の名は、黄金郷アヴァロン」
「アヴァロン? 聞いたことないな」
「ああ。現代では
ゴルドーは別の
「これを見ろ」
開かれたページには、
空に
「すっごい! こんなのあったの!?」
シャルの目が
「ここに、アヴァロンの人々の暮らしが記されている」
ゴルドーが別の記録を読み上げる。
「
空中庭園では一年中作物が育ち、自動機械が生活を支えていた」
「自動機械~? アランシアにちょっと似てるかも」
シャルは
だから似てるのかも。とはいえ、アランシアはここまで
「マーリンは……」
「ああ。この記録によれば、マーリンはアヴァロンの王だったようだ」
「
シャルの言葉が、図書室に
古い本の
さらにページをめくると、そこにはより
アヴァロンの日常を記した日記のようだ。文字の間から、かつての暮らしが
永久機関とよばれる
地上には青く
人々は研究に
その
それはまさに、理想郷と呼ぶにふさわしい世界だったのだろう。
(こんな国が、本当にあったんだ……)
そこにはかすかに光る
それは、かつての
「あれ?
シャルが首を
「行ってみよう」
ゴルドーの声に、
中央には
さっきの図書館に比べると
「これは……
ゴルドーが装置に近づく。
「とーえい? 動くのかな?」
シャルが興味深そうに装置を
「っ!」
目を細める
「これは……」
空に
通りには整然と並ぶ
地上には
建物の
街角では自動人形が働き、人々の暮らしを支えている。
それらは
通りの一角では、
まるで光の芸術のような
「こ、これが……アヴァロン?」
シャルの声には、
映像は次々と
王宮らしき建物も映る。純白の大理石で作られた柱。空中に
「マーリン……!」
思わず声が
白い
その表情もまた、今のマーリンと同じ。どこか
「この映像、本当に千年前のものなの? マーリン変わらなすぎだし、そもそもこんなすっごい文明……」
シャルが声を
「アヴァロンの技術だ。
そして映像もおそらく本物だ。数多くの
ゴルドーが答える。その声には深い
「だが、これほどの国が、なぜ歴史から消えたのか……」
「さっき見つけたこれは、研究者の日記らしい。最後の記述を見てくれ」
『警報が
マーリン陛下が
「これ以降の記録は……ない」
ゴルドーの言葉が、重く
映像は相変わらず、アヴァロンの
まるで、その
「じゃあ、アヴァロンは……やっぱり、
シャルの言葉に、
■
「ただいまー!」
シャルの声が、村長の家に
「おかえりなさい。
「ああ。色々と、わかったことがある」
ゴルドーが静かに答える。その声には、深い
「マーリン……
ゴルドーの言葉に、シャルが首を
「どういうこと?」
「アヴァロンは
ゴルドーは空を見上げながら続ける。
「
シャルは感心したように
(再建とは……少し
確かに
それに、アヴァロンの規模を考えると、あの
それに……多分、マーリンは人が
そんな
そう考えていた時、シャルが
「あっ! 見て!」
その底部から、不気味な光が
深い
「あれは……」
ゴルドーの声が
アヴァロンの記録の中に、あんな光を放つ技術は存在しなかった。明らかに
(あれ、まさか……地上を
ただ、
そして
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