黄金郷編
第123話 古代遺跡へ
山道を下りていくと、
豊かな実をつけた麦が風に
そして、
「うわぁ、全然変わってないね!」
シャルの声が
むしろ、畑の作物もそこに生きる人たちも、以前より元気そうに見える。
朝もやの向こうから、子供たちの元気な声が聞こえてくる。
村の入り口に近づくと、作業をしていた村人たちが気づいた。かがんでいた背中を起こし、目を見開く。
「あれ……ミュウ様!?」
「聖女様だ!」
「みんな、久しぶりー!」
次々と
シャルは
足元の小石を転がしながら、視線を泳がせる……。
(まだ聖女って呼ばれてるんだ……)
以前、村人たちの病と畑を
でも、まだそんな風に覚えていてくれるなんて……。まあ、
「おや、本当に聖女様ですか」
低い声が
いつの間にかすっかり丸い体型になって、温かな
その
そして、その後ろには黒い
朝日に照らされた
「ゴルドーも喜ぶでしょう。古代
「ゴルドー! 久しぶりー!」
シャルが
黒く
相変わらずの
「意外な再会だな。まさか、ここで会えるとは」
「そっちこそ! こないだの城の
「ああ。古代
ゴルドーの声は、以前と変わらず落ち着いていた。
その目には、しかし疑問の色が
「村長、少し話をしてもいいだろうか」
ゴルドーの言葉に、村長は
「ああ、
湯気の立つお茶から、
「で、どうしてここに?」
ゴルドーが静かに
シャルは
「うーん、どっから話せばいいのかなー。あっ、そういえばノルディアスってどうなったの!?」
シャルは思い直して立ち上がった。木の
そういえばそうだ。ノルディアスはあのとき、
「いや、どうなったというほどのこともない。ただ建物が数
そして、お前たちが
「あー、良かった!
「
そして最後の戦いで、
話を聞くゴルドーの表情が、
額に深いしわが刻まれ、口元が
「
「そうなんだけどねー。よくわかんないけど、本人っぽかったよ?」
「実は、
そう言うと、ゴルドーは
何度も折られた
「
「あの古代
ゴルドーの言葉が、重く
「でもさ、ゴルドー。空に
シャルが窓の外を指差す。遠くの空に、まだ
白い雲に
太陽の光を受けて
「ああ、あの城か……」
ゴルドーも外を見やる。その目には深い
「正直、見当もつかない。アレが現れたのはおおよそ数刻前だ。各国も
時間で黄ばんだその紙には、複雑な
「
「そうなんだ……でも、なんでマーリンはあんなのを?」
シャルの問いに、ゴルドーは首を横に
「わからない。だが、おそらく
なるほど、と
マーリンは「自分の国のため」と言っていた。
「ミュウ、シャル。
ゴルドーの声が、
日差しに照らされた
「
実際のところ、
「そっか……うん、そうかも」
ゴルドーは窓の外を見た。
その動きは
「あの城は北に向かっているようだ。とはいえ、追う意味はあるまい。あの高さ、アランシアの飛空
「そっか……じゃあ、今はとりあえず
シャルが
(確かに、今は
その姿を見ていると、どこか不安な気持ちになる。
マーリンは何を
なぜ「
そもそも、なぜ千年もの時を生きているのか。
「よし、決まりだな」
ゴルドーが立ち上がる。
「
シャルは勢いよく
「うん! あ、村長さん。ちょっとだけ、また世話になっていいかな?」
村長は温かな
「ええ、もちろんです。聖女様とその大切なお仲間ですから」
「もう、照れるからやめてよー!」
シャルの声に、村人たちがにこにこと笑う。明るい空気が、
窓から
(……マーリン。今度は、あなたのことをもっと……)
その
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