第122話 魔界との別れ
マーリンが「
玉座の間には重い
深い
「ミュウちゃん……
シャルの声が耳に届く。
その手から、かすかな
玉座の周りには、さっきまでの戦いの
シャルの
イリスの
そしてマーリンの
青白いクリスタルの
それらは月明かりのように
温かみのある
「……」
ふらつく体をシャルが
「まだ無理しないで、ミュウちゃん! ごめんね。あたしがもう少し強ければ……」
シャルの声には
その声は、
(そんなことないよ。シャルは十分強かった……!)
「クッ……」
イリスの短い
その表情には、
銀色の長い
「イリス……」
「心配はいらない。これも我の……
イリスの声が
「なっ……!」
シャルが
「
イリスがゆっくりと立ち上がる。その姿には痛々しい
「『
「ええっ、そんな!?」
ヒビの
まるで
光は脈打つように
「このままでは、人間界との境界も不安定になる。いや、すでにその兆候が……」
イリスは
その
「ミュウ、シャル。今のうちに人間界へ
「でも、イリスは!? これからどうするの!?」
シャルの問いに、
銀色の長い
「我はここに残る。
その言葉には、もう迷いはなかった。
イリスの周りに
遠くで、何かが
三つの赤い月の光が、不気味に
「我に残された力で、門を開こう」
イリスが両手を広げると、
その中心には、
まるで水面のように波打ちながら、
「さあ、急げ」
イリスの声が
門からは人間界の空気が
草花の
「シャル、ミュウを
「うん、任せて!」
シャルが
バキバキという音と共に、
黒く
イリスが手を
「早く!」
イリスの声が、
その声には、これまで聞いたことのない
そして、深い
イリスの周りには
深い
それは
(
イリス。
時に厳しく、時に
ここで別れたら、もう永遠に会えないような気がした。
「……!」
必死に声を
すぐ
「ミュウちゃん?」
シャルが不思議そうに
「あっ、ちょっと!」
よろよろとした足取りで、イリスの元へ
目の前が
クリスタルの
「ミュウ? 何を――」
イリスの言葉が
「!?」
イリスの体が
でも、その胸の中で確かに
まるで
「な、なんだ急に! 我は
イリスはうろたえた声を上げる。
その声には
その時、どこからか大きな
「まったく……! こんな時に何をするかと思えば!」
イリスの声が
その手は少し
「……達者でな」
小さな声でそうつぶやくと、イリスは
シャルが
「行け。早く」
イリスの表情には、もう
「約束する。必ず、この世界を守ってみせる。そして、また会おうぞ」
「……うん!」
その言葉を最後に、シャルは
門から
その光は温かく、春の日差しのような
「さらばだ、ミュウ、シャル。短い付き合いだったが……楽しかったぞ」
イリスの声が遠くなっていく。目の前が真っ白に染まり、意識が遠のいていく。
風が強く
最後に見た光景は、
銀色の
まるで
■
目を開けると、そこは森の中だった。
地面には緑の草が
頭上には葉を
「ミュウちゃん、
シャルの
シャルは
「ここ、どこだろ。山の中みたいだけど……」
確かに、
遠くには山々が連なり、木々の間から谷が見える。
空気は
(あれっ、この
シャルも同じことを考えていたらしい。
「なんかさ、この辺って……」
「ラーナの村の近くじゃない? ほら、あそこに見える山の形! 確か、ゴルドーが案内してくれた時に通ったよね!」
そう。ノルディアスのA級
村人たちの
(ゴルドー、元気にしてるかな……)
あの時は……そうだ。
あの村で初めて「聖女」と呼ばれるようになったんだっけ。遠い昔のような気がする。
「じゃあ、村に行ってみる? 久しぶりに会えたらいいよね!」
シャルの声には、いつもの明るさが
その声に
「……!?」
「ん? どうしたの?」
「え……あれ、なに?」
遠くの空に、
まるで空に
白い石でできた建物群が、まばゆい太陽の光を反射して
その姿は
時折風が
大きさは目測できないほどで、見上げているだけで首が痛くなりそうだ。
「すごい……でも、なんでこんなのが……?」
シャルの声には
こんな
(もしかして、マーリンが……?)
「ねえ、ミュウちゃん。あれってもしかして、マーリンの言ってた『自分の国』ってやつだったり?」
でも、あんな
「とりあえず、ゴルドーを探してみない? あの人なら何か知ってるかもしれないし」
その提案に
あんな異様な建造物が現れて、村や町は
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