第110話 氷姫リリアン(後編)
がらん、と小さな音。
その音は、
「ふふ、よろしい♪」
リリアンの
耳元で
その声は氷の
全身が内側からくすぐられるようで、力が
(ダメ……シャルが……イリスが……)
でも、それすらだんだんと遠くなっていく。深い氷の底に
「もう
リリアンの声が、氷の
その
でも――。
その光は弱々しく脈打ち、
(そう、だ……)
この寒さは不自然なものだ。リリアンが
氷の
この空間全体が、ある意味一つの「傷」なのだ。
(
その光は
「あら?」
リリアンの声が変わる。
その
そして――。
「な……これは!?」
氷の城全体が、温かな光に
それは単なる回復
春の
氷の
鏡のように
氷の中に
「こ、この
リリアンの
頭がクラクラする。足元がふらつき、冷たい
氷の城が
氷の造形が
リリアンの作り出した人工の寒気が、
「まさか、空間全体を回復の対象にしたとでも……!? ありえない……ありえませんわ、そんな!」
リリアンの声には明らかな
しかし、追いつかない。
青い光が
「そんなの
シャルの
「さて。
イリスの放つ赤い光が、氷の
「くっ……まさか、こんな
リリアンの周りにはまだ氷の結界が残っていた。
青く
リリアンは氷の
その氷の
「
イリスの
赤い光が氷を
その
「ふふ……。確かにやられました。でも、これで終わりだと思わないことですわね」
リリアンの周りに、新たな氷の
今度は、より
青白い
「本当の戦いはここからよ……! 四天王の力、
まだ戦いは終わっていなかった。氷の城の
氷の
それぞれの
「さぁ、わたくしの本気をお見せしますわ」
リリアンの
氷の
「くっ!」
シャルが
しかし次々と新しい
イリスの赤い光も同じように放たれ、氷の
だが、
「ミュウちゃん、気をつけて!」
シャルの警告に
(状態異常回復
温かな光が広がり、「状態異常」をもたらす不自然な
「そこです!」
リリアンの氷の矢が、シャルの死角を
だが、
「ちっ!」
リリアンの舌打ちが聞こえる。
「
イリスの赤い
だが、
「ふふ……やはりお強いですわね、イリス様」
リリアンは氷の
「時間
イリスの声に、シャルが反応する。
「させませんわ!」
リリアンは氷の矢を連射する。
シャルの
「どおりゃあっ!」
シャルの
「ふん! もはや手加減なしですわよ!」
リリアンの周りに、
それは
「イリス様。
「ほう。力が
火花を散らす
氷の
しかし――。
(寒冷回復
それを見たリリアンの表情が、
「やはり、あなたの力は
だが、その目は常になにかを
「はあっ!」
シャルの
「この……!」
リリアンは新たな氷の城を作り出そうとする。しかし、
氷が形成される前に、温かな光がそれを
「もう
イリスの言葉に、リリアンは
「フフ……本当にそう、でしょうか?」
その
見る見るうちに色が消え、白く
……
「なっ!?」
どこか遠くから、
「お楽しみいただけましたか? では、これにて失礼を!」
青い光が谷の向こうで
「追いかけよう!」
「いや、もう
イリスが手のひらに赤い球体を
「
「おっけー。つまり
「……まぁ、そうだ」
……
ああ、心臓に悪い戦いだった……。
「でもさー、ミュウちゃん」
シャルが、意地の悪い
その目は、
「なんかすっごい困ってたよね? 最初のほう。リリアンに
「……っ!」
思い出したくもない
「あはは! やっぱ
「……!!」
「からかいすぎるなよ。それに、サキュバスの
「ごめんごめん! ミュウちゃんの反応が
シャルは
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